誰も報われないことに意味がある「日出処の天子」山岸涼子
息を呑むほど顔の造形が美しくて、どこか寂しげな哀愁漂う綺麗な瞳に線の細い華奢な体。どこかほっとけなくて近づこうとしたら、冷たくあしらう癖にそっと服の裾を掴まれるような稀に見せる幼い顔。そんな全人類の女子がハマったら抜け出せない沼のような男。それが山岸涼子先生が描いた「日出処の天子」の厩戸王だ。
長かった王子と毛人の物語がついに終焉した。毛人は布都姫との未来を、王子は気狂いの少女とともに歩んでいくことを選び、二人の道は別々に別れてしまった。
でもそのどちらの道にもこれから先