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【タイ在住】スペイン旅行~運動音痴によるサッカー観戦~

そもそも旅行先がスペインに決まったのは主人のサッカー好きも一因にして主要因である。仕事から帰ってきて夕飯を食べるや、毎晩毎晩YouTubeでサッカー切り抜き動画を見ている。よく飽きもせずに…と飽き性の自分は思うのだが、愛して止まないらしい。

折角なので本場で観戦を…ということで面白そうな試合があるという日程に合わせてマドリード入りすることとなった。
アトレティコ・マドリードvsエスパニョールのマドリードホーム戦だから良いらしい。ホームだと変わるの?という私の疑問は当日鮮やかに解決されることとなる。

本場ということで乗り気になってはいるが、実はサッカーのことはあまり良く分からない。とりあえず、相手側のゴールにボールを蹴り込めば良いことは分かっている。オフサイドは単語の意味が分かっても一体何を指し示すのか、何度説明を受けても試合終了後には忘れている。そんなレベルである。

当日、朝グラナダを出発し午後マドリード着。試合開始まであまり時間がないので駅目の前のホテルを取るという気合の入れようだ。荷物を置いて1時間強。電車で45分ほどだったので間に合いそうだ。

駅に戻り地下鉄の回数カードを購入し構内へ。すると主人が「なんか電車のマークが違うよヾ(・д・`;)」と戸惑い顔。
彼のスマホを覗くと、確かにロゴが違う。これは…国鉄ではないか。
そう、アトーチャ駅は複数社が乗り入れているのだ。東京駅でJRとメトロがあり戸惑った若かりし頃のウブな自分を思い出した。
仕方がないので地下鉄代を無駄にして改札を出る。今度こそ国鉄の方へたどり着くが切符の買い方が良く分からない。こんなときはプロに聞くのが一番さと窓口に並んで目的地を見せて切符を手配してもらう。
「3番の電車に乗ってね」という言葉を念仏のように唱えながら電車に乗り込む。発車まで待つ間、社内の電子表示を見ているとなんかスマホで出てくる駅と全く違う名前が延々と羅列されている。
これは…?と思うも3番だしなと身を任せてみる。すると、発車した電車はGoogleマップ上の行くべきルートからどんどん離れていくではないか。これはやばい、詰んだかもしれないと思いながら2、3駅乗り過ごして緊急下車。なんとか軌道修正せねば。駅員さんに聞くと、ここを出て地下鉄に乗れ。との指示。たまたま降りた駅が軌道修正可能な場所で良かった…。
そうして不安な気持ちを抱えたまま地下鉄に乗り換える。すると社内には赤いユニフォームを来たアトレティコ・マドリードのサポーターっぽい人がちらほら。これは、この人達についていけば良いやつじゃないか。安心材料が増えたじゃないか。いや、でも単に普段着として着用している熱狂的ファンな場合もある。次の乗り換え駅でこの人達が降りなかったらどうしよう…不安に逆戻りである。
進む毎に増えていくユニフォーム組。心穏やかでないまま乗り換え駅に着くと、有り難いことに、全員降りて同じ方向に歩きだした!ああ、助かった!この電車だと試合開始に微妙に間に合ってないけど、こっちの人は遅れるとか気にしないんだなと思いつつ無事に到着。
まさか、このネットが発達した時代に電車で迷子になるとは思わなかった。

初めて見るスペインのスタジアム。めちゃくちゃ大きい。自分達のゲートまで歩きながらお店をチラ見。あら、ビールが売ってるわ。
サッカーが分からない身としてはビールでも飲みながら見るのが丁度良い楽しみ方だといくことで、大きな生ビールゲット。7ユーロ也。満を持して入ろうとすると「ビールは持ち込んじゃダメ!」とスタッフさんに制止された。うそぉぉぉぉぉぉぉ。いやだって、日本では客席にビール売りに来てるじゃない。私、甲子園でビール飲んだよ!朝から飲んじやうようなお国柄で何故ここだけ厳しいの!
嘆きながら、一瞬でも早く試合を見たい主人を先に行かせ、私はゲート脇でビールを一気。せめて小さいのにすれば良かった。。。
デカビールと格闘すること数分、横で音がすると思ったらゲートが閉じられている。これはやばいとスタッフのお兄ちゃんにビールを押し付け滑り込む。いやぁ危なかった。

チケットに書かれた座席を目指して下へ降りる。恐らくここというあたりで通路側の親子に話しかけて確認してもらい、皆さんに立ち上がってもらい自分の席へ。皆さん観戦中にすみませんねぇ。
そして漸く辿り着くと、先に来ているはずの主人がいない。なぜだ?彼はどこで試合を見てるんだ。
とりあえず、君のいる席は違うよと連絡を送り一人で観戦。周りの方々はアジア人の女子がおひとりさま観戦していることを不審に思っているだろう。いや、自意識過剰か。たぶん、皆サッカーに夢中で気にしてない。
ここは1人1万円近くする非常に良い席なのだ。

日本にはない距離感らしい。確かに近い。

暫くすると主人現る。
列と番号を逆だと思っていたらしい。しかも元々座っていた人に「そこ僕の席」とのいてもらったらしい。
変なところで心臓に毛が生えたひとだ。

そんなこんなで開始20分程でようやく集中して試合を見始めた。
控えめに言うと、熱量がすごい。
直球で言うと、野次がすごい。
スペイン語は挨拶とアグアコンガス(炭酸水)しか分からないが、彼らが何を吠えていたかは大体分かる。
「おい、どこ見てんだよクソ審判が!」
「タラタラしてんじゃねーよ」
「守ってんじゃねーよクソヤロー」
「その服ダセーよ」

キーパーに至っては何をしてもブーイングされている。

数万人からこんなにも罵られて良く試合を続けられるものだ。その圧倒的メンタルの強さをメソッド化して日本で販売すればベストセラー間違いなしである。

サポーターのガチ勢は赤ユニフォームで揃えていることは勿論、応援歌の大合唱も合唱団並みであり、ガチ勢リーダーと思われる男は指揮を取るのに夢中でもはや試合を見ていない。サッカーを見ないサッカーファンがいることに驚きである。彼は応援が生き甲斐なのだろうか。

試合の内容としては、マドリードが1点先取するもののエスパニョールに追い付かれ前半終了。後半戦も膠着状態が続くも最後の最後にマドリードがPKを決めて勝利。
歓声でスタジアムが揺れる。
次の瞬間引っ込んでしまったエスパニョール選手達。そりゃそうだ。100分近く、罵られながら良くやったよ。

ファンに手を振る選手達

そうして、サッカーにわかファンでもない運動音痴にでも中々良い試合であったと分かる形で本場サッカー観戦は幕を閉じたのである。

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