家族がバラバラに生活を始めた時、母の胸中は #10
母のガンが再発して、生活保護を受けるため、私は一人暮らし母は弟と二人暮らしで、別々に住むことになりました。
当時私は、生活保護を受けることで毎月安定的にお金を受け取れるということが母にとっては一番だと思っていました。
確かにお金は大事です。お金がないと生きていけないのも事実。
だけど、私はこの時、母がどんな思いで生活をしていたのかまで気を回すことができませんでした。
母はとても気が強いタイプで、弱音や泣き言は一切言わない人でした。
今がその時どんな気持ちだったのかなとか、私が考えれるようになったのはそれからずっと後のこと、30歳ぐらいの時でした。
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これは、その時母がどんな気持ちだったのか、私が今想像して書いていることです。
もう母はいないので、本当はどう思っていたのか、今となっては知るすべがないのですが、「きっとこんな気持ちだったんじゃないかな」「こんなことを考えてたんじゃないかな」ていうことを、想像してあげれるのは私しかいないし、それを母に代わって代弁できるのも私だけです。
これを書くのは正直とても辛いです。今のこれを泣きながら書いています。でも、これを読むことで一人の人にでも 想いが届き、役に立てばいいなと思っています。
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母が住んでいたのは木造二階建ての古いアパートでした。仕事も辞めてしまったので、ほとんどの時間を家で一人で過ごしています。
私は会社員の仕事を続けていました。毎日母からメールが来ます。
「今日、豆ご飯炊いたから取りにおいで」といった内容です。
私は、日々の生活でいっぱいで、「忙しいからまた今度行くね」と言って、いかない時もありました。
今思うと、母はとても寂しかったんだと思います。私に会いたくてそういったメールを毎日送ってきていたんだと思います。
「行ってあげればよかった」なんてそんな単純なことではありません。
母がどういう思いでメールを送ってきていたのか、なんで私は考える余裕もなかったのかな。そう思うととても申し訳ない気持ちでいっぱいです。
目の前のことで精一杯になってしまうと、大切な人の心の機微や、言葉の裏にある気持ちまで考えてあげられる余裕がなくなる、ということをあなたにお伝えしたいです。
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もしあなたのお父さんやお母さん、大切な家族が同じ状況になってしまった時、このブログのことを少しでも思い出して、相手のことを思いやってあげる優しい気持ちを少しでも思い出してくれると嬉しいです。
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家を手放してはいけないもう一つの理由、
それは、家族がバラバラになってはいけないということ。
そして安心して暮らせる、いつでも帰れる場所があるということ。その大切さにすごく気づかされました。
母が家を買ったのは弟が生まれた翌年です。母は45歳、私は高校1年生の時でした。
「なんで母が家を買ったのかな」ということを考えられるようになったのも、同じく三十歳ぐらいの時です。
その母の想いに気付いた時に、涙が溢れて止まりませんでした。
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母が家を買った理由、
それは、自分が死んだ後でもみんなが暮らしていけるように、せめて家だけは残してあげようという気持ちからだったんだと思います。
「家賃がかからない家を残してあげれる」
おそらく母はそのことを知っていたのでしょう。
45歳で35年ローンを組むと80歳で完済という計算になります。
もしかしたら母は、65歳までの20年間で、ローンを何とか完済しようと必死だったのかもしれません。
自己破産をして、生活保護を受けるとなった時に、母はどんな思いでその家を手放したのでしょうか。
それを思うと、とても胸が痛いです。
母は本当はとても寂しい思いをしていたんだと思います。
そしてそれを一人で抱えていたんでしょう。
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家を買うということは、土地と建物を買うということではありません。
家を買うということは
「あなたの家族とあなたがそこで過ごす空間、時間、居場所」という、
目に見えない大切なものを守る手段です。
どうかそのことを、忘れないでください。
亡き母を偲んで。
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