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Stress-Free Homeschooling

第2章  取り組むにあたっての疑問を解消する


 
「息子をホームスクーリングしたいと思っているんだけど、」と友だちのEvaは熱心に語りかけた。「でも私、数学が大の苦手で!」と見るからに「自分は能力不足」と顔に書いてキッチンのスツールにちょこんと腰かけて私を見ていた。彼女は第1子が生まれるまで高校で英語を教えていた経験があるのにもかかわらず、数学への苦手意識が歯止めとなって未だに自分の息子にホームスクーリングを始める決心がつかない。「Eva、あなたの息子はまだ3歳半。あなたは数を教える十分な知識を持ってるわよ。2+2を教えたらいいのよ。自分がやりやすいカリキュラムを取り入れたらいいの。一緒に学べばいいんだから。難しくなってきたらEric(彼女の夫)に助けてもらえばいいし、観て学べるDVDや助けてくれる人と連携することもできる。学年が上がっていけばオンラインで学べる講座もあるから。」
ここ数十年、どの町に住んでいるかにかかわらず、多くのホームスクーリングをしている、あるいはしたいと思っている親御さんとのやり取りで似たような心配があちこちで浮き彫りになっていた。それは…


 
実際に子どもを自分で教えられるのか?

 
親であれば、もう既に我が子を教育している。おもちゃを拾い上げて片付ること、トイレに行くタイミング、「ください」「ありがとう」を言うこと、左右を見てから道を渡ること、などなど沢山教えている。親になった時点で子に教えるのは親として自然なこと。4、5歳になったからと言って突然終わるものでもない。幼児は一日たった20分ほどの勉強時間があれば十分で、親の他にこの作業にピッタリな立場の人はいない。勉強内容はあり余るほど多くの科目から選べるが、幼少期は勉強の時間を設けること事態必要ではない。このことについては第6章(全部やりきるー学習編)で詳しく書くとする。
 
多くの人(友だちのEvaのように)は苦手な科目(人によっては複数)があり、それが足かせになって一歩踏み出せないでいる。でも私たち親は基本的な読み書き算盤ができれば他の分野は子どもと一緒に学んでいける。理科は私の得意としない教科の一つだったが、5歳児が私に「ママ、食べ物が口に入った後、どこへ行くの?」と聞いた。私は「調べてみよう!」と言い、消化器官について一緒に勉強した。子どもは大きくなれば親が知らなかったり苦手だったりする分野は、ネットや専門家に助けてもらいながら自分で調べるようになる。
 

大学に進学できるのか? 


ホームスクーリングを経た学生を大学に受け入れてから何年も経ち、彼らが入学後優れた才能を発揮することから今では多くの高等教育機関は彼らの入学を歓迎している。実際、理科の教科書の執筆者で講演でも広く知られているJay Wile博士(https://www.facebook.com/jaywile/)*は最初にホームスーリングに関して調べ始めた(そして後々自分の娘を妻と共にホームスクーリングで育てた)のだが、それは大学の教え子のあまりにも多くの優秀な学生がホームスクーリング出身者だったからだった。


 
子どもたちは実際の社会で成功する(やっていける)だろうか?

 
我が子以外の例として、ホームスクーリングで育てられ、今社会で活躍する多くの若い社会人を私は個人的に知っている。今では医者、会計士、教師、会社経営者、牧師、宣教師、助産師、作家、大工、写真家、そして中でも最も崇高な職業であるホームスクーリングする母親として活躍している!彼ら彼女らは実際の社会で活躍しているだけでなく世の中を変える人たちなのだ!
 

社交性は身につくのか? 

多くの親はこのことを懸念している。しかし結果として子どもたちは望ましい大人のロールモデルとの交流で社交性を身につけていて、決して同級生からではない。


Raymond Moore博士が書かれた記事を以下にご紹介しよう:
「社交性。幼い子どもたちは学校よりも家庭で学習する方が良く学び、それだけでなく、社交性も他の小さな子どもからではなく親を見たりして身につけるのだと私たちは後々確信する。この考えはタフツ大学、コーネル大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学出身の多くの研究者の共通の見解だ。その中でも(1)発達心理学者のUrie Bronfenbrennerは、少なくとも 6 年生までの子どもは、同年代の子どもよりも親と一緒に過ごす時間が少ない場合、友だちに依存する傾向があることを発見した。そして(2)心理学者のAlbert Banduraはこの傾向は最近未就学児にまで広がっていて、私たちの見解では親と学習することが可能な場合は子ども同士で学ぶことは避けるべきだと記している。一般的な考えとは逆に、幼い子どもは他の子どもによって優れた社交性を身につけられないし、子どもと関わる人が多ければ多いほど有意義な交流は少なくなる。私たちの研究では社交性はニュートラル(中立)なものではないとこを発見した。プラス因子になるかマイナス因子になるかのどちらかだ。
積極的か利他的でかつ理にかなった社交性は家族と ― その自尊心の量と質とで ― しっかりと結びついている。これは、少なくとも子どもが一貫して推論できるようになるまで、家族が提供する価値観と経験の軌跡に大きく依存する。言い換えると、仲間よりも親と一緒に働き、食べ、遊び、休み、毎日本を読んでもらっている子どもは、自分が必要とされ、求められ、頼られている家族の一員であると感じる。つまりこういう人を自尊心のある人というのだ。」

ホームスクーリングで育っていない若者にも優れた社交的スキルを持っている可能性があるが、私と話すときに目を見ない若者に会うと、彼らはホームスクーリングで育った子ではないなと推察する。私がホームスクーリングに長年取り組んでいる間にたくさんの人から私の子どもたちの電話口や歯医者の受付での対応、外でのあらゆる年代の人との交流の中での対応に感銘を受けたと言ってもらえた。
この事実は100%当てはまるとは言い切れないもののホームスクーリングで育った若者はあらゆる年齢層の人 ― 同年代、年上、年下、そして大人 ― との交流を楽しんでいるように思う。現実の世界は年齢で分離されていない。そのようなことがあるのは学校で学ぶ時だけだ。
 

全てをこなせるか?(子どもを教える、買い出し、洗濯、炊事、掃除)

詳細については後の章に委ねるとして、ここでは子どもの教育にはあなたが思っているほど時間はかからないということを要約してまとめておきたい。小さい時は一日ほんの20~30分の正式な授業時間しか必要ない。成長するにつれ、自分で学ぶようになる。教室で学ぶより1対1で学ぶ方が一つの概念を習得するのにかかる時間は少なくて済む。20~30人もいる教室での勉強の場合と違って問題集の空欄に答えを次から次へと書き込む忙しない作業をする無駄な時間を取らなくても良いからだ。これは一人の教師が教室で一度に効果的に対応できる生徒の数を超えることから編み出された手法だが。
その他のこと ― 掃除、洗濯、買い出し等 ― これは家族を巻き込む必要がある。チームワークで乗り切る。この方法はみんなにとって良いことなのだから!
 


もし自分の親が認めなかったら?

 
誰しもが親に認めてもらいたい。その中には、非常に激しく不満を露わにする親もいる。私が始めた頃はホームスクーリングはまだ先駆的な取り組みだったためその価値を示す資料はほとんどなかった。私たち夫婦の決断に両親はもとより学校の教師をしていた伯母や従妹もかなり心配していた。
思い起こせば当時はまだ各家庭にパソコンがない頃だったので、父はこのようなことを懸念して私に聞いてきた。学校で導入が始まったばかりのコンピュータの知識をどうやって子どもたちに教えるつもりかと。私は義兄がコンピュータプログラマーを生業としているので、彼に子どもたちに必要なことを教えてもらうことができるので大丈夫だと伝えた。その後間もなく一家に一台またはそれ以上普及し、私が子どもたちにパソコンやスマホの操作方法を手伝ってもらうような世の中になろうとは知る由もなかった。実のところ、普段あまりパソコンを触ることのない小さい組の我が子たちさえも直感的に操作方法を私に教えることができていることに驚いた。
様々な点で孫たちの教育を心配する私の父は、遊びに来ては毎度ように子どもたちに算数、社会やその他の教科のクイズを出した。娘の一人はこれを嫌って、父と二人で部屋に取り残されそうになった時、クイズを避けるかのように部屋から逃げ出した。そうかと思えば息子の一人はそれをゲーム感覚で楽しんでいた。
両親のこのような様子を見てあまり良い気分ではなかったが、これは孫たちを思うあまりの反応だったことに気づいた。両親は孫たちに最高の教育を望んでいて、それは家庭では得られるものではないと信じてやまなかった。
しかしながら、それ以降第一世代の子どもたちがホームスクーリングで成長し、今ではホームスクーリングで育った子どもたちが大学や社会や人生においてもいかに優秀であるかを示すはっきりとしたデータがある。ホームスクーリングに疑念を示す親に提示できるデータが手元にあることはとてもありがたい。
以降は”彼らは今何してる?“というJay Wile博士による8ページに及ぶ記事で、その中にはホームスクーリング卒業生の成功に関する統計も含まれている。多くの祖父母が懸念する孫が高等教育に勧めるのか、実社会でやっていけるのか、社交性は身につくのかといった事柄に答えてくれる内容だ。
http://www.drwile.com/what_now.pdf(*現在閲覧不可)


因みに、時間の経過とともに証明されていることもあり、当初は私の取り組みに疑念を抱いていた教師をしている親戚も今ではホームスクーリングは素晴らしい教育方法だと言っている。
万一まだこのことが親(祖父母)との不和の種となっているのならば、まずは孫に対して最善を考えてくれていることへの感謝を伝え、自分はホームスクーリングが最善の方法だと納得しているのでそれを尊重してほしいと伝えることだ。
 


結婚はどうなる?

 
結婚は非常に大切なこと。このことについては後の章で優先的に書きたい。

 
経済的にはどうなのか?

 
もしホームスクーリングをするつもりなら、二人分の正規雇用者の収入で家庭を切り盛りすることは叶わない。中にはホームスクーリングをしながらパートで働く人もいるけれど、大多数のホームスクーリング家庭の母親は無収入だ。
何年も前の話だが、ホームスクーリングをしている友だちの旦那さんは何とかやりくりするためには奥さんに外で働いてもらわないとと思っていた。彼女は自分が働きに出た場合の家計を試算した結果を旦那さんにプレゼンした。彼女が働きに出ることによる新たな出費が明らかになった:出勤に必要な衣服、小さい子どもたちの保育所代と上の子どもの学校に行かせるために掛かる諸費用、そして増えるであろう調理済みのお惣菜の購入費用など。結果として彼女の旦那さんは奥さんが働きに出てもあまり経済的にはゆとりが生まれないことに気づき、彼女が家にいて子どもたちをホームスクーリングすることに同意した。
財政については第8章に続く。


 
親の健全性は?

 
このことについては次の第3章及び第4章と第10章にも記載している。
この章最後の注意書き:私がストレスフリーなホームスクーリングについて書く時、私は決してホームスクーリングは“ルンルンと太陽が降り注ぐお花畑を歩く”ように難なく成し遂げられることとはいっていはいない。
子育て(それは自分の弟子を育てることであり、ホームスクーリングとはそういうもの)は時として困難だがやりがいのあるもの、そしてとてつもなく難しいものである。ルンルンと感じて過ごせる日々や時季もあるが、そうはならない日々や時季も来ることは間違いない。
とはいえ、ストレスなく自分の子どもをホームスクーリング(自分に弟子入りさせることが)できるのは確かです。このことについては第10章:「楽しんで」に記載する。

翻訳者注: *実際に記載されていたURLは閲覧不可であったため、検索し直し差し替え

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