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【第30回】みしまコロッケの会会長・渡邉靖乃さん

この記事は、2023.8.28に公開したものです。

https://www.city.mishima.shizuoka.jp/media/05095060_pdf_2023831_rad7D7AA.pdf

「みしまコロッケ」で三島から世界を幸せに


 今年(2023年)誕生15周年を迎えた「みしまコロッケ」。記念の年として、様々なイベントが開催されています。「みしまコロッケ」は、生産者・事業所・市民・行政の協働による地域ぐるみの活動です。その活動の中心を担う「みしまコロッケの会」の代表の渡邉さんに、今回お話を伺いました。

——「みしまコロッケ」について教えてください。

「みしまコロッケ」は素材のジャガイモに、三島馬鈴薯を100%使ったコロッケです。2008年に生まれました。三島馬鈴薯は、品種はメークインで、GI(農林水産省の地理的表示保護制度)に登録されています。限定された地域で、厳しい基準が守れる生産者さんによる馬鈴薯です。 


三島の農業を続けていくためのブランド化


——「みしまコロッケの会」とはどんな会ですか?

 「みしまコロッケの会」ができた頃、生産者の高齢化、作付面積の減少という課題がありました。またちょうどその頃、市内に観光客が増える中で、せせらぎの街三島の街歩きを楽しんでもらいながら、気軽に食べられる地元グルメがほしい、という観光分野でのニーズがありました。そんな農業と観光のニーズがマッチして、、市役所、商工会議所、生産者のJAと市民の有志が参加する「みしまコロッケの会」が発足しました。スタート時から、この地域の美味しい野菜をブランド化し、付加価値をつけて消費者に届け、生産者の方がちゃんと農業で食べていけるという体制を整えていきたい、という想いがあり、常に意識しながら活動してきています。

—— みしまコロッケを買えるお店は、現在どのくらいあるのでしょう?

 みしまコロッケの認定店は、当初は200店舗(うち市内42店舗)ほどでしたが、この15年でコンビニやサービスエリアも含めると約1100店舗(市内約80店舗)になっています。
 最初は市内のお肉屋さんをまわって、メークインの三島馬鈴薯コロッケを作ってほしいとお願いするところから始めました。それまでコロッケは男爵のじゃがいもで作るお店がほとんどでしたが、試しに作って美味しかったという評判をだんだん頂けるようになって、知名度が上がり、レストランやお土産物店など、取り扱ってくださるお店が増えていきました。今では、コンビニやスーパーでいつでも買えるので、観光客だけでなく、市民の皆さんも身近なものになったのではないでしょうか。

——ここまでの知名度になるまでに、多様な活動をされていますね。

 コロッケで全国制覇するぞ! というくらい、夢と希望に満ちあふれていました。全国のご当地グルメが集まる大会への参加や、三コロ会(コロッケで町おこしをしている全国の3市の連携事業)を結成して、全国コロッケフェスティバルを毎年開催するなど、様々なイベントを行ってきました。
 ご当地グルメの大会出場時は、列で待っている人たちに三島産のお茶やお漬物を出 すおもてなしの心も評価されて8位に入賞しました。会場の出展者さんたちが売り物に因んだコスプレをしていて、目立つことの大事さを学びました。できることはなんでもやる精神はそこで育まれましたね。

ボンジュール!みしまコロッケ2023の様子

地域から日本中が幸せになることを願って


 この大会に限りませんが、ご当地グルメの活動をされる方々は、自分の地域から日本中みんなが幸せになるといいな、と思って活動する方が多くいて、その輪の中にいられることで、やりがいを感じます。


—— 今年の15周年記念イベントについて教えてください
 7月生まれの「みしまコロッケ」の誕生を祝う毎年のイベント「ボンジュール!みしまコロッケ」やスタンプラリーの開催、アニバーサリーフォトスポットの設置、LINEスタンプ発売、「みしまコロッケ音頭!」のお披露目と続きます。11月の三島フードフェスティバルでは各地のご当地コロッケコーナーも設ける予定です。

—— 様々な活動のアイディアはどこから生まれてくるのでしょう?

 「みしまコロッケの会」は熱い思いを持った方々の集まりで、会議で出てきたアイディアを形にしています。キャラクターの「ころもっけ」は、会議で出たアイディアから、当時の市職員が描いてくれたものです。ロゴは全国公募をし、当時4歳の三島の子の文字を採用しました。コロッケの素朴でほっとする食べ物というイメージから、心がほっこりするような字をロゴにして、食べてこんな気持ちになってほしい、という皆の想いが込められています。

—— 子どもたちに向けてはどんな活動をしていますか?
 毎年学校から要望があれば、出前授業に行っています。10年以上前から小・中学生が夏休みの調べ学習のテーマにすることが増え、話す機会も増えています。自分たちの地域のことを知りたいという、子どもたちからの思いには全力で応えたいと思っています。


みしまコロッケをソウルフードに


 コロッケの話だけでなく、それをきっかけに三島の産業を知ってもらいたいと思って話しています。給食のメニューとしても定着しています。
 みしまコロッケを三島のソウルフードにしたい、という思いは最初からありました。三島の子たちが成人式でみしまコロッケのことを懐かしく話す日が来たら本物だと思っています。

——渡邉さんはこの活動に携わっての変化はありましたか?

 私は一般市民の「食べる人代表」ですが、参加しているうちに、これって三島が好きになる活動だなあ、っていう自覚が自分の中に芽生えていきました。
 私の立場でできることは、地域の方が、地域を好きになるための窓口になることだと思っています。ちょうど学校で地域を知る学習が重要になってきているので、出前授業などさまざまな形で子どもたちに伝える活動を行っています。


当たり前の素晴らしさを伝える行動を起こす



 私はずっと三島で過ごしてきているので、三島の居心地の良さや素晴らしさを当たり前だと思っていました。けれども当たり前のことも言葉にしないと伝わらないし、伝える行動を起こさないと引き継いでいけないと実感するようになりました。
 今の子どもは、身体が三島にありながら、世の中の全てにデジタルでアクセスできる環境にいます。世界と同じレベルでなければ、自分が住む街の素晴らしさが伝わらない。特にICTの進化が加速するここ数年は強く感じるので、子どもたちには、生身で伝える必要があると思っています。

——三島の印象と今後の展望について教えてください。

 身近に三嶋大社も楽寿園もせせらぎもあるような環境の中で過ごせることの素晴らしさを噛み締める歳になってきました。子どもの頃から、すべては三嶋大社の神頼みと思っているところがあります。何か悪いことがあったりしても、大社の神様がなんとかしてくれるだろうと考えるんです。三島は、大社の神様に守られた、昔から人々が穏やかで地道に生活を育んできた場所だと思います。
 これから住み始める方にも、交通の利便性だけでなく、昔からの営みから生まれる街の味わいも好きになり、ここに住んでよかったな、と思ってもらえるように、子どもたちだけでなく、特に移住者の方に向けたワークショップなどを行って、みしまコロッケを知ってもらう活動を今後していけたら、と考えています。


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みしまコロッケの会


渡邉靖乃さん プロフィール
社会教育士 ボランティアとして、みしまコロッケの会設立に関わる。頼まれたら断れない性格が幸いして、各種市民活動に参画中。自称、三島市民であることを最も楽しんでいる人。



2023.8.28 text Yuka Nimura, Maki Sumi & photo: Akiko Matsui


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