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【新聞連載第17回】多様性と向き合うとは

近年、『ダイバーシティ(多様性)』という言葉を耳にする機会がよくあります。この言葉が使われるときには、例えば LGBT など、人種や国籍、性別や年齢、障害などの種類分けではなく、いろんな価値観を許容できる社会にしようという動きが語られます。

ダイバーシティが重要視されつつある背景として、グローバル化に伴う社会構造の変化などが挙げられます。しかし、実際に多様性を意識しながら生活する環境にある人は少数派ではないでしょうか。


なぜこの多様性という言葉から取り上げているかというと、先日、『高校生サマーキャンプ』を初めて開催し、感じることがあるからです。

この事業では、一泊二日の中で大学生がメンターとしてワークショップを行いながら高校生と一緒に交流し、将来のことについて話し合う機会を設けました。
高校生と大学生合わせて 25 名程度参加してくれましたが、参加動機は様々です。住んでいる地域や学校、興味が違う同世代で集まる機会は、彼らの生活の中になかなかありません。

そんな彼らが、最終日には涙を流すぐらい親密な関係になりました。まさに『多様性』のあるコミュニティの中で、彼らが経験したのは『リアルな社会』なのではないでしょうか。

私たち行っている事業の多くは、参加費無料です。今回のサマーキャンプは安城南ライオンズクラブからの寄付で成り立っており、その他の事業も行政の委託事業等で運営しています。

参加費を取らない理由としては、二つあります。一つ目は、学生たちの参加障壁をできるだけ減らしたいという理由です。
彼らの普段の生活範囲の多くは、親の経済事情に左右されています。親の所得関係なく、興味を持ったら参加してもらい、次回も参加できる環境を作りたいと考えています。
二つ目は、社会人になる前の彼らに『リアルな社会』に近いコミュニティに所属し、経験してほしいという想いがあります。

有料で行なった場合の事業と、無料で行ったときの事業の見た目に差はありま

せん。学生たちが、楽しく一生懸命成長していく姿は両方に見られます。

しかし、有料の場合には家庭の所得や親や学校との関係、個人の能力差、障がいなど診断されている子どもたちの参加障壁は確実に高くなります。
つまりコミュニティが画一化されていくのです。

彼らの生活の中で、『社会』を実感して成長できる場所は、自ら探さない限りありません。だからこそ、私たちは実際の社会に近い多様性があるプロジェクトの中で、様々な個性を持った人たちや新しい価値観に出会い、考え行動できる場を作りたいと考えています。


(2019年9月11日 東海愛知新聞掲載)

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