被災地支援③「子どもにやさしい空間」
3回にわたって、被災地支援についてまとめています。
今回は、子どもたちへの支援についてです。
以前の記事はこちらから読めます。
回復力を重視した、「子どもにやさしい空間:CFS」
前回記事でまとめたような、支援者が守るべき基準や指標であるIASCやスフィア、そして被災者との関わりの基本であるPFAに基づく、災害支援が実現されるために有効な手段が、CFS (子どもにやさしい空間)と呼ばれるものです。
これは、子ども・家族・地域の回復力を重視した心理社会的支援のスタンダードであり、幅広い多層的な心理社会的支援です。
人とのつながりや、遊び・学びなどの日常生活を取り戻すことを援助し、親や、養育者を支える場にもなり得ます。
災害などの緊急事態において、避難した先で
子どもに安心・安全な場や、遊びや学びを提供することで
子供の権利や回復を尊重し、災害が与える子供へのマイナスな影響を少なくしていくことが目的とされています。
このCFSは、子どもに関わる人であれば専門家でなくても誰でもできるのです。子育て中のお父さんお母さんでもできる、というのはいいですよね。
CFSの設置運営に関わる6つの原則
CFSは、その効果が検証され、子どもに益となることが実証されています。
では、実際どのようなことに気を付けて運営していけばいいのか、以下に原則を挙げました。
子どもにとって安心・安全な環境であること
子供を受け入れ、支える活動、場、人材から構成されていること
地域の特性や文化、資源を尊重し活用したものであること
地域の多様な人々(子ども含む)が参加したり共に作り上げていくこと
多様な活動の提供
公平に差別なく誰でも参加できること
気を付けたいのが、ただ単に場所を提供して、そこ大人がいて、活動がある・・・だけでは効果はないということです。
活動の質や、大人と子供の関係の質、地域の状況にあったものかどうか、
また子どもたちがその内容の選択に関われるかどうか、
というのが効果に反映されるのだそうです。
子を持つ親や、関係者は、日頃から災害時のイメージを持っておくといいですね。
中高生や大人への支援
このような活動は、幼い子どもたちへの比重が多く、中高生の子どもたちが参加しやすいような活動を工夫していくことも今後の課題の一つです。
そして、子どもだけではなく、大人を対象としたカフェや足湯なども、癒しや和みの場として有効なものです。
子育て世代の親御さんにとっても、遊びの場のような気軽な場所の方が、カウンセリング等よりも気軽に相談しやすいこともあるようです。
悩みや話したいことはあるけど、カウンセリングを受けるほどではないと感じている方や、ハードルが高いと感じる方も多いのではないかなと思います。
小さい子どもの「ごっこ遊び」
被災地の子どもが、「地震ごっこ」や「津波ごっこ」とも言われるような、トラウマを再現した遊びをすることがあります。
これは、災害等による恐怖体験を再現して遊びに取り入れることで乗り越えようとする本能的な行為で、この反応は正常なもの。
日常的な遊びや関わりの中で、多くは回復していきます。
一見不謹慎に見えるかもしれませんが、正常なことなんだよ、と
支援者同士で共有することで、安心感を持つことができます。
もし現場で見かけたり、聞いたりしたら、みんなで共有し子どもの回復力を見守っていきましょう。
まとめ
3回にわたり、被災地支援についてまとめました。
心理職だけではなく、他業種や被災者にも役に立つ立つものばかりだったと思います。
回復力(レジリエンス)や連携といった言葉が多く使われていました。支援者主導の支援の時代は終わり、被災者を含めた多層的な支援のあり方を目指していきたいですね。