いまさら聞けない! HUNTER×HUNTERってどんな漫画?
5月24日。ひとつのツイートが、twitter界を震撼させました。「冨樫義博」と名乗るアカウントが唐突に、「とりあえずあと4話。」というツイートに、自身の絵とみられる画像を添えて投稿したのです。
果たして彼は本当に冨樫義博なのか?という憶測がtwitter界を駆け巡りましたが、元アシスタントや、他の漫画家さんが「本人でした」とツイートしたことで、さらにtwitter界は震撼。このツイートは現在、50万リツイート以上、142万いいねという規格外の反応をされています。
にわかに祭りが起きる中、恐らく多くの方はこう思っていることでしょう。
(HUNTER×HUNTERってどんな漫画なん・・・?)
正直、僕も2ヶ月前までは全然知りませんでした。冨樫義博先生の作品は好きなのですが、HUNTER×HUNTERはとても休載が多いので、追いかけても最後はその次が読めなくなってしんどいだろうなと思い、追いかけていなかったのです。
ですが、Twitterのフォロワーさんから勧められたりしたので、この機会にと思って読み始め、5月中旬に最新刊まで到達。そこから10日で例のツイートを見たので、かなり自分の中ではテンション上がってます。
恐らく、冨樫先生のツイートをきっかけに、HUNTER×HUNTERってそういえば読んだことないな~とか、ちょっと読んでたけどリタイアしちゃったから最近の話は知らないな~とか考えている人は多いと思うので、まだ自分の記憶も新しいうちに、HUNTER×HUNTERについて、概略や作品の特徴、魅力的なポイントについてまとめてみたいと思います。なお、序盤は作品概要や主要キャラクター紹介、エピソードざっくり紹介などを書いておりますので、作品の見どころを知りたい!という方は第4項である「作品の見どころ」までジャンプしてください。
●作品概要
HUNTER×HUNTERは1998年に週刊少年ジャンプ(以下:ジャンプ)にて連載が開始された作品です。作者の冨樫義博先生は、ジャンプ連載2作目の「幽遊白書」が爆売れして一躍、トップクラスの漫画家となり、幽遊白書の最終回以降、月一で2年間にわたり連載された「レベルE」を経て、1998年からHUNTER×HUNTERを連載、今に至ります。
僕は幽遊白書がすごく好きで、その後に読んだレベルEも(展開が読者置き去りすぎてちゃんと覚えきれなかったですが)とても面白く読めたので、おそらくHUNTER×HUNTERにもハマるだろうと思っていましたが、1話目からいきなり半端なく面白くて、一話もつまらない回がないまま300話以上も読んでしまいました。おそらく、幽遊白書が好きな人は、HUNTER×HUNTERも楽しめると思います。
ジャンルとしては冒険漫画と思われます。敵とのバトルも描かれますが、大勢の敵を倒し続けるというより、強敵をいかにして倒すか、あるいは目的をどう達成するかということのほうに主眼が置かれているように思います。
ジャンプ漫画によくある設定ではありますが、主人公も敵も、特殊能力のようなものを使って戦うのが基本です。ジョジョの奇妙な冒険でいうところのスタンド、僕のヒーローアカデミアでいうところの個性、ドラゴンボールでいうところの気にあたるものが、HUNTER×HUNTERでは念能力です。念能力に関しては後でもう少し詳しく解説します。
●主な登場人物
パート別に、色々な登場人物が出てきますが、主な登場人物(味方キャラ)は4人です。
ゴン=フリークス
今作の主人公。12歳。まだ見ぬ父の話を、育ての母親から聞き、父・ジンもハンターであったため、ハンターになることを決意する。見た目通り、とても純粋な感情を持つ。ハンターになるための「ハンター試験」を受けるために乗り込んだ船の中で出会った仲間たちが、メインキャラとなる面々である。
キルア=ゾルディック
暗殺を家業とするゾルディック家の三男。12歳。数々の修羅場をくぐってきており、時折、冷徹な表情を見せるが、ゴンや他の仲間たちと出会い、優しくて仲間思いな人物となっていく。
クラピカ
同胞を皆殺しにされた復讐のためにハンターになることを決意。17歳とは思えないほどの判断力の早さと聡明さと残酷さを併せ持つ。男性か女性か分からない時期が長かったが、どうやら男性らしい。
レオリオ=パラディナイト
医師になるための資金を貯めるべく、ハンターの資格を得ると金銭的にも恵まれるため、ハンターを志す。見た目はかなり他の3人より年上に見えるが、初登場時は19歳。かなり一本気で、すぐ熱くなる性格だが、仲間のために熱くなれるナイスガイ。
あと、味方キャラではないですが、初期から現在に至るまでよく出てくるキャラを1人。
ヒソカ=モロウ
ゴンたちと同じ年にハンター試験を受けに来た殺人狂の男。とにかく圧倒的な力を持ち、大抵の相手は無惨にも殺してしまうが、ゴンの潜在能力には惚れ込んでおり、彼が成熟するまで待っている。強い敵と戦うことが性癖。なお、ピエロっぽい容姿はメイクによるもので、実際はイケメン。語尾に♠や♣、♥などのトランプのマークが良く付く。
※なお、メインキャラとは言いましたが、クラピカとレオリオは連載中、10年ほど登場がない期間がありました。HUNTER×HUNTERとはそういう漫画なのです(笑)。
●ストーリー概要
HUNTER×HUNTERはエピソードごとに、幾つかのパートに分けることが出来ます。ザックリ書いていきます(Wikipediaにも載っています)。
ハンター試験編(単行本1ー5巻)
ゴンたち4人がハンターになるべく、ハンター試験を受けにいくエピソード。実はここで4人中、キルア以外の3人がハンター試験に合格します。HUNTER×HUNTERは彼らがハンター試験に合格するまでの話ではありません。試験合格後、ゴンたちは家に帰ってしまったキルアの元へ向かい、キルアと再会。今後の行動を共にしていきます。
天空闘技場編(5ー8巻)
クラピカとレオリオとひとたび別れ、ゴンとキルアは修行と小遣い稼ぎとのために、天空闘技場と呼ばれる格闘場のあるタワーにて、猛者たちとの戦いに明け暮れます。この天空闘技場編にて、作中で重要なキーワードとなる念能力の存在が明かされ、ゴンもキルアも念能力を磨く修行をします。一定の成果を得た彼らはゴンの生まれた島に戻り、ゴンの父・ジンの残したメッセージを聞きます。天空闘技場編は想像以上にアッサリと終わります(笑)。
ヨークシン編(8ー13巻)
ヨークシンという街で開催されるオークションに、クラピカの同胞・クルタ族の目(緋の眼)が出品されると聞き、その同胞を皆殺しにした連中である幻影旅団も来ると睨んだクラピカ(とレオリオ)と、ジンが携わったゲームである「グリードアイランド」が出品されると聞いたゴンとキルアは、それぞれの目的のためにヨークシンに集まります。2組は別の目的でしたが、双方の目的を協力し合います。結果、クラピカは旅団の一人を殺害、団長であるクロロ・ルシルフルの念能力を使えなくし、緋の眼も取り返すことに成功。ゴンとキルアも、「グリードアイランド」をプレーする権利を獲得します。クラピカが旅団への復讐を果たすのが案外早くて本当にビックリしました(笑)。
グリードアイランド編(13ー18巻)
自らがゲーム内の世界に転送されたうえで、ゲーム内に隠されたカードをコンプリートすることが、「グリードアイランド」のクリア条件でした。ゴンとキルアは、ゲーム内にて、ハンターの先輩であるビスケと出会い、念能力を鍛え上げられます。ゴンたちは明らかな悪意を持ってゲーム内に侵入し、プレーヤーを殺しまくっていた爆弾魔を倒し、ゲームをコンプリートします。作者のタイトルのつけ方が一番面白いのがグリードアイランド編だと思います。
キメラアント編(18ー30巻)
ゲームをクリアし、ジンのいるところへ行けると思っていたゴンとキルアでしたが、ジンがそうさせてはくれず、2人はジンの旧友であり、凄腕のハンターでもあるカイトの元に行かされてしまいます。そこでカイトの仕事を手伝ううち、他の生物を食べて強大化して子孫を残していくキメラアントとよばれる怪物蟻の存在にたどり着き、彼らを倒すミッションをせざるを得なくなります。仲間たちを含め、多くの人間たちが次々と殺されたり、蟻の描写が気持ち悪かったりするため、かなり読むのはハードですし、エピソード自体も長いのでなかなか最後まで読めないですが、終盤の展開はHUNTER×HUNTERの中で最も印象的で、感動的です。
ハンター会長選挙編(30ー32巻)
ハンター協会の会長がキメラアントとの戦いの中で戦死してしまったため、次期会長の選挙が行われます。同時に、この戦いの中で死力を尽くして戦いすぎてしまったため、ミイラのようになってしまったゴンを、キルアが弟・アルカの力を使って治そうと試みます。レオリオが久しぶりに登場し、クラピカも久しぶりに現在の姿が明かされます。最後はゴンも、念能力は使えないまでも復活し、ジンと再会する夢が叶います。
暗黒大陸渡航編(32巻ー)
ゴンたちの住む世界から海を渡った先にある、巨大で未知の大陸・暗黒大陸に向かうという計画が、ひとつの強国から発表され、先を越されまいとしたハンター協会側を含む先進国たちも暗黒大陸に渡ることとなります(※向かうための船は同じです)。新登場のキャラクターも膨大なうえに、説明セリフも長く、唐突にクロロと、彼との対戦を初期の頃から願っていたヒソカとの戦いが描かれたりと、正直、かなり読みづらいエピソードではあるのですが、ようやく面白くなってきたところで現在休載中です。
●作品の見どころ
はい! ここまでが、wikiにも載ってるだろ!と言われそうな内容でした。ここからは個人的な、ここが面白い!と感じるポイントの紹介になります。
・設定の作り込みの深さ
HUNTER×HUNTERを読んでいて真っ先に思うのが、とにかく作りこまれた設定です。特に、念能力が出始めたあたりからは、作者の解説がなければ全くついていけないほどの展開になることも多いのですが、そもそも、それを描けるだけの、ビッシリ敷き詰められた設定が最初に考えられていることに感嘆させられます。
※「念能力」は少し前にも書きましたが、個人それぞれの型を持つ特殊能力のようなものです。”〇〇系”という大まかなカテゴリで表されます。
念能力の解説は幾つも出てきますが、基本的には6種類に分けられ、個人それぞれに得意な〇〇系があります。隣り合っている〇〇系は比較的、習得しやすい反面、逆サイドのものは覚えにくいとされています。
たとえば、ゴンは「強化系」が得意で、「放出系」や「変化形」は比較的、習得しやすいですが、「特質系」を覚えるのは不向きです。
なお、念能力の多くは、日本語表記と同時にカタカナ表記のあだ名のようなものがついていて、それが独特の魅力を醸し出しています。”律する小指の鎖”や、”携帯する他人の運命”、”番いの破壊者”あたりが個人的には好きです。念能力だけでもかなりの文字数を使ってしまいそうなのでこれ以降は割愛します。興味がありましたらぜひ、ご自身の眼でご確認ください。
先にも述べた通り、念能力が登場したあたりから、戦っているキャラのモノローグや、作者コメントが非常に多くなります。ただ、その作者コメントの独特なリズム感が、人によってはかなり気持ちよくハマってきます。ここを面白いと感じる人はHUNTER×HUNTERにハマると思います。
特に、キメラアント編の後半は、登場人物のセリフやモノローグ以上に作者コメントが多く、ほとんどが作者コメントと漫画の絵だけで構成されていますが、言葉の選び方や入れ方が本当に秀逸で、まるで小説を読んでいるかのような気分が味わえます。個人的には、そのあたりを読んでいる時が一番、鳥肌が立ちました。
●独特なストーリー構成
その作り込まれた設定や、それを説明する作者コメントもですが、ストーリー構成も非常に独特で、しかし王道のような安定感があります。
基本的に、HUNTER×HUNTERのエピソードは二軸展開です。たとえばヨークシン編は、旅団に復讐しようとするクラピカの計画と、グリードアイランドでプレーしようとするゴンたちの計画とが、同じ話の中で同時並行で進められ、読む側を飽きさせません。二軸展開は情報量が多くなりますし、うまく描かないとどちらのストーリーもごっちゃになってしまって理解しきれなくなりますが、読んでいて頭が混乱しないようにうまく整理されています。「漫画」としても面白いですし、「映画」のようなドラマチック感もあります。
また、普通の漫画だと省略されがちな部分も、かなり細かく書いている印象があります。たとえば、突然現れたキャラが「俺はお前の見方だ」と言っても、普通の漫画ならなぜかアッサリ信用しちゃってることも少なくないですが、HUNTER×HUNTERは信頼するまでにかなりのページ数と文字数とを使います。ちょっとまどろっこしいなと思う時もありますが、話されてることが理にかなっていて正論なので読めてしまうという印象です。
作者のもうひとつの代表作・幽遊白書もすごく好きですが、正直、「この展開、他の漫画でも見たことある」というものは割と多いです。しかしHUNTER×HUNTERは、こと展開においては、他の漫画でもあまり見たことのない、予想外の展開をしていくことが多いです。長く引っ張りそうだなと思っていた目的が案外アッサリと達成されることも多いですし、久しぶりに出てきたキャラが唐突に死んでしまったりすることも珍しくありません。しかし、奇をてらっているような、敢えて無理に変な展開にしている感がないのが、作者の才能と努力の結果なのかなと思います。
●作品を貫くテーマ
作品の中で軸となっているテーマは、人間ドラマです。仲間を信頼して目的を果たしたり、大変な状況にある友人のため、リスクそっちのけで助けに行ったり、大富豪がゲームに拘る理由であったり、時には、人外と人間との愛の交友も描かれます。このテーマはいわば王道ともいえるテーマですが、展開が色々と予想外だからこそ、王道のテーマがグッと心に迫ってきます。
●名言シーン
HUNTER×HUNTERは「名場面」が印象的な漫画で、いわゆる「名言」はそこまで多くないかな、と思いますが、幾つか紹介します。どんな場面で~とは敢えて言いません。読んでいる時にこの場面に来たら、これか~!と思い出してください(笑)。
●無料で(だいたい)読める方法
ここまで読んでみて、なんか面白そう! でもコミックス買いそろえるのも大変だし、ネットカフェに行く時間やお金ももったいない・・・という方、多いと思います。業者ではないですが、僕が実践した方法をご紹介します。「ゼブラック」と、「ジャンプ+」という漫画アプリ。この2つはどちらも、36巻のうち、33巻まで無料で公開されています。ただし、1日に読めるのは、最大30秒間の広告を何度か見る工程を経たとしても、両アプリそれぞれ5話ほどが限界です。ただ、コミックスはおよそ10話ほどですから、どちらもフルで使えば1ヶ月強で33巻まで読めます。残りの3巻はどうしようもないので、買うか、ネットカフェで読みましょう(笑)。
●およそ4年間の休載の終わり。今年中には…?
以上、簡単ではありましたが、HUNTER×HUNTERについてまとめてみました。16年前から休載が目立ち始め、年に一度、数ヶ月ほど読めたら嬉しいという状態にまでなっている漫画ですが、そこまで待つだけの価値は確かにある漫画です。2018年までの休載率は以下のようになっています。繰り返しますが、休載率です。2019~2021年は全て100%です。
現在の話は、暗黒大陸に向かう船の中です。王位継承をめぐって、王子たちが静かにバトルしまくっています。久しぶりにクラピカが出演中ですが、クラピカ以外の主役キャラはほとんど出てきません。ただ、読みづらい中でも今は面白くなってきています。
冨樫先生の今のツイートを見る限りでは、今は連載予定の10話のうち、7話目を執筆中のようです。ネーム(漫画の簡単な絵の構成や、プロットが描かれたもの)は既に完成しているようなので、あとはペン入れなどの作業を経てから公開でしょうから、ジャンプ誌面に載るまではまだ少なくとも、3ヶ月以上はかかるのではないかと思います。ただ、ついに続きを読めるという期待と興奮の方が今は断然、大きいです。
今回はタイムリーかつ、書いてみたい話題だったので、HUNTER×HUNTERのことについてnoteを書いてみました。次回からはまたドラフトの話題に戻ります。今月中に2本は書きたいと思っています。少しでもいいなと思われましたら、高評価してくださると嬉しいです。それでは、また次回のnoteでお会いいたしましょう。バイバイ!
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