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(142)ねことハミガキ

花の季節がやって来た。庭の白梅は八重に続き一重の実梅が次々と咲き出した。水仙もあちこちで咲いていて、春の空気は気温と甘い香りの双方が混ざって柔らかくて暖かいのかもしれないねと思う。

11年も一緒に暮らして最近気がついたのだけども、ジジは気分が高揚すると尻尾がすぐに膨らんでしまう。背中の毛はいつも通りなのに、尻尾だけフワーと太くなる。ビックリしたり、嬉しかったり、気持ちの揺れがすぐにでちゃう。この時はちょっと憤慨している。ジジかカリカリを待っていたのに、カリカリを出さずに写真を撮ろうとしたら、違うでしょ!と。ごめんごめんごめん、可愛くって写真撮りたかったの。怒ってても可愛いな~。笑

ジジとモモが子どもの頃にお世話になっていた病院では、定期的に歯のチェックもしてくれてジジは「良い歯で賞」ももらった。猫用歯磨きジェルのサンプルで練習させてもらい、その後はお水だけのブラッシングを時々していたのに、数年前生活パターンが変化して余裕がなくなってしまって猫の歯磨きは放置していた。

ところが一年前ほどにモモの口から異臭がする事に気づいて、これはと歯を見たら悪い予感通り歯茎が腫れて赤黒くなっている。大変だ! 今の家に移って小さな病院に変わってから、聞かれてない箇所は診ない方針の先生なので、歯についても指摘されないのをいい事に、私は気になりながらも猫の歯はまったくチェックしていなかった。

ショックを受けて病院へ連れて行こうか悩んだが、それよりも歯磨きをしてみよう!と歯ブラシを用意して寝る前に猫たちのハミガキタイムを設けた。左手であごを押さえて口を開いて、じょうずじょうず、偉いね~~!としきりにほめながら、右手に持った歯ブラシでササッとブラッシング。炎症の酷い頃はさらに人間用の辛くないうがい薬を綿棒につけて塗ってみた。続けていると見る見る腫れが引いて異臭はなくなった。

幸いモモは短時間ならさほど嫌がらずにハミガキさせてくれるが、ジジが苦手で逃げ回る。寝る前の追いかけっこはしたくないので、なるべくジジのハミガキタイムは籠に入って落ち着いた所を見計らってしているが、よっぽど嫌らしく、終わった後に籠から出ていた尻尾を撫でるとシュッと尻尾を引いた。そのままいつもなら身体に沿わせる尻尾を、その日は先端からきゅっと曲げて伏し目がちに口元を隠してしまった。ジジは初めて会った人でも必ず、男のコね!と言われる男っぽい猫なのに、このときジジがはじめてしおらしく見えた。ジジ~!

猫は虫歯にはほぼならないけれど、歯茎が悪くなって歯が抜けてしまうと食事が摂れなくなるのだとか。今は2匹とも状態はとてもいいと思う。ごはんをおいしく食べられるように、頑張ってハミガキしよう。継続は力なり。


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