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ドイツでの滞在許可証の取得が大変すぎて、失業しかけた(前編)

2023年4月から、ドイツのゲッティンゲン大学で博士研究員(ポスドク)を務めている石坂です。私は今週、滞在許可証(Ausweis)の更新トラブルのせいで、仕事を失いかけました。行政手続きが上手くいかない期間は、時間が奪われたり気が散ったりして、あまり仕事に集中できませんでした。

そこで本稿では、私が経験したトラブルを含めて、ドイツで滞在許可証を取得する方法を紹介します。ドイツ、特にゲッティンゲンに3か月以上滞在する予定がある方に、少しでもお役に立てれば幸いです。

お忙しい方は、前編の【1. ゲッティンゲンでの滞在許可の申請】または【2. 滞在許可の延長申請】に加えて、後編の【6. まとめ】をご覧ください。

前編
1. ゲッティンゲンでの滞在許可の申請
2. 滞在許可の延長申請
3. 滞在許可延長の催促
後編
4. 滞在許可延長の催促(2回目)
5. 滞在許可証の失効直前
6. まとめ

1. ゲッティンゲンでの滞在許可の申請

国籍が日本の方は、日本のパスポートだけでドイツに入国できるため、入国にはビザは不要です。しかし、ドイツに3か月間以上滞在する場合は滞在許可証が必要になります(厳密には様々な条件があります。詳細は以下のウェブサイトをご覧ください)。

詳細な滞在許可証の申請方法は、おそらく地域によって異なるため、滞在地の市役所HPをご覧ください。ゲッティンゲンでは、以下の書類が必要です。

申請書「Aufenthaltstitel※様式あり
パスポート:顔写真とパスポート番号、入国スタンプがあるページ
給料証明書:雇用契約書やフェローシップ採用証明書など
健康保険証:ドイツでは歯医者も保証される健康保険が必要(例. ケアコンセプト, Techniker Krankenkasse)
滞在目的証明書:研究でドイツに来た場合は、勤務先から受入承諾書「Aufnahmevereinbarung」を提出する。※指導教員のサイン必須
賃貸契約書「Wohnungsgeberbestätigung※大家さんのサイン必須
証明写真:サイズは特に指定されていないが、縦4cm、横3cmで使われる
申請料金:0–250ユーロ。私の場合は、20ユーロ程度だったと思う
※未成年の子供のビザを申請する場合は、書類に両親の署名が必要。複数の子供がいる場合は、子供一人につき一枚の用紙が必要

必要書類をそろえたら、担当者にメールで書類を送り、滞在許可証を受け取る予約をします。上記Webサイトに記載されているように、担当者は申請者の苗字によって決まります。ゲッティンゲンは外国人が非常に多い学園都市であるためか、書類送付から滞在許可証の受け取りまで、約3か月かかります。メールの返信が1週間後に来ることも珍しくなく、電話は月曜日の14時から15時半までしか繋がりません。市役所1階(日本式に言えば2階)にある入国管理局は施錠されているため、予約がなければ担当者には会えません。とにかく、気長に待つ必要があります。

無事に予約が取れれば、指定された日時に担当者のオフィスに行きます。念のため、身分証(パスポート)を持って行くと安心です。私の場合、滞在許可証の申請から受け取りまでの3か月間で住所が変わったため、新しい賃貸契約書も必要でした。担当者の説明を聞き、指紋の登録とサイン(漢字でOK)を提出すれば、手続き完了です。こうして無事に、2024年3月25日まで有効な滞在許可証を手に入れることができました

滞在許可証(Ausweis)。画像では示せないが、偽造防止用のホログラムシールが使われている

2. 滞在許可の延長申請

私がドイツに来ることができたのは、上原記念生命科学財団のフェローシップのお陰でした(支援期間:2023年4月–2024年3月)。そのため、ドイツに来た当時は、2024年3月末に日本に帰国するか、ドイツ滞在を継続するかは決まっていませんでした。しかし就活の結果、幸いにも2025年12月まではゲッティンゲン大学(の別の研究室)で雇ってもらえることになりました。そのため、滞在許可証を更新する必要が生じました。

通常、滞在許可の延長には以下の書類が必要です。
申請書「Aufenthaltstitel※様式あり
パスポート:顔写真と旅券番号があるページ
健康保険証:当時加入していた私営保険「ケアコンセプト」は2024年3月末で切れるが、4月から国営保険「Techniker Krankenkasse」に変えると説明
賃貸契約書「Wohnungsgeberbestätigung※大家さんのサイン必須
雇用契約書:人事部からの仮内定証明書など
給与明細:過去3か月分の給料および、今後1年間の推定年収

前述のように、ドイツで滞在許可を申請すると、約3か月後に滞在許可証が発行されます。そのため、本来であれば2023年12月末までに、滞在許可の更新を申請しなければいけません。しかし、私は2024年1月中旬に仮内定をもらったため、滞在許可の申請が遅れてしまいました

そこで1月18日に、前回お世話になった市役所/入局管理局の担当者Sさんにメールをしました。1週間経っても返事が来ないので、もう一度メールを送りましたが、やはり返事がきません。市役所/入国管理局の総合窓口にもメールしましたが、音沙汰がありません。電話をかけてみましたが、当然ドイツ語なので自動音声を理解できず、先に進めませんでした。

市役所に行って事情を説明すると、担当者Sさんの名前とメールアドレスを教えてもらいました。しかし、その情報はWebに載っているので、私は既に知っていました。市役所の総合窓口はドイツ語しか通じなかったため、話が全く通じませんでした。そうこうしているうちに、2月になりました。

ゲッティンゲン市役所(Neues Rathaus)。住所は、Hiroshimaplatz 1-4, 37083 Göttingen.
住所に「広島」が入っているのが感慨深い

自分ではどうすることもできなかったので、ドイツ人の同僚に相談し、市役所に電話をかけてもらいました。その結果、Sさんは既に退職(異動?)されたことがわかり、新しい担当者Lさんの連絡先を教えてもらうことができました。どうやら、市役所のWebサイトが古いまま1か月間も放置されていたようです。しかも、教えてもらったLさんのメールアドレスが間違っていました。どういうこっちゃねん。

結局、Lさんから返事が来たのは、2月12日でした。私はその日中に再度、全ての必要書類を送りました。その1週間後、「書類が受理されました」という事務的なメールが届きました。何やら不安な予感がします。

3. 滞在許可延長の催促

Lさんに書類を提出してからちょうど1か月経ち、3月12日になりました。しかし、まだ滞在許可証は届きません。ドイツでは滞在許可証の更新にも約3か月かかるので、まだ届いていないのは当然ですが、3月25日に滞在許可証が失効してしまうため、早く受け取らなければいけません。

もし新しい滞在許可証を受け取れなかったら、
帰国しなければいけない?
不法滞在で逮捕される?
内定も取り消される?
など、いろいろな不安が湧いてきました。

そこで、これまでの反省を活かして、研究室の秘書さんにSOSを出しました。その結果、3月15日に仮滞在許可証(Fiktionsbescheinigung)を受け取ることができ、2024年6月12日までは合法的にドイツに滞在できるようになりました。困った時はドイツ人の同僚に助けてもらうのが確実です。しかし、話はこれで終わりません。

仮滞在許可証(Fiktionsbescheinigung)。裏面にも様々な情報が記載されている


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