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そこにいるからこそ。

1年以上も継続して受けていたサイトの仕事が、9月くらいから減り始めていた。膨大な量のキーワードをライター全員で共有していたため、日に日に新規のキーワードがなくなっていくのがはっきりと目に見えてわかった。そのことに気が付いていたのに、新規サイトが始まるタイミングや、YouTubeのシナリオを募集するタイミングなどで声をかけ続けてくれたことから、まだ大丈夫という気持ちの甘えが出てしまった。

結果的に、10月末に最後に受けた記事を納品したあとに届いた校閲とフィードバックを持って、いったんそこでの仕事は終了ということになった。初めは文字単価0.4円くらいの案件を別のサイトで受けていて、もう少しでいいから文字単価の高いところで書きたいと思っていたときに、クラウドワークスでスカウトしてくれたところがそのサイトだった。大した実績もなかった私にとって、0.8円というのはとてもありがたく、お小遣いになる程度には稼げるようになったのもそのサイトと契約してからだったので、本当に感謝している。

時間ができると、今まで気にしていなかったことを考えるようになる。今のうちに動画の編集を覚えておきたいとか、今年は大掃除してみようかなとか、普段あまり行かないスーパーに行ってみようかなとか。

いつもは美容室に行った帰りに寄る程度の地域密着型のスーパーがあるのだが、狭い店内には牧場から届いた牛乳が売っていたり、成城石井やコストコの人気商品がいくつか並んでいたり、なぜだか不思議な魅力のある店なのである。

同じエリアの端にはマダム向けの洋服や雑貨を売っているテナントも入っているのだが、そこにもよく見ると最近流行っているアデリアのレトロ柄の食器があったり、ロクシタンやボディショップのハンドクリームがあったり、インスタの美容アカウントを3分も見ればどれか1つは必ずPRしているタカミスキンピールもどういう訳だか売っている。

中でも関心したのは、コロナ禍になり始めて最初のマスク不足になった頃に布マスクやウレタンマスクを売っていたことだ。その頃はまだマスク警察などというただのヤクザも誕生しておらず、とにかくなんでもいいから口元を覆うものをしておけというときだったから、私もそこで買ったウレタンマスクやたまに病院へ行くときのために買い置いていたピッタマスクを使っていた。そして、本当にどういう訳だかフェイスシールドまで売っていた。ついさっきも、立体マスクの30枚入りが安かったので購入しようとレジに持っていくと、レジ横にパルスオキシメーターがたくさん並んでいた。なぜ…

古き良きスーパーなのだが、そういうところへの感度が高い方がいらっしゃるのだろう。インスタもやっていて、地域のレストランから卸しているお弁当が届いたタイミングでストーリーを上げるなど、SNSの活用もばっちりできているのである。

見たこともない新しいものに触れたり、自分の今までの考え方では理解できないようなことを覚えるのは大変だ。今は私もTikTokのようなものに「はて?」と思う程度でも、これから先もっと信じられないようなものがたくさん出てくるだろう。そのことに直面したときに、変わらないままでいるのか、新しいものを受け入れるのか、せめてそのことに悩める自分でありたい。そういうのはよくわからないからと、知ることもせずに拒否するようになったら、いよいよ私もおばさんになったのだと思う。

そうならないように、TikTokは馴染めそうにないけど、とりあえずは動画の編集を覚えよう。

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