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専業主婦ばかりを雇って失敗した話

10年以上前、それまで副業でやっていた今のビジネスを、本業にしました。本業と言えば格好はいいものの、実際は私ひとりの小さな自宅オフィス。そこから小さなオフィスビルの店子になりました。

売上は順調に伸びていましたが、もっと売上を拡大するためには、スタッフを雇う必要がありました。
でも、社会保険をかけてあげる余裕もなく、あくまで短時間のアルバイトでお願いするしかありませんでした。

友人に紹介をお願いしたり、当時あった求人雑誌に広告を出したりして、5名が集まりました。求人に応募があっただけで、まるで大きな成功を成し遂げたかのような錯覚を覚えたものです。

その5人は全員、専業主婦でした。20代後半の当時私と同世代の女性から、40歳くらいの方まで、働いた経験は結婚するまでの数年間だけ。あとは専業主婦として生きてきたようです。

別に働かなくてもいいのでは?とも思いましたけど、専業主婦がアルバイトをしようとするときは、必ず家計が苦しくなっているものです。案の定、ご主人から働いてほしいと頼まれているようでした。

その専業主婦のみなさんは、週に3日だけ、1日に4時間働くだけ、出勤は週に1回30分だけという条件で働き始めたのものの。。。全員2ヶ月もしないで辞めていきました。(というより結果的に辞めていただきました)

最初こそ緊張しているので仕事をしようとするのですが、次第に発言も行動もおかしくなっていきました。

「この仕事ってノルマあるんですか?」と訊く主婦。ノルマはないものの、販売の仕事なので店としての目標はあります。当然です。

彼女たちにはまっとうな時給にプラスして歩合給も用意していました。ノルマというのは、売れなきゃ給料がゼロにもなるか解雇される制度のことですから、ノルマはありません。

でもこう答えるのです。
「目標って聞くと頭が痛くなります」

ノルマも目標も同じらしいのです。

「来週は家族で旅行に行くので仕事できません」と言う人もいました。
もちろん休むのは構いません。時給がなくなると同時に、売上を追いかけるスタッフが1人減るということですから、他のスタッフさんに一言入れておくのが礼儀というもの。

しかし、それはおかしいと夫が言ってますと言い出す有様。
何がおかしいのか質問しましたが、「夫がそう言っています」と言うだけで理由を言えません。

だったら夫がどうとか言うなよと。自分の頭で考えた言葉じゃないのかよと。

次第に私のストレスも限界に。

仕事に慣れてくると全員、出勤の必要がない日は全く働かなくなり、嘘の報告をあげるようになりました。
最後は週に1回の出勤日も守れなくなり、「明日事務所行くのでいいですか?」と言いだしたり。
次第に私もきつい言い方をするようになりました。

驚いたのは、彼女たちが私に対して「主婦に理解がない」と言っていることでした。呆れて物も言えなくなりましたよ。。。

彼女たちが私に理解してほしいのは、「働きたいし義務を果たすので、働き方をフレキシブルにしてほしい」ということではありません。
「働かない自由、働かなくても気兼ねなくストレスフリーでいる自由」のほうなのです。

私の事務所のような零細企業だからそんなことが言えるわけです。これが大きな企業だったら怒られてしまいます。

彼女たちを見ていて私が学んだのは、専業主婦が長いと社会性が著しく幼いままになってしまい、「義務と権利」について全く理解できないということでした。
働くという義務があるから、報酬を得て正当な待遇を得る権利があるということが理解できないようなのです。

理解がないと言って権利を主張するわりには、働くという義務を果たす覚悟もない。覚悟はなくても、自覚はあるべきですよね。

結局、彼女たち全員に辞めていただきました。ホッとしたのを覚えています。

知り合いの男性が私にこう言いました。

「基本的に、専業主婦を雇ってはダメ。どうしても主婦を雇うなら、時間も仕事量も完全管理して仕事をさせるべきだよ。よほどの事情がない限り融通はきかせないこと。ルールは平等に厳しくし、厳守。守れないならクビ」

そうか・・・私の経営センスの無さを思い切り指摘されました。

そもそも、きちんとした雇用をする余裕もないのにスタッフを欲しがるから、底辺レベルの人材を掴む羽目になると。

優秀な人材には金がかかる。そして優秀な人材は美咲事務所なんかにはやってこない。正論です。

まあ。。。主婦を高圧的に働かせる会社にはしたくなかったので、結論としては専業主婦が5年以上になる女性は、いかなる場合でも採用しないというルールになりました。

病気だったり介護などで仕事ができなかった人であれば後にスタッフとして働いていただいていますが、「職業としての」専業主婦さんはお引取り願うのは今も変わりません。

少なくとも私の会社の業種では、専業主婦は不向きです。一度時給労働者としてスーパーや派遣などで完全管理の就労をした後でなければ、採用はしません。

私としては、女性は毎日忙しいし、自分のペースで仕事をして収入を得ることができたらと思っているんですけどね。それは誰にとっても理想のはずなのですが、社会性や社会的責任が育っていない人には、自由を与えるわけにはいかないようです。

仕事をしなくてもいい自由や、仕事をしなくてもお金をもらえる権利ではなく、仕事をどんな状況でもすることができ、仕事をすることでしっかりしたお金を稼げる自由を私は理想としてきました。
義務というのが大げさだというなら、職責とでも言えるかもしれません。職責を果たすことで、自由な人生と大きな報酬を手に入れるというのが私の考える女性の成功と自立です。

それは、「自立した女性」「責任感と社会性のある女性」だけの自由なのかもしれません。

義務を果たそうとしない、義務から簡単に逃げる女性には、本当の自由は一生手に入らないものなのです。

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