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古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について⑧〜持った人がステキに見えること

「kosaku」は古作こぎん刺しの図案をバッグに仕立てるブランドです。

こぎん刺しの良さや古作の魅力を表現したいと作ったブランドですが、人が持ち歩き使う「バッグ」なので、何よりも気になるのは人が持ったときにどう見えるか、持った人がステキに見えるか、です。

kosakuではセミオーダースタイルをとっていて、可能な限りオーダー主様と対面で打ち合わせをしています。
ご自身が使われるもののオーダーなら最初に、サンプル品を持って姿見の前に立ってもらいます。身長や体型、その方の全身の雰囲気などとバッグがどのようにマッチするか、の確認です。
洋服もそうですが、モノだけ見ていたときと、身につけたときでは印象が変わる場合もありますから。

ほとんどの方は自身に似合うものをご存知なので、それを念頭にオーダーの検討をつけてきてくださるものですが、例えば、ショルダートートを注文するつもりだったけど持ってみたら意外にクラッチバッグが一番しっくりきた、ということもあったりします。
私もそれを拝見したうえで、この方ならこういう図案が似合いそう、こんな色がステキ、とお打ち合わせをすすめます。
プレゼント品の場合は、相手の方の身長や体型、普段のファッション、性格や雰囲気などをお聞きして、想像力を駆使します。

ひとり粛々と作業を進める段階に入っても、少し刺し始めて布と糸の色のバランスが見えてき始めた頃、半分くらい刺し進んだ頃、刺し終わって仕立てる前……と、途中何度も、自分で手に持ってみて姿見の前に立ち、オーダー主様やプレンゼント相手の方が手に持った姿を想像し、本当にこの図案でこの配置でいいか、この色でいいか、確認します。

刺している最中は布・糸と自分の目との距離がとても近く、ついつい一目一目の完成度ばかりに意識がいきがちですが、時々距離をとって視点を変え、頭をクールダウンするような感覚もあります。
おい、私が作ってるのは人様が使うバッグなんだぞ、持つ人が主役で、持つ人がステキに見えなきゃ意味ないんだぞ、と。

特にクラッチバッグやポーチはこぎんを刺す面積を固定していないので、「⑥図案の選び方 つづき」でクラッチバッグの刺しパターンについて触れましたが、図案と色、持つ人とのバランスが重要です。
ざっくり言うと、持つ人があまり身長が高くなく雰囲気がふわっとした方の場合、大柄の図案をびっしり全面に刺すと、ちょっと”やりすぎ”な感じになります。逆に身長がある方やはっきりした色合いのファッションを好む方に、細かめの図案で底刺し(下の方だけ刺すこと)だと物足りない。

そうやって仕上がったとき、真っ先にするのはやはり姿見での確認です。
こぎん模様が美しく見え、でも、人より前にはでしゃばらず、持つ人を引き立てるように仕上がっていると、成功!と思います。

人が持って完成。
そういう気持ちがあるので、納品のときには「ぜひ、じゃんじゃん使ってくださいね」と言ってお渡ししています。
刺繍のバッグなので、使うのに気を遣う気持ちも分かります。「きれいだから、使わないで飾っておきたいわ〜」と言ってくださるのはありがたいことです。納品した後はその方のモノになるわけで、どうしようとその方の自由です。

でもでも、あちこちに持ち歩いてくれるとうれしいなあ。
そんな気持ちで今日も古作こぎんを刺しています。

「使ってまーす」と後日お写真をいただくこともあります。
うれしい!と思うと同時に、ああ、ちゃんと似合っててよかった…と胸を撫で下ろします

Instagramでもkosakuを紹介しています
kosakuの商品概要やオーダーについてはHPをご覧ください


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