香水(特にニッチフレグランス)にハマった
■はじめに
この記事は香水の感想やレビュー等では無く、突然ニッチフレグランスにハマリ正気を失った、ただの会社員が気持ちを落ち着かせ少しでも冷静になるための記録として書いているだけなので、何ら有益な情報は得られないことを断言しておく。
■よみがえる熱
アカウント開設したものの放置してあったNOTEをまさか、こんなことで使うようになるとは思いもよらなかった。
2022年7月から急激に香水熱が高まってしまった。
とはいえ、見出しにもあるように初めてではない。過去にも同様なことはおきている。いわば、リバイバルだ。
そしてこの熱は始まったときと同じく急速に引くかもしれないが、2022年08月現在大フィーバー中である。
LINEで友人に吐き出していたものの、興味のない人間を付き合わせても気の毒であるし、反応にも困るだろう。
また隙あらば鼻息荒く長文自語りをして、数少ない友人を失いたくないという自制心もあり、胸に仕舞っておこうとしたのだが、今の狂った気持ちを吐き出したいという衝動が抑えきれず、この文章を綴っている次第である。
そのためこれ以降は正に長文隙自語以外のなにものでもない。(大事なことなので2回言う)
■過去への旅
前回、香水熱が高まったときは自分がバラブームだったため、バラの香りが多い。
記事を書くにあたり引っ張り出して確認したところ、ほとんどが廃盤となっていた。香りにも流行があるものだ、と、しみじみした。
これだけ経年していれば取っておくことも無いのだが、1本1本思い出があり、捨てられずにいる。
確かいちばん始めに購入したのは、エリザベスアーデンの「グリーンティー」
バリ島に行くため乗り換えしたジャカルタの免税店で購入したため、ウブドのライステラスの景色とガムランの音が蘇る。
「沙棗 SASO」はハワイ旅行に連れていった。ハワイ島の開放的な空港に降り立ったときプルメリアのような甘い南国の空気の中で、渋い香りがふわっとしたっけ。
アニックグタールの「ローズアブソリュ」は今は無き三越パリで、はしゃいで購入したもの。その時は、なんて良い香り! と、思ったものの、帰国し旅行ハイが落ち着いてみれば、日本の湿度のせいか濃くて単調で、しまいこんだもの。
旅の思い出ばかりではない。
「ホワイトローズナチュラル」は渋谷マークシティのセフォラに行ったが在庫が無く、恐る恐る、銀座のセフォラに行って買ったのだ。初めてのお使いならぬ、初めての銀座でのお買い物だったと思う。
せっかく銀座に行ったなら資生堂で買えよ。と、思わないでもないが、若い陰キャのコミュ障にとってはキラキラしたBAさんと話し目的を達成するなど敷居が高く、スーパー感覚で商品が試せ購入できるセフォラはありがたかったものだ。
まったく、プルースト効果とはよくいったものだ。
手にとって匂いを嗅ぐと、その時の気持ちや情景がまざまざと思い浮かぶ。
中には当然不愉快な思い出もあり、前回の香水熱が冷めたきっかけとなったものがそれである。
■過去の終焉
ブルガリの「オパフメ エクストリーム」は爽やかな柑橘と緑茶の香りだ。
最初は柑橘がすこし尖って冷たい印象だが、しばらくすると柔らかいフローラルティーの香りになる。
職場で着けていても良かろう。と、判断した自分はこの香水をアトマイザーで携帯し楽しんでいた。
この職場というのが、女性社員だけに制服があり女性社員だけに「お茶当番」という業務があり、昼食は会議室に集まって食す。
と、いった「ザ・昭和」テイストだったため、身なりや持ち物になかなかに気を遣う現場だったのだ。
(余談だが、若かった自分に仕事の基礎を教えてくれた女性係長達には今でも感謝している。)
まあ、そんな環境で、香水は服の下にアトマイザーで1、2プッシュするくらい、気分転換をしたい時にトイレで少しつけ直し、誰からも注意を受けること無く楽しんでいた矢先、先輩女性社員から『営業の○○さんが、AKIさんが俺が好きになる女の子の匂いさせてる。って、言ってたよ~』と、言われたのだ。
その、ニュアンスがまるで『俺に気があるから、俺のために俺の好きな匂いをさせている』というようなニヤニヤした感じだったと。
いや、ちょっと待て。
直接『良い匂いだね』と言ってくれればともかく、なんだそれ、怖い……。
考えてみれば、世の中にはごまんと「モテ香水」を謳うものがあり、モテるために香水をつける人も存在するのだから、そこまで忌避するものでもなかったのやもしれないが……いや、やっぱりその勝手な思い込みは怖い。
それ以降、くだんの男性社員の席を遠回りするようになった。そして、なんとなく香水を着けなくなり買わなくなっていたのだ。香水熱の終焉である。
■現在を生きる
と、まあ、過去の話は前段でここからが本題である。年寄りの話は長くていけない。
現在進行形でハマっているのはニッチフレグランスだ。
よりによって、この円安時期にハマらんでもと思う(案の定、各ブランドが値上げ済もしくは値上げ予定)が、人は恋に落ちることが予測できないように沼にハマることも予測できないものなのだ。
きっかけは今年に入って罹患していた石けん熱だ。
フレグランスブランドは同時に石けんを販売していることが多いのだ。
知識のほとんどをインターネットから仕入れている引きこもりコミュ障のババアは「石けん 良い匂い」「ステキ 石けん」等で検索するうち、出会ってしまったのである。ニッチフレグランスに。購入した石けんのオマケのサンプルという形だったが。
そこは“俺の知っている香水と違う”世界だった。そこには名状しがたきもの、深きもの、夢見る力があり、そして自分はSAN値チェックに失敗した。
■そしてフエギアへ……
SAN値を失ってからは早かった。インターネットで「ニッチフレグランス」を検索しまくり検索結果上位に出てくるブログやまとめ記事を読み、NOSE SHOPの商品一覧をなめるように見ていた。
そんななかで知ったのはニッチフレグランスのなかでも「FUEGUIA 1833 (フエギア)」というブランドは別格だと。そして店舗は国内に2ヶ所。六本木と銀座にしか無いと。
六本木と銀座……それはデブで指毛ボーボーのババアにとっては、非常に敷居が高い。いってみれば、高いビルの屋上で縄を見せられながら、ここから飛び降りるのと、縄で首をくくるのとどっちが良い? って聞かれているようなものだ。
なぜ、新宿と池袋に出店してくれなかったのだ。
この時インターネットでサンプルを取り寄せることを思い付かなかった。「この目(鼻)で確かめねば!」という謎の使命感から悩んだ末に銀座に向かったのは、お盆休み真っ只中の暑い日だった。
おそらく客が多いだろうから、あわよくば人ごみに紛れて目立たず試香だけして帰ってこれないか。という、ズルい気持ちもあった。
そして、ソシャゲの水着イベントのための資金があっという間に1本の香水に化けた。
さようなら、水着マーリン。さようなら、水着スカサハ。
「Biblioteca de Babel(バベルの図書館)」ビブリオテッカ・デ・バベル、ボルヘスの短編に出てくる、六角形の書庫の連なった無限の図書館の香り。
自分の初フエギアである。
そして既に次は「El Mono de la Tinta(墨壺の猿)」(「幻獣辞典」の墨猴からイメージした匂い)が欲しいのである。
デカイリュックを背負った汗だくの挙動不審のデブスババア(GINZA SIXの入口が見つけられず、ムダに外をウロウロしていた)に声をかけ、どんなものが好きか聞き取って提案してくださった店員さん、マジリスペクトである。
■沼は深い
そして、この記事を書いている今、パリから取り寄せている、ニッチフレグランスのサンプル(商品代金と送料が同じくらいの値段だった)が気になって、日に何度もフェデックスのサイトでステータスを確認してしまうのだ。
到着予定は8月24日ごろだと明記されているにも関わらず。
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