『解説(「新潮日本文学6谷崎潤一郎集」)』を読む
美の基準は性的興奮 三島は『新潮日本文学6谷崎潤一郎集』に寄せた解説の中で、『金色の死』という谷崎の作品について以下のように語る(決定版36,89ページ)。
三島の『金色の死』解釈によれば、岡村君(谷崎自身)における美の基準はただ視覚的官能(見ることによる性的興奮)だけである。ところで岡村君(谷崎自身)は男性なので、彼が異性愛者であれば、彼にとって美しいのは、男性の肉体ではなく女性の肉体なはずである。ではなぜ岡村君(谷崎自身)は、自分の肉体を美しくしなければならないのだろう