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【童話】かえるになった ぱーちゃんも だいすき④

 パパが かってきた カエルの えさを たべると、 ぱーちゃんは すっかり つかれて ねむってしまいました。
「えほんのなかに、 もとに もどる じゅもんは ないの?」
 『まじょっこ マジョマジョ』の えほんの はなしを きいた パパが いいました。
「そうだわ!」
  ママは、 あわてて マジョマジョの えほんを ひらきました。
  さがしてみると……ありました! もとに もどる ための じゅもんです。
『キスイーダ、 もとに もどーれ!』
「これだ!」
  パパと ママは、 ねむっている ぱーちゃんに、 こえを あわせて いいました。
「キスイーダ、 もとにもどーれ!」
 けれど……

「あれ?」
「なんで、 だめなの?」
 ぱーちゃんは、 やっぱり カエルの まま。 きもちよさそうに ねむっています。
  パパは ほんを のぞきこんで いいました。
「ほら、 じゅもんを となえたあとに キスを するんだよ」
  そうです、 もとに もどる じゅもん のあと、 マジョマジョは、 ゆうきをだして、 だいきらいな ヒキガエルに チュッと するのです。 
「ママ、 カエル だけど へいきなの?」
  パパは、 しんぱいそうに ききました。 ママは、 むねを はって こたえました。 
「なに いってるの? ぱーちゃん なんだから カエルになっても だいすきに きまってる じゃない」
 そこで、 ふたりは てのうえに ぱーちゃんを のせると、
「せーの! キスイーダ、 もとに もどーれ!
 それから、 ねむっている ぱーちゃんに やさしく チュッ。
 すると……

シュルシュルシュルルウ!!
 また、 おおきな おとがして、 ふたりの うでのなかに もとの ぱーちゃんが あらわれました。
「ああ! ぱーちゃん、 よかった!!」
 ぱーちゃんは、 ぱっちり、 めを ひらいて、 きょろきょろ まわりを みまわして、 それから パパと ママに ぎゅっと しがみつきました。
「もう カエルになんて ならないでね」
 ママは ぱーちゃんを だきしめました。
「いちにちくらい カエルで すごしてみても よかったかも しれないけどね」
 パパは、 そういって わらいました。

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