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「たった、5分。だけど、5分。」

たった5分。
ジョギングができるようになった。
たった5分だ。

それもめちゃくちゃにゆっくりだ。
歩くのと同じくらいのスピードの。
むしろ早歩きの方が早いんじゃないかってくらいのスピードだ。

5分前行動の5分だ。
「たった5分でわかる!」とキャッチコピーによく使われる、たった、5分だ。
カップラーメンの3分を待っている間に違うことをして5分たって麺が伸びてしまった、その5分だ。

だけど、5分。
だけど、5分だ。

みんなにとっては、きっと、たった、5分だ。
でも、今の私にとっては、だけど、5分。
だけど、5分なのだ。

先日やっと、やっと、やーーーっと、ジョギングの許可がおりました。

嬉しくて、嬉しくて、嬉しかった。
ほんっとうに嬉しかった。

好きな人からLINEが急にきてニヤニヤしちゃうくらい、嬉しかった。

「5分くらいのゆっくりな、ジョギングやってみようか。」

そう言われた瞬間、ニヤニヤした。ニヤニヤが止まらなかった。

5度目の前十字靭帯の再建手術をしてから約1年が経とうとしている。

そう、365日だ。

この約1年、前に進むどころか、後ろに戻ってた。
手術して、リハビリして、また悪くなって手術して。

「どんなにリハビリしてもサッカー選手にはなれへんのになにやってんのやろ。」

そう、何度も思った。

「あ〜、もう無理や。頑張れへん。」

そう、何度も、何度も思った。

だけどやっぱりこう思った。

「サッカーがしたい。ボールが蹴りたい。」

何度も、何度も、何度も思った。

何一つ前に進んでないと思ってた。

後ろ向きに歩いていたのも事実。
できていたことができなくなっていってたのも事実。

でも、ちゃんと立ち止まれてた。
ちゃんと立ち止まって、前に進むにはどうしたらいいのか考えれてた。
そして、ちゃんと立ち止まって、また前に歩けるようになってた。
ほんの少しだけ。ほんの少しだけ、でも、それでもちゃんと、前に進んでた。

「今までのこと、無駄じゃなかったんかな。」

今回のジョギングの許可がおりてやっと、そう、思えた。

きっとまだまだだ。
また、後ろ向きに歩いてしまうかもしれない。
立ち止まってしまうかもしれない。

それでも、それでも何度だって思い出すだろう。
この嬉しい気持ちを。この、ジョギングの感覚を。

いつだって、なんだって、そうだ。
できなかったことが、できるようになることの喜びはとてつもないし、できていたことができなくなっていくことは、本当に憂愁で苦しい。

もうすぐ2020シーズンが始まる。いろんな人たちの沢山の想いなどが、やっとカタチになる時が来る。選手や試合はもちろんのこと、そんな人たちにも少しばかりスポットライトを当ててみてほしい。

これから、そしてここから沢山のストーリーが生まれるはず。2020年はどんなストーリーができるだろうか。楽しみだ。

ひとりごとを少し。

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