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ポケットの奥

私が誰かだなんて、誰も教えてくれないから
ずっと探し続けてた
そのくせ誰もが私を何者かって決めつけてくる
なんなのそれって

退屈な概念に取り囲まれて
AIに支配されたのはみんなの方
常識って暴力は心地いいでしょう
だってあなたは「正しい」のだもの

鋭くもない刃物をつきつけられて
迫られる自己紹介
決めつけられた台本を口にして
いい子でいたら救われるの?

赦してもらおうなんて思わない
「決められない」ことを私は認めたの
それを非常識って叱るのは
ちょっと違うんじゃないのかしら

届いて私の周波数
どこかにいるのでしょう
守り抜いたラジオに耳を澄ますの
未来から届く希望のリクエスト

踏み台を作ってまで
「正し」くありたくないわ
ニュースも噂も 誰かの道徳
学級崩壊させたのはメディアなのに

なにがそんなに可笑しいの
なにがそんなに悲しいの
笑い話も感動も
誰かがいないとだめだなんて
とんだ道化ね
私には不要よ
だって全部持ってるわ
生み出すこともできるから
情動が欲しいなんて
よっぽど満たされているのね
それとも毎日が退屈?

私は行くわ
その先が見たいから
価値がないと言われ続けた
ホコリがまだポケットの奥にある
憧れた、ただひとつの
瞳に映った世界に
届きたい
越えていきたい
その熱が尽きないから……