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(110)曇り時々雨

うつらうつらしながら眺めた朝焼けもボンヤリした桃色の空だったし、起きてもやっぱり空はどこまでも曖昧なグレーだった。昨日庭でまた生えてきたヤブカンゾウを掘り起こしていたら大きなカタツムリの殻を二つ見つけた。失くさないように万両の根元に置いて仕事をして、家に戻ろうとカタツムリをよく見ると殻の欠けた方はまだ生きていて中身が見えていた。しまったカタツムリを壊してしまったと焦り、どうして良いのかわからず、そのまま安全そうな躑躅の根元に落ち葉をかけてそっと置いてきた。

あのカタツムリはきっと夏に桑の木に登っていた一匹だ、せっかく冬越ししようとしていたのに私のせいで事故に遭ってしまったと沈んだ気分のまま、のろのろと作業をすすめた。夜遅くになって、検索をかけてみたら何と、カタツムリを飼っている人たちの何人もが殻の割れたカタツムリの手当てについて書き込みをしていて、その中に卵の殻ギプスをしたところ卵の殻とくっついて壊れた殻が再生したとあった。卵の殻はもとより、庭で拾い集めたカタツムリの殻が沢山あるからいいギプスになりそうだ、あのこを助けられるかもしれない。

朝が来て庭がすっかり明るくなるのを待って、ギプスにする殻も確認して躑躅の木の根元のカタツムリを探しに行ったがカタツムリは姿を消していた。あんな深傷を負ったままどこへ行ったのかと辺りを探したが見つからなかった。レタスと殻の再生にはカルシウム補給が必要で卵の殻を与えるとよいとあったので付近に卵の殻を置いてきた。冬が来る前に殻が再生したらいいのだけど間に合うだろうか。

字と猫のスケッチは続けていて、毎日そこらへんの猫と目に付いた文字を描いている。どちらも字と猫とも、うまく形がとれない。そのうち上手くなるだろうと、気にせず続けてみようと思う。

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