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好きなもんは好き!以上!

 子育てを経験してみて目から鱗だったことは。

 「人って生まれながらにしてある程度好きなものが決まっちゃってるんだな。」ということだった。環境要素だってゼロじゃないとは思うけれど、親の趣向とは関係なく子どもは車やら昆虫やらお姫様に熱狂する。まぁそんなことは当たり前のことで改めて驚愕する必要はないんだけれども、好きなものに理由はないって腹落ちしたというか。その刺激を好む身体(脳って言い換えていいのか?)を生まれ持ったとしか思えん、と思えたことが私の中では大きなことだった。「なんでそれ(が好き)なん?」と他者に対して思いながらも、「あぁあなたはそれなんだね。」からの、「ていうか、それ以外じゃない!ってことなんだよね。」が自然な思考の流れになった。好きなものに抗えるわけがない、だから突き進め!って心底思えるようになった子育てライフに感謝している。

 ところでわがムスメちゃんは、とにかくオシャレが大好きな人である。ティーン向けのファッション誌を熟読し、お洋服を見るのも着るも大好き、小学生の頃からお出かけする時にはうっすらお化粧したりネイルをしたり。1、2年前のお誕生日プレゼントにはストレートアイロンをご所望だったけれども、今年はカールできるヘアアイロンが欲しいとのことである。オシャレ好きの延長線で、この秋からお着物の着付け教室にも通い始めた。和装とか洋装とかいう区別はきっとあんまりなくて、「とにかく!かわいいものが!!好きなんだよぉぉぉ!!!」ということだろうと思う。お着物マニアの着付けの先生と、ムスメ「帯どめを水引で作りたい♡」先生「いいね、いいね!絶対かわいい♡♡」とカワイイ話で盛り上がっておりましたです・・・

 いやぁ「この親からこんな子が生まれるとは信じられん。」と毎日思いますわなぁ。私はかわいいオシャレに全然興味がないし、なんなら毎日洋服のことを考えるのは面倒だからほぼ私服を制服化しちゃっている。Tシャツにジーンズばっかりだから、かつて訪問看護に行っていた先の患者さんから「デニムさん」なんて呼ばれていたほどである。アクセサリーの類もほとんど家の中にないという環境で、ムスメさまはせっせと「かわいい~♡」と言いながらアクセサリーを作っている。あぁ生まれつきこの方は、かわいいもの、キラキラしたものが大好きなんだなぁとしみじみ思う。そんなこと全く知らんと幼児期に前髪ぱっつんヘアで、男児のおさがり服ばっかり着せてごめんよ。かわいかったけど。

 しかしこの時期(中学生時代)に「オシャレが好き」って、なかなかポジティブな評価を得られないんだなぁと思う出来事があった。大体学校自体が制服指定だし、様々な校則が結局「オシャレはだめ」ってことを暗に言っている。なんとなく納得のできないムスメちゃんが先生に「なんで(オシャレしちゃ)だめなの?」と聞いたところ、「悪目立ちして絡まれたら困る(意訳)」という返答だったそうだ。

 そういうとこだよな、ヘルジャパン。と正直思った。

 いや、先生を責めているわけでは決してない。校則を決めているのは一人一人の先生ではないし、「そういうことに(校則が)なっている」ところに改めて理由づけしようとしたら無理が生じるのは仕方のないことなのだと思う。「オシャレしたい気持ち」を否定せずに、規則との整合性を合わせようと思ったら「勘違いして攻撃してくるやつら」という仮想敵を設定するしかなくなる。だからそれは最大限子どもに寄り添おうとした結果であり、むしろ「そういうことになっているんだからつべこべ言うな!」と規範をおしつけられたり、あからさまに「色気づかんでいい。」「調子のるな。」なんて言われないだけ、昭和の時代よりはるかにマシだとも思う。

 でも結局女の子が自分自身のためにオシャレを楽しんだら、他者から攻撃されるかもしれないリスクがあるってことでしょ?そんでもってそのリスクから自衛するためにオシャレを我慢しろってことでしょ?もっと言えば攻撃する方を「それはだめだ」と諭さずに、「オシャレする方が悪い」ってことにするんでしょ?

 露出の多い洋服なんか着るから痴漢(性被害)にあうんだ、という理路とほぼ同じでびっくりする。

 「で!?そんな答えに納得したの!?」がおー!
とムスメ氏に絡む私は、絡む相手を完全に間違えている。

 しかしなんなんだろうなぁ・・・「これがいい!」って自分が思うお洋服を身にまとうだけで、「いきがってる」とか「モテたい」とかいうメッセージを勝手に受け取っちゃうのって・・・まぁこれも「露出が多い服」→「本当は触られたい」という飛躍と同根なんだと思うんだけど、ナチュラルボーンオシャレさんと日々暮らしている私から言えるのはたった一言。「彼女は自分のためにオシャレを楽しんでいるんであって、あなたに特別なメッセージは何にも送ってない。ていうか無関係。(すっこんでて)」

 私もぜんっぜん知らなかったけど、オシャレ好きな人は自分が「かわいい♡」と思うものを身につけると気分があがって幸せなんだよね。かわいかったりキラキラしているものを見ているだけでも、気持ちがウキウキして嬉しくなるみたい。そこにあるのは他者に対するアピールや自己顕示欲ではなくて、「とにかく好きだ!以上!」というのを強く感じさせる。それなのにアピール性を感じ取ってしまう人は、もしかしたら真のオシャレ好きの実態を知らないのかもしれない。オシャレが大して好きじゃない人にとっては、オシャレとは頑張らないといけないことになるわけで、なんで好きでもないのに頑張らないといけないのかっていうところに「人によく思われたい」みたいな理由を見出しちゃうんだろうな。でも真のオシャレ好きにとってオシャレは「本当はしたくもない努力」なんかじゃ全然なくて、放っといてもしちゃうようなものなのである。

 だからとにかく誰に対しても「自分と同じと思うなよ」ってことなんだなぁ。自分を基準にして考えると、他者の振る舞いに変なメッセージを見出しちゃう事故を起こしてしまう。もちろん自分(の基準)から離れるっていうのは極めて困難だから、「あなたはそれ(そうすること)が好きなんだね。」って判断を差し控えることしかできないかもしれないけれど。でもたったそれだけでもこの世はもっと暮らしやすくなる気がする。好きな服を着て、オシャレを楽しんでも勝手にジャッジされずに「そういうのが好きなんだね!(いいね!)」って言ってもらえる社会。ソウイウ社会ニ私ハ生キタイ。

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京都上賀茂で「梟文庫」という私設図書館を運営しています。noteでは、「生活とケア」をテーマにぼちぼち研究します。毎週金曜日更新。https://www.fukuroubunko.com/

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そういえば、私は若いときケバ子ちゃんで、それなりの年齢になるにつれて「落ち着いたなぁ!」と言われたけど、結婚して旦那の地元に移り住み、子どもが生まれたら好きな格好ができなくなりました。ということをノートを見て思い出したのでした。好きな格好ができなくてつまんない、と思ったこともあったなぁ、と。今は落ち着きすぎてそんな欲もなくなっちゃった。学校を卒業したら校則はなくなるけど、人目をあまり気にしない私でも身内やご近所がギョッとなるような格好はできないです。昔は露出多めのこともあったけど、そういう格好が好きだっただけで、人に見せるためではなかったな、確かに。
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