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芸術鑑賞と説明しないジャグリング①

ちょっと古い記事だけど人が美術館の作品の前で立ち止まる時間は平均15秒~30秒という研究があるらしい。

目から入る情報量って膨大で、脳みそで瞬時に生きるために必要な情報だけを取り入れて私たちは毎日を過ごしているという。

たしかに今見える情報をすべて意識しようとしたら、膨大な時間とエネルギーが必要になりそう。

知らないうちに脳みそがいるいらないをしてくれているから、私たちは日常生活がおくれています。

しかし美術館は、さあ芸術作品を時間をかけてゆっくり鑑賞して、脳みそで思う存分処理しましょう。

と、きわめて不自然な行為を推奨する、非日常的な空間でもあるのです。

時々この不自然な行為を、あたかも当たり前かのように私たちに求める美術館ってとても不親切だなと思ったりします。

この前提を理解していないと、展示室に入っても「これは人物画、これは抽象画、これは風景画。おわり。」と自分の脳みそが瞬時に処理を終わらせてしまうのです。

じゃあどうすれば鑑賞を楽しめるのか。

その一例としてオランダのアムステルダム国立美術館が素晴らしい試みを行っていたので紹介。

#Startdrawingという、美術作品の写真を撮るのではなくスケッチをしようと促すプロジェクトです。

以下の記事で端的に説明してあるので、アムステルダム美術館の言葉だけを引用します。

「別に描けなくてもいいのです。描くことが最終目的ではなく、描きたいものを見ていただくことだからです。そのような見方をすると、以前には気付かなかったところが見られるようになります。構成、細かいところ、1本1本の線など、・・・画家の秘密に一歩近付けるのです」

https://www.huffingtonpost.jp/2015/12/10/sketch-museum_n_8767686.html

スケッチをするというシンプルな行為だけで、ただ見るという受け身の体験から、能動的な体験に変化します。

このスケッチという作業を通して、美術鑑賞ってあくまでも能動的でないと何も楽しくないんだということが実感できるかもしれません。

紙と鉛筆はどこの美術館も基本的にはOKなので、もっとたくさんの人にとって身近な鑑賞法であってほしいと思います。(シャープペンはダメなところもある。なんでだろう)

そしてMoMAが先駆けとなって行っているVisual Thinking Strategies
という対話型の鑑賞法。

基本はいたってシンプル。ファシリテーターが以下の3つの質問を鑑賞者に投げかけるのです。お友達同士とかでもできますね。

1.What’s going on in this picture? この絵の中で何が起こっていますか?

2.What do you see that makes you say that? あなたは、何を見てそう言っているのですか?

3.What more can we find? 他にも発見がありますか?

絵画はすべてを説明してくれないことが沢山あります。それを対話の中で想像を膨らませていくという活動はとても発見が多いのです。

結局作家の意図はわからないけど、それぞれの立場から分かろうとすることが楽しい。

遠くにいる人たちの会話を想像して勝手にアテレコをした経験はあるでしょうか。それに似た楽しさかもしれません。

ここからジャグリングの話に発展させようかと思ったけど長くなったので一旦ここまで。



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