_アメリカ写真_インプロスターと一緒に_

「インプロスターとの遭遇」 10/10




だいぶ久方ぶりの更新と相成りました。
こんにちは、阿修羅内です。
現在アメリカ・ニューヨークでコメディー修行を行なっております。


えー、あれですね。
季節の変わり目まっただなかですね、本当に。
東京の天気もかなりの荒れ模様ときいていますが、こっちもすごいです。


現状こちらは気温差、天候の変化、共に激しく風邪が大流行しています。
それに関連して先日こんなことがありました。


30度近い気温を叩き出した次の日に前日の体感温度のままTシャツで出かけたら、デイアフタートゥモロークラスの寒波に襲われて金玉縮み上がり、「これはまずい・・」と暖をとるために映画館に駆け込んで映画を見はじめたら館内空調が馬鹿になってて金たまがビー玉くらいに縮み上がりまして。
大変な目にあいました。


こっちで風邪でも引いたりした日にはもうとんでもないお金が発生してしまうので、なんとか回避できればなと思います。


まぁ縮みあがり話はさておき、ニューヨークでの生活も1ヶ月ほど経過いたしました。
あっちゅうまです、本当に。
このタイミングで書き残しておかなきゃならんこともたくさん溜まってきましたので、日々をどのように過ごしているか、そしてその中でも心にバチコンと残っている出来事群を書き残したいと思います。


まずはじめに毎日どのように過ごしているかについて。
一日の動きは以下の通りです。


■ニューヨークでのタイムスケジュール

・13:00 起床
・15:00 電車に乗りマンハッタン方面に移動(観光地や多くの劇場がひしめくニューヨーク州一番の都会です)
・16:00 あてもなく散歩/途中紀伊国屋に寄り本をよく買います
・17:00 公園で本を読んだり鳥を
・18:00 ①劇場に即興のコメディーショーを見に行く②インプロのクラスに参加し実際に英語で即興コメディーをする
・22:00 帰宅
・23:00 近所にある広めの公園に行き、柔軟運動や筋トレ
・24:00 再度帰宅
・01:00 その日にわからなかった英単語がメモ帳に書いてあるのでそれを調べてまとめる
・02:00 ブレイキングバッドを見る(めちゃくちゃ大事)
・04:00 この辺りからコント小説を書いたり外でやる即興コントのお題を作ったり
・06:00 就寝


綺麗に反転してますね。
自分の中の時間軸が崩壊して猛り狂ってます。


そのせいか、宿にいても基本的に誰とも会いません。
みんな朝から活動的で就寝時間もすごく早い。
小学生みたいなタフネスばかり集まる宿。
正直羨ましいな、と思います。ニューヨークにいるからには朝から活動した方が絶対に楽しい。


このスケジュールの中で一番大切にしているのは
①劇場にインプロのコメディーショーを見に行く②インプロのクラスに参加し実際に英語で即興コメディーをする
この2つです。
ニューヨークに来た理由もほとんどがこの2つのためなので、毎日欠かさないようにどちらかには顔を出すようにしています。
さて、この即興のコメディーショーなのですが、主に「インプロ」って名前で呼ばれています。
いんぷろ・・?
劇場の近くに行くとお客さんの呼び込みで良く聞こえてくるこの言葉。
これは「即興」という意味を持つ英単語「improvisation」が語源で、日本でも「インプロ」って言えば即興劇を指す言葉として使われてます。


アメリカ三大お笑い文化の1つで、非常に人気があるこのインプロ。
(その他の2つは「スタンダップコメディー」と「スケッチコメディー」)
「即興コメディー」


日本語で書いてもなかなかしっくりこない。
あくまで個人の解釈なのですが、以下の3つが特徴のコメディーだと思っていただければ。


①台本なし
②舞台上に大道具なし(基本的にはイスだけを使う)
③お客さんからその場でもらった単語を元に舞台を始める


舞台に立つ演者は多くても6人ほどで、全体的に簡素な印象です。
真っ黒な板が張られた舞台に置かれているのは人数分のイスのみ。
公演時間は長くても1時間半ほどで、5分の劇を10本ほどやるものから、一本のお題で最後までやるような公演もあります。


日本での知名度はまだまだ高くはない「インプロコメディー」
実際に僕も生で見るのは初めてで、最初はひどく身構えていたことを覚えています。


しかし、杞憂。
本当にとてつもない芸能でした。
舞台上に演者が現れ、最初の単語をお客さんからもらった瞬間に劇としての本身は始まり、瞬く間に会場全体をコント世界に引きずり込んでいく。
長い歴史の中で培われたであろう、舞台芸能には必須とも言える要素の数々がそこにはありました。


最初の単語から設定を膨らませて即座に世界観を構築するその発想力。
力量が拮抗しあった演者同士のチームワーク。
目を奪われるほど美しい所作や立ち姿、細やかなパントマイム。
そして、必ず笑いを発生させるんだ、という強い信念のこもった瞳。


衝撃的。
200人キャパの会場に空席はほとんどなく、その一体感は火をまとった猛虎のように観客の間を走り抜けて行く。
5分に1度は訪れる全身の毛が逆立つような心踊るシーン。
それが波のように連続して、その勢いは最後まで太く千切れること無く舞台は終了しました。


呆然、嵐。
そのとき目の前で巻き起こっていたことをなんと形容すればいいのか、その言葉を探せずにこの1ヶ月ほどを過ごしてしまいました。
頭は機能せず、ずっと微熱に浮かされているようなふわふわした状態。
けれど今では、朧げに思う事があります。


これは初めて落語を生で見たとき、その時に抱いた感覚に似ているんじゃないか。
いや、表面上は全く違う芸事ではあるのだけれども。
落語はガチガチの稽古を要するし、ましてやスタンダップでもない。
互いの派生要因は全く異なるし、いわんや扱う言語が違う。
けれどその共通するかもしれない点はふと脳裏に、こんな言葉として訪れました。


「究極の一体感芸」


お客さんとの関係を重んじる芸能特有のものだと思います。
恐らく僕は落語やインプロのように、大好きなコントをやる場合もお客さんに暴力的に笑いを投げつけるのでは無く、一緒に空気感を作り上げていけるような演者、ひいては作家になりたい、そんな気持ちの現れから思いついたものだと思います。


しかし、まだまだはっきりとはしないこの言葉。
けれど、自分がこれから学んでいきたいコメディーの王道に、このインプロが影響を強く与えて行くであろう予感はビンビンと感じる。
感じずにはいられない。
こんな気持ちを胸に、僕はアメリカ修行の中心にインプロコメディーを据え置くことにしました。


そして次の日。
いてもたってもいられなくなり、僕は早速インプロのクラスを受講する運びとなります。
英語がほとんど喋れないことなんて露とも気にせず、無邪気な子供のように。
そして、実際にクラスを取るようになって、様々な人との出会いがありました。


働きながらたまの休日に遠方からわざわざ足を運んで芸を磨くサラリーマン。
家族3人、仲良く趣味感覚で楽しむ人達。
舞台俳優を夢見る学生。
そしてその中でも最も強烈に覚えている、透き通るように碧い瞳を携えた70代のおじいちゃん。


このおじいちゃんとの出会いによって、僕のアメリカ修行は一歩前進することになりました。
この出会いについて、そしてこの2人がどのような即興劇を繰り広げたのかはまた明日以降に記そうと思います。


それでは。


▼現時点で一番ウケたお笑い

「水」がお題の即興劇で大雨に降られたから服を全部捨ててしまい、
「ごめんな、今裸だわ・・・ごめんな」と言い続けるアジア人を演じた時

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?