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補助金を使って、普段は手が届かないことをやってみませんか?ー個人編ー

合同会社Boosterの三坂です。

文化庁令和2年度第2次補正予算事業として、「文化芸術活動の継続支援事業」の募集が行われています。
先日、要項を読んでコールセンターに問い合わせした結果をまとめてみました。

私が設立した合同会社Boosterの理念は、「がんばるひとを後押しする」でして、実は、主な業務内容の一つである「制作業務」というのは、公演の主催や当日運営ではなく、団体運営の効率化やサポートだったりステップアップにむけた相談業務だったりを想定しています。

細かい提案やがっつりしたサポートは、各団体の状況に合わせる必要があるので個別で契約を取り交わして行うことになりますが、基本的なノウハウは、公開していった方が業界全体のためになります。なので、自分たちで考える種になるようなものは、ちょこちょこ記事を作成していけたらいいけど、今はそれどころじゃないのかなあ・・・と思っていました。

そんな中でこの「文化芸術活動の継続支援事業」の募集が始まりました。
私が、この補助金でめちゃくちゃいいな!と思うのは、
・公演をしなくても補助金がもらえること
・会計システムの近代化や書類作成のノウハウ習得など、団体運営の地盤作りに使えること((1)③の取組)

というところです。そこで、補助金申請について考える種として、この記事を書いてみることにしました。

補助金を使って、普段は手が届かないことをやってみませんか?

「文化芸術活動の継続支援事業」の趣旨・目的は以下の通りです。

事業の趣旨・目的
「文化芸術活動の継続支援事業」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により活動自粛を余儀なくされた文化芸術関係団体等に対し、感染対策を行いつつ、直面する課題を克服し、活動の再開・継続に向けた積極的取組等に必要な経費を支援し、文化芸術の振興を図ることを目的としています。
(サイトより抜粋)

「活動の再開・継続に向けた積極的取組等に必要な経費を支援」とあり、補助の対象となる取組として、

(1)以下の①〜③のいずれかの取組(複数可)
① 国内外の観客、参加者等の回復・開拓
② 活動の継続・再開のための公演・制作⽅法等の検討・準備・実施
③ 雇⽤契約の明⽂化等の経営・ガバナンスの近代化
(2)(1)の取組と併せて⾏う、業種ごとの新型コロナウイルス感染拡⼤予防ガイドラインに即した取組

とあります。トライアル公演を行う場合はそれだけで補助対象経費の上限を超えることが多いので申請しやすいですが、2020年2月26日~2020年10月31日(Bのみトライアル公演は2020年12月6日)までに公演していない・予定がない場合、「出せそうにないよ・・・」とあきらめてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、補助金額の下限は10万円なので、最低でも15万円分の対象経費が必要です。自己研鑽のための稽古や書籍購入にも使えるといっても、今まで領収書保管してこなかったし、そんなに使うアテがないよ・・・と思うかもしれませんが、そこであきらめてしまうのは、ちょっともったいないです。
経費の2/3が補助金でまかなえるので、この機会に「やった方がいいけど今までやれなかったこと」に挑戦してみませんか?

補助金額の下限10万円をめざす

A-①の補助金額の上限は20万円、A-②とBの上限は150万円ですです。ただし、2/3の補助なので、上限全部もらおうとすると、A-①の場合10万円、A-②とBの場合75万円の自己負担が発生します。
複数の取組を組み合わせて行うといっても、公演をせずに、それだけの自己負担をするのは大変です。そこで、補助金額の下限10万円を目指して考えてみませんか?

10万円の補助金について必要な対象経費は15万円。自己負担金は5万円となります。貯金があったり、特別定額給付金でまかなえたり・・・という場合は、手が届きそうな気がすると思います。
1つの取組で対象経費15万円を目指すのはハードル高いですが、幸運なことに、複数の取組を組み合わせることができます。
もし私が出すとしたら、こんな感じかな?というものを考えてみました。

補助金額10万円(対象経費15万円)を目指す:個人(俳優)

(1)①国内外の観客、参加者等の回復・開拓
・活動実績をまとめた冊子の作成、配布
宣材資料として宣材写真+自分の出演実績をまとめたペライチの資料(PDFでもよい?)を作成する。
作成した資料はサイトに掲載したり、出てみたい劇団に送ったり、映画製作会社とかキャスティング会社とかに送ってみたりしてもよいかなと。
想定する経費:メイク費、写真撮影費、デザイン料、印刷費、写真借用料(過去に客演した先の舞台写真使うときとか?)、宣材資料のディレクション費

(1)②活動の継続・再開のための公演・制作方法等の検討・準備・実施
・技芸の研鑽のための自主稽古
稽古場を借りてストレッチとか発声練習したり、ヴォイストレーニングを受けたりダンスのレッスンを受けてみたり。
想定する経費:稽古場の会場費、レッスン料、交通費

・技能向上を目的としたリサーチ
自分の技能向上をはかるために、無観客ライブ配信の視聴や劇場での観劇で研究する。
想定する経費:ライブ配信や観劇のチケット代、交通費

(1)③雇用契約の明文化等の経営・ガバナンスの近代化
・会計システムの近代化
今年の確定申告に向けて、freeeなどの会計システムを導入する。
想定する経費:会計システムの利用料、パソコン購入

・契約書等についてのリサーチ
契約書作成や締結時に気を付けるポイントについて書籍で勉強したり、専門家に相談したりする。
想定する経費:書籍購入費、専門家への相談料

(2)(1)の取組と併せて行う、業種ごとの新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに即した取組例
・消毒その他感染症対策のための取組
マスクやアルコール、フェイスシールド等を買う。
想定する経費:マスクやアルコールの購入費

補助金額10万円(対象経費15万円)を目指す:個人(制作)

(1)②活動の継続・再開のための公演・制作方法等の検討・準備・実施
・技能向上を目的としたリサーチ
舞台芸術に対する知識を深めるために、セミナーを受けたり書籍を購入して読んだり、観劇したりする。
想定する経費:セミナー受講費、書籍購入費、チケット代、交通費

・活動再開のトライアル公演
期間中に行われるトライアル公演に関わっている際、公演に必要な消耗品を購入する。
想定する経費:消耗品の購入費

(1)③雇用契約の明文化等の経営・ガバナンスの近代化
・会計システムの近代化
今年の確定申告に向けて、freeeなどの会計システムを導入する。
想定する経費:会計システムの利用料、パソコン購入

・行政手続等に係る書類作成のノウハウ習得
助成金書類作成や法人化に向けての書類作成のノウハウについて、専門家に相談する。
想定する経費:専門家への相談料

・契約書等についてのリサーチ
契約書作成や締結時に気を付けるポイントについて書籍で勉強したり、専門家に相談したりする。
想定する経費:書籍購入費、専門家への相談料

(2)(1)の取組と併せて行う、業種ごとの新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに即した取組例
・公演実施に係るマニュアルの作成
チケット販売の方法や購入後の対応、受付周り等当日運営の様子を確認し、公演実施に係るマニュアルの作成のリサーチとして、無観客ライブ配信や劇場での観劇、映画館での映画鑑賞、美術館に行くなどをおこなう。
想定する経費:チケット代、交通費

・消毒その他感染症対策のための取組
マスクやアルコール、フェイスシールド等を買う。
想定する経費:マスクやアルコールの購入費

※私が募集案内を読んだりコールセンターに問い合わせたりして「申請できるかな」と思っている例なので、実際に申請する場合は、自分の判断でどんな取組があるか考えて申請してください。

とりあえず例として俳優・制作で出しましたが、それ以外のスタッフの方も、それぞれの内容から自分の事情に合わせて考えられるかな?と思います。

まずは補助金下限の10万円を目指して考えてみると、意外と「あ、あれもあった。これもあった。」と思いつくかもしれません。
自己研鑽の取組使えるので、「やった方がいいんだけど、ちょっと今はそのお金出すのむずかしいな・・・」とあきらめてきたことに手が届きやすくなっていると思います。せっかく支援事業として整備された補助金なので、いろんな人が申請して技能向上に使ってもらうことで、今後の舞台芸術がよりよいものになっていくといいな~と思います。




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