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盛岡を、旅する。

このGW、せめてどこかには行きたいと思い、思い付いたのが盛岡でした。山形からもさほど遠くなく素敵な店が多いので、ずっと行きたいとは思いつつコロナ禍もありなかなか機会がありませんでした。で、今回はホテルが取れちゃった(しょうもないホテルでしたが)ので思い立って一泊二日の弾丸旅行で行って参りました。

盛岡ならでは?の自販機。


⚪️1日目(2024年5月3日)

盛岡駅に着いたのが午前10時過ぎ。真っ直ぐホテルに行って荷物を預け、そのまま街へ。その後は歩いて巡った順に紹介します。

・光原社本店

盛岡駅に着いてまず向かったのは光原社の本店。我々は民藝系の器や雑貨が大好きなので必ず行きます。ここは東北における民藝の聖地なのです。店内は撮影できないので外観だけ。今回は前回入れなかった可否館にも行けました。やはりここは特別な場所です。

外観から渋いでしょ。
中庭から見た透明感も好き。
こちらで念願のコーヒーをいただきました。
オアハカのこれは牛か?
この山羊にチアシードをくっつけるそうです。生えるともこもこに。

「オアハカの動物」と「山羊(もこもこチアシード)」を購入。盛岡の土産、では無いけど(笑)。山形じゃ絶対に買えないから。道路をはさんだ向かい側にはモーリオ。こちらでもお土産を買いました。

光原社モーリオ

「ひとくち味噌羊羹」と「くるみクッキー」を購入。

くるみクッキーは僕の好物だぜ。


・石割桜

光原社から20分くらい歩いたでしょうか。お爺ちゃん(私)はすでに疲れ始めましたが、石割桜が見えてきました。石の割れ目に桜の種が入り込んでそこで芽吹いて成長したために石が割れたのだそーだ。根性のある桜です。花が咲いている時にみたい。

・スパイスキッチンじょし家

昼は石割桜から程近いところにある南インド料理の「スパイスキッチンじょし家」で。「ランチミールス」というセットメニューです。メインのカレー(選べる)に、サンバル(野菜のカレー)、ラッサム(スープ)、パパド(揚げ煎餅)、付け合わせ、最後にチャイ。美味しかったです。お店の感じはちょっともっちゃり(笑)してましたが。


・岩手県公会堂

大正12年に建てられたという美しい建物です。様々なイベントにも使われています。中も見たかったけれど、外だけで我慢。このあと川を超えて紺屋町に。


・紺屋町番屋

「1891年盛岡消防よ組番屋として現在地に建てられた建物を1913年消防組第四部事務所として改築されたものが現在の建物」だそうです。現在はカフェと雑貨屋。建物はかわいいですね。まあ中身は可もなく不可もなく。


・shop + space ひめくり

紺屋町はいろいろ面白い店が集まっています。こちらの「ひめくり」は「地場のもの」と「紙にまつわるもの」の雑貨店で、時々フリースペースやギャラリーにもなるそうです。Tシャツが可愛かったです(買わなかったけど)。


・BOOKNERD

盛岡で絶対に行きたかった場所の一つがこの「BOOKNERD」です。置いている本のセレクトがここは特別なんです。BOOKNERDの「NERD」は「オタク」の意。まさにここは「本オタク」が集まる本屋、聖地ですねこれは。欲しい本がありすぎて時間を忘れてしまう。

店の前には FIAT panda。maintenanceが大変そう。

せっかくBOOKNERDに行ったのでせめて何かを買いたいと思いこれを。はい、盛岡とは全く関係ないですね。ヴェンダースの映画『パーフェクト・デイズ』の舞台となったあの公衆便所の本。

お店に伺った時に流れていたのがこちらのPete Jolly。音楽のセレクトまでさすがです。


・クラムボン

そろそろお茶にしようと行ってみたのが「クラムボン」。クラムボンとは宮沢賢治の童話「やまなし」に登場する生き物の名前なのだそう。一体どういう生物かは諸説あるが謎のようです。

残念ながら結構小さいお店なので、いっぱいで入れませんでした。でもお店の方は感じが良かったですよ。あきらめて「また今度」と言ったらコーヒーをくれました。

もらっちゃいました。


・釜定

盛岡は南部鉄器の街でもあります。通りかかったの入ってみた「釜定」。素敵な店構え、鉄器も素晴らしいのですが、結構なお値段なので尻尾を巻いて出てきました。


・関口屋菓子舗

こちらは創業明治26年(1893年)、四代にわたって盛岡駄菓子をつくり続けているという関口屋菓子舗です。店構えも良いし、お菓子も素朴で良い。

とても渋い店構えでっす。

「盛岡駄菓子」の詰め合わせと「焼酎糖」。酒の飲めない体には、焼酎が結構ガツンときます。


・長沢屋

もう一つすぐ近くにある和菓子屋さん。こちらはなんと1853年創業の「長沢屋」。「黄精飴」というお菓子が有名な老舗です。売っているお菓子はたった3種類だけとのこと。行った時には黄精飴しかありませんでした。

「黄精飴」は飴というより求肥のような柔らかい餅菓子です。あまり日持ちはしないようですが、上品なお味。パッケージも良いです。

こういう包装をちゃんと残しているのがよい。


・森九商店

紺屋町の荒物雑貨店で、なんと創業は1816年。竹細工のカゴやザル、タワシや箒などを販売しています。でもなんと言ってもここは景観重要建造物に指定されている建物ですね。正直観光客が買うものはありませんが、たわしを買って帰ってもいいじゃないですか。

もはや時代劇にでてきそう。
まさか箒を買って帰るわけにも行かず。


・盛岡信用金庫

盛岡の街を歩いていると良い建物がたくさんあります。ちなみにこちらは盛岡信用金庫。神殿のようです。


・岩手銀行赤煉瓦館

1911(明治44)年に盛岡銀行の本店行舎として落成したものだそうです。ここに辿り着いた時にはもう大分疲れていたので、ちょっとだけ中に入りましたが、クラフトフェアかなんかが開催されていて人がゴチャゴチャいました。設計は東京駅と同じ建築設計事務所とのこと。ほんと素敵な建物が多い盛岡です。


・一旦ホテルへ

岩手銀行赤煉瓦館をみたあたりでホテルのチェック・インの時間になったので、すでに疲れ果てた老夫婦(わしら)は一旦ホテルへ。しかし盛岡の街はこういう綺麗な景色が随所にありますね。

ホテルに着いた途端猛烈な寒気がしてダウン。しばし仮眠。ちょっと動きすぎかも。


・Mitad Y Mitad

その後なんとか復活して夕食へ。光原社の向かい側のビルの2階、スペイン料理「Mitad Y Mitad」へ。盛岡だからってわんこ蕎麦や冷麺やじゃじゃ麺は食べたくなかったので。食欲はまったくなかったけど行きました。美味しいお店でしたが、元気な時にまた行きたい。食べたものは以下の通り。

イワシのマリネ
タコのガリシア風
魚のソテー(甘鯛)
鶏のクリーム煮

まだ体調が思わしくなかったので、早々にホテルに帰室。熱いお風呂に入ってすぐ就寝。


⚪️2日目(2024年5月4日)

・六月の鹿

翌朝はなんとか復活。随分長時間寝てしまった。
朝一で以前からとても行きたかった「六月の鹿」へ。「モーニングコーヒー」と「あんこスコーン」をいただく。コーヒーにこういう表現が相応しいかどうかとは思うけど、とても端正なコーヒーだと思います。窓から見える緑も美しく、BGM(あのギターはだれ?)もインテリアも潔い。小さいけどとても良いカフェです。完璧に惚れました。ここはマスト。

店構えも美しい。
モーニングコーヒー。
モーニングコーヒー。ミルクをつけるとこういう器に。
スコーンも美味しい。
大きな窓から緑が溢れてくる。

お土産に「六月の鹿」のコーヒー豆。ブレンドとグァテマラを。


・盛岡城址公園

盛岡城址公園は、一部修復中ですが石垣が立派です。本丸には銅像の台座だけが。これは「日清戦争で戦功した藩主子孫の南部利祥の銅像が建っていた台座が残っています。この銅像は昭和19年に戦時中の供出で撤去され、現在は台座のみとなっています。」そうです。台座だけというのが歴史を伝えるのでしょうが、ちょっと不気味かも。ただ本丸から岩手山が木の影になって見えないのはとても勿体無いし、ビルも景観を邪魔していてちょっと残念。

石垣はど迫力。
台座だけの銅像はちょっと異様。
美しい岩手山だが、ビルが邪魔だっちゅうの。


・盛久ギャラリー

ここは元々は旅館だったそうですが、現在はギャラリーとして使われています。素晴らしい建物です。連休中はギャラリーの展示をする作家がいないそうで、棟方志功、浜田庄司、河井寛次郎などギャラリー収蔵の民藝の作品などが並べられていました。これが我々にとってはむしろ嬉しかった。良いタイミングでした。

ここもかっこいいよね。
棟方志功です。
奥のガラスの飾り棚には浜田庄司、河井寛次郎。
これは松本民芸家具だ。
棟方志功がいっぱい。


・Cyg

東北の作家に焦点を当てた企画展を行うギャラリーです。この日は宮城県出身の美術作家・佐竹真紀子さんの展示が開催されていました。ショップもあり、雑貨や本、アート作品も販売されています。綺麗で開放感があって素敵な場所です。ここで盛岡の情報を得るのも良いかも。

佐竹真紀子さんの展示。
盛岡や岩手全体の情報を計差している雑誌など。
本や雑貨

黒丸健一さん作のアートポスター「岩 手」。能登半島地震支援チャリティー展「やわらかなひかり」の展示作品。ご覧の通り岩と手。


・HOLZ

家具やインテリアのお店。ここが今回の旅の終点。以前から来てみたかった場所です。ただこの日は木工作家、盛永省治氏の個展が行われていて普通の商品がみられませんでした(行かなかったけど2階にあったのかな?)。ちょっと残念。盛永省治氏の作品は素晴らしいのですが、ちょっと手が出る価格ではなくて....

建物が素敵。
盛永省治氏の個展のフライヤー。


・帰路

盛岡駅に戻って帰り際に駅ビルのお土産屋を覗くのも旅の楽しみです。最後はちょっとジャンクなものを。かきは普通に美味しそうだけど、鯖缶は山形の赤鬼がデザインした缶詰だったのうっかり買ってしまった。帰りの新幹線ではもちろん爆睡です。

○おわりに

一泊二日の弾丸盛岡旅行でした。思えば前回行ったのは11年前、岩手県立美術館の「アントニオ・ロペス展」以来でした。この展覧会は、僕が過去に行った展覧会の中でもベストのひとつ。公開されたばかりの映画『瞳を閉じて』のビクトル・エリセ監督の25年前の長編ドキュメンタリー、『マルメロの陽光』のモデルがアントニオ・ロペスです。

その時光原社などにも行って、以来盛岡は常に行きたい街の一つであり続けています。ニューヨーク・タイムズが発表した「2023年に行くべき52カ所」の第2位に選ばれたせいか、盛岡の街は多くの観光客で賑わっていました。今日(5月7日)山形市の繁華街に行ってみたら閑散としていて、随分差があると感じました。それだけ盛岡の街は街の中に見るべきところが多く、街としての魅力にあふれています。だから遠からずまた行きたいと思います。今回は二日(というより実質一日半)の間に見たいところをほぼ見ましたが、正直体力的に厳しすぎました。今度はもっとゆっくりと、そして食に関してもう少し調べて行きたいです。盛岡に詳しい方情報をください。

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