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息子のいちご狩り初体験はご近所さんの畑。田舎移住してよかったと思うこと。~ご近所編~

ムカデにマムシ、たぬきやイノシシは当たり前。大都会から見知らぬ田舎への移住というのは、本当に不安でしかない。でも私たちは新築で家まで建てた。
コロナ騒ぎで田舎に行きたくなった人も多いだろう。実際住んでみて、驚くことは多い。コンビニはないし、テレビも殆ど映らない。夜な夜なカエルが窓にくっついているし、カーペットの下からムカデが出てくる。

でも、そんなことよりも私には移住してよかったと思う理由がある。今回は、私が田舎で良かったことを紹介したい。

周辺はみどり、田んぼ、蛙、マムシ。
こどもは毎日泥だらけ。

私は田舎移住をおすすめしたい

長男が生まれて3か月の時に移住して4年。田舎といえば車が必須なのに、私は15年のペーパードライバーだ。「こどもの熱が出たらどうする?」「コンビニないよ?」不安でしかなかった。

なぜなら、兵庫県の西宮に住んでいたから。駅まで歩いて3分。駅に行けばいつでも電車がくるし、電車に乗らなくても買い物は自転車でどこでも行ける。

そんな私たち、夫の転職で突然、ど田舎に移り住むことになった。しかも、人生初めての出産の直後に。それでも、4年住んでみて私たちは、この移住のご縁に感謝している。移り住んで正解だった。

もし、「自然の中で子育てしたい」「でも田舎移住は迷っている」という人は絶対に移住した方がいい。これが私たち夫婦の結論だ。

時間の流れが遅い


土日はとにかく外にいる。子どもは自由時間、私は果てしない草むしり。

時間の流れがとにかくゆっくり

こんなにも時間の流れが違うのか、と何年たっても思うほど時間に余裕ができる。小さい子どもがいるから、というのもある。だけどそれだけではない。

まぁご近所さんの話すペースが遅い。そして長い。もちろん話にオチはない。決して悪口ではなく、大好きだ。でも、日常会話に吉本新喜劇のネタが出るような関西から来た私には、もう衝撃だ。

ゆったりと世間話が始まり、話すペースはポツリポツリ。お互いに気が済んだら、突然なんとなく解散。ペースがゆっくりなので1時間は話した感覚で家に入ると、なんと15分も経っていない。本当に説明のしようがないのだが、摩訶不思議に時間がたっぷりある。

目に入る情報量が少ないということ

人が少ない土地に住んでいると圧倒的に目や耳に入る情報が少ない。これが時間が遅く感じる理由だというのが私の結論だ

すれ違う人が少ない。目に移る景色の中に広告がない。車や電車のような早く動く物体が目に入らない。聞こえてくるのは、カエルの鳴き声、風の音。風向き次第でかすかに聞こえる電車の音。

情報量が多い、というだけで思った以上に頭をフル回転させていた。情報量が減るだけで、驚くほど心に余裕ができる。これは、学生時代に試験勉強を始める前に机の整理を始めてしまうのと似ている。えーっと試験勉強が始まるかどうかは別として。

「地域で子育て」は筋金入りの本物だった

地域で子育て、って選挙の公約みたいな決まり文句、都会にいた時は「嘘くさい」と思っていた。(ひねくれ者でごめんなさい。)だって、都会のアパートの隣人は、たまに挨拶するだけの他人だった。

ここは一軒一軒の家が遠い。畑を挟んでお隣とか、川を挟んでお隣、とか。にも関わらず、ご近所さんはみんな、自分の親戚のように接してくれるのが当たり前だ。

ご近所さんがいちご狩りにおいで!と誘ってくださった。

有名人になった息子


息子は幼稚園が嫌で毎朝、大泣きで歩いて通い始めた。田舎でこどもの泣き声はとにかく響く、目立つ。後から聞いた話、知らないところであっという間に地域の有名人になっていた。

そんな息子が泣かずに幼稚園へ通い出した今、色んな家からおばちゃんやらおじちゃんやら、ひょっこり顔を出して声をかけてくれるようになった。
「おはよー。いってらっしゃい」「幼稚園はたのしい?」「雨ふるまえに帰りなよー」「マムシに気をつけなさいー」

そうなのだ。泣いてる間、みんなこっそり見守ってくれていたのだ。今では通勤途中に「行ってらっしゃい」とわざわざ車を止めて窓を開けて声をかけてくれる、そんなおじちゃんがふたりもいる。

昨日は、川を挟んでお隣のご近所さんが「いちごが赤くなったから、とりにおいで」と、たくさんとらせてくれた。

毎朝、同じ時間にお散歩しているお爺ちゃんは、笑顔で毎回こう言う。「こどもはね、国の宝だよ。生きてるだけで宝物だよ。」と。

またまた別のご夫婦は、雑草のピーピー豆でつくる笛を息子に教えてくれた。石をぶら下げた釣竿でカエルの釣り方も笹舟も、れんげの花の草かんむりの作り方も。

子育てって1人でもできるけど、やっぱりできない

泣きながら歩く息子を半ば引きずるように、母も半泣きで幼稚園へ通ったあの一か月。無駄ではなかった。たくさんの人が見守ってくれていた。

「泣く子を連れて行くなんて。私は間違えているのだろうか。」
なんてひとりで悩んで家に閉じこもりそうになっていた時、みーんなひょこひょこ出てきて教えてくれるのだ。「うちもそうだったよ」と。1時間くらいかけてゆっくりと立ち話で。

私はそんなご近所さんのおかげで鬱にならずに済んだ。
と思っている。

実は私たちは、全くの見知らぬ土地に仕事の都合で引っ越してきた。だから、友達はいない。知り合いもいない。もちろん頼れる親も、どちらも車で5時間以上かかる離れたところに住んでいる。

そして、得体のしれないコロナ騒ぎ。
言葉の話せない息子とふたりきりで過ごす家の中は、キツかった。もしかしたら、この今回の表現しきれない”キツさ”は、同じ時期に出産したお母さん達にしか、わからないかもしれない。

そんな中で、声をかけてくれるご近所さんたちの存在がどれだけ大きかったか、私は感謝しきれない。外に出れば、誰かに会えて、みんな子どもたちに優しく接してくれる。「ひとりじゃない」これもどこにでも転がっているフレーズだが、まさにその通りを体験させてもらっている。

田舎は大変。でも悩んでいるなら絶対おすすめだ。

はじめに少し書いたが、マムシがでるのが当たり前だ。今年の課題は、マムシ対策。来年の課題はきっとイノシシ対策。他にも、田舎ならではの困ることも山ほどある。でもそれは正直、この時代「なんとでもなる」。

もし、「子どもを自然の中で育てたい」「田舎移住が気になる」と迷っていたら、絶対に移住をおすすめしたい。コロナで会えなかった分、これまで以上に田舎のおじいちゃんおばあちゃんは「孫」という存在に飢えているから。


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