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娘のためと私のため。そのほとんどは私のため。

娘が、入園する。2歳ともうすぐ8ヶ月。
年少さんの一つ下のクラスだ。

年少を待たずに入園させようと思った最初のきっかけはなぜだったのか、もはや覚えていない。ただ、おぼろげながら遠くなく二人目を妊娠したいなと考えたとき、大きなお腹で娘と一緒に「今と同じような」生活をするのは無理がある、とは思っていた。

娘はとにかくよく動き、元気がいい。歩くようになってから、おそらく一日中家に引きこもっていた日はないと思う。

ことばを話すのも早く、話し始めたとたん急に「ひとりのにんげん」になった。赤ちゃんだった娘が話をして、怒り、自分の主義主張を訴え、時に友達のものを奪う。親である私はごめんねーごめんなさいーと相手の子ども、というか親に謝っている。何してるんだろう私?と思うと同時に、これから先、娘の世界にどこまで介入すべきなんだろう?とわからなくなった。もうこの子は子ども同士の世界でもやっていけるだろうな、とも思った。

偏食の娘が食べられるものだけを与えたら当然栄養バランスは偏る。だけど食べるかわからない食材を昼食に並べてあげるような気前のよさを私は持ち合わせていなかった。園に行けば、栄養バランスを考えた食事をーー食べるかは別としてーー与えてもらうことができる。

そしてなにより、娘を産んでから自分の見たくない自分をたくさん見てきた。同時に、娘にも見せてきた。ホルモンバランスやらストレスやらがない交ぜになり、親にも夫にも見せたことのないような様子で激昂する自分。それを見て泣く娘。申し訳なかった。

娘のためと、私のため。そのほとんどは、私のため。

もう人の手を借りるしかなさそうだ、と思ったのが、ちょうど娘のイヤイヤ期がピークに達した頃だったように思う。

早々と入園させるなんて、そして働く予定もないなんて、母親としてどうなのか、と自分を責めたりもした。実際に周りのママたちに始まり、果ては支援センターの職員さんに至るまで、「働くの?」と本当にたくさん聞かれた。もちろん彼女たちに悪意はないし、私も逆の立場だったら同じように聞いていたと思う。二人目を考えてるの?と質問するのはデリケートだし。だけど、それくらい現代のママには「育てる」か「働く」かの選択肢しかない(ように思えている)のだ。「自分の時間を持ちます」と声を大にしては言えない何かがあるように感じた。それもどうなのよ、と思ったりもした。

娘と過ごした2年7ヶ月間。これからももちろんそれは続いていくけれど。
そのうち2年2ヶ月は授乳をしていた。寝るのも苦手な娘は夜中に1−2度は必ず起き、その度添い乳をして寝かせた。娘が窒息しないように、上半身を布団から出さねばならず冬は寒かった。
生まれてから半年〜1年くらいはバリバリのコロナ禍で、支援センターも予約制だった。娘を産んでから一番病んだ時期がいつかと振り返ると、離乳食を食ベてくれず、支援センターにも思うように行けなかった生後5ヶ月くらいの頃だと思う。気づけば夫と、スーパーの店員さんとしか会話していない日もあった。あれは辛かった。家族以外の大人と話すことの重要性を思い知った。
2歳になってすぐに家族でコロナにかかり、自分も発熱している中娘にベッタリくっつかれ授乳せねばならないのが本当に苦痛で、思い切って週に1回一時預かりを利用するようになった。娘と離れて自分の時間を持てることの快適さをこの時初めて知った。結果、この経験が入園させることへのハードルをかなり下げてくれたように思う。

白状すると私は子育てに向いていない。ここまで読んでもらえばわかると思うが、子育てを苦痛に思っていることが多い。娘に理不尽なことで怒るし、イライラは隠さないし、でっかい声でブチギレるし奇声だってあげる。申し訳なく思うけど無理なのだ。
だけど、子育てという一大事業から離れようとしないのもいつだって私なのだ。それは娘可愛さももちろんある。が、その多くは、楽をしてはならない、とか母親たるものこうあるべきだとかの、しょうもない罪悪感と義務感からきているものが多分にあると思う。

子育てに向いてない母親だっていいじゃないか。自分の時間がないとダメな母親だっていいじゃないか。というか、それが人間として当たり前だ、と思いながら、同時に自分を責めたりしている。ま、それはそれでいいよね。

入園させるに際して、楽しみ?不安?寂しい?どんな気持ち?と聞いてもらったことがある。どれにも当てはまる。
自分の時間が持てるのは楽しみだし、新しい生活リズムになるのは不安。だけど多分、日中娘と過ごせないのはそうは言っても寂しい(だろう)。
ただ、どうしたって子は育つ。明日はくる。娘は大きくなる。だから、せめて自分自身が機嫌良く過ごせそうな選択をして、自分が在りたい自分に近づけるようにいたいと思う。

娘、こんな母でごめん。だけど私はあなたが大好きです。
入園おめでとう。入園してくれてありがとう。



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