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舞台 血界戦線

2019.11.16 梅田芸術劇場シアタードラマシティ

公式HP : https://www.marv.jp/special/s-kekkaisensen/

キャストさんの実力に圧倒された舞台だった。


『血界戦線』は、良い意味でも悪い意味でも「わかりにくい」作品。

まず、良い意味の「わかりにくい」は、物語の世界観。ある日突然現れた異界との入口の影響で、人間以外の種族との共存を強いられた街へルサレムズ・ロッド(元ニューヨーク)が舞台。想像の範疇を軽く超えるような事件や出来事が毎日のように起こっている。しかし、その混沌の原因となった出来事がなぜ起こったのかは明らかにされていない。「わかりにくい」から「興味深い」し、なんだか心惹かれる。

そして、悪い方の「わかりにくい」は、説明が圧倒的に少ないこと(笑)。主人公のセリフに「これはまた後で」というような言葉がとても多いことにも現れているんだけれど、説明してくれない…。このまま見てたら分かるよ!の説明ぶん投げ方式で物語がずんずん進む。

『舞台 血界戦線』は、良い意味と悪い方の「わかりにくさ」、両方が原作通りだった(笑)

この悪い方の「わかりにくさ」を補完していたのは、キャストさんたちのヴィジュアル・台詞回し・アクション。キャラクターの落とし込みが完璧すぎて、そのおかげでストーリーを思い出せたシーンがたくさんあった。各キャストさんの実力はもちろん、キャラクターとして舞台に立つ、という技術がめちゃくちゃ高いんだと思う。特に、クラウス役の岩永洋昭さん(仮面ライダーオーズや映画『刀剣乱舞』でもお馴染みの方)が素晴らしかった。アニメのクラウスは、小山力也さんが演じられていたのだが、声の雰囲気・話し方がまさしく小山さんのクラウスと同じ。さらに、クラウスの育ちの良さと優しさが滲み出るような、立ち方。クラウスの名台詞「光に向かって一歩でも進もうとしている限り 、人間の魂が真に敗北する事など断じて無い 征け!手始めに世界を救うのだ!」の説得力。どれをとっても拍手喝采雨嵐…!

もちろん他のキャストさんもとてもとても素晴らしいので、円盤買う価値有り。


私が観劇した回は、東京公演を経て、大阪大千秋楽の前日。だからこそ、カンパニーのチームワークを感じられた回でもあった。

ザップ役の猪野広樹さんがボケて、舞台上手袖付近にいたレオ役の百瀬朔さんにリアクションを求めるシーンがあって。舞台端にいたレオに急にピンスポットが当たり、それを受けて百瀬さんが「照らすな」みたいな手振りをしていたのが、なんだか可笑しいシーンだったのだが、おそらく、これ、猪野さんのアドリブを受けての照明さんのお遊びだろうな…と。(複数回見たわけじゃないから決まった演出かもしれないけど)

舞台に立たないスタッフさんも含めた全員が、しっかり纏まっているカンパニーなんだなぁと。その瞬間瞬間を全員でつくる、舞台の魅力を感じた瞬間でもあった。


劇中音楽のほとんどがJAZZの生演奏だったりと、迫力ある音も相まって、見応えのある作品。続編があったら観に行きたい。

欲を言うなら、カーテンコール。「ビターステップとシュガーソング」でラインダンスがあったら完璧かな(笑)



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