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Reading for Action Vol.4 ・ ”「がんになって良かった」と言いたい”・・・って私だったら言えるだろうか?

こんにちわ。がんリハ1年生のミサです。
あっという間に月日は流れ、祇園祭の賑わいは過去のものになり、うだるような暑さとセミの声だけに支配される8月になりました。
しかし、この暑さを体感するのは休日だけで、多くの日は空調で管理され季節感などなく過ごしています。
「来年もこの夏空が見れるのかな・・・」ふとそんなセリフが頭を過ぎていきます。そう思うと、この暑さがとても貴重に感じられ、汗を流して過ごすのもいいもんだ・・・とさえ思ったりしています。

病院という職場は、常に”死”というものが付き纏い、半ば麻痺状態かと思うほど気にしないようになっていた時もあったけれど、ある時から、1つ1つの死がとても重たいものになってきました。
いろんなシーンで、”こういう景色をまた見ることがあるのかな・・”とつぶやている私がいます。

私は子ども達のリハの他に、”がんリハ”を担当するようになりました。
急性期病棟ではなく緩和ケア病棟のPTであり、院内の緩和ケアチームのメンバーです。最近は子ども達と過ごす時間よりもがん患者さんと過ごす時間が増えてきました。
関われば関わるほど、医師でさえも緩和ケアについて誤った解釈をしていることに気づきます。

正しくはこうです。
”がん”(がんだけでなく命を脅かす全ての疾患が対象ですが、ここでは便宜上がんと記載させてください)と診断された時から、積極的治療(オペや抗癌剤治療など)とともに、患者本人のみではなく家族に対しても、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題に対処するように働きかけ、患者がなくなった後に家族のグリーフケアをするところまでが緩和ケアである。(日本緩和医療学会「WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002)」定訳に加筆)

時には治療にあたる医師が、”緩和ケアは積極的治療を諦めた状態・・・つまり終わりを意味する・・・”と解釈し、緩和ケアチームへの紹介を控えるケースもあったりします。
患者さんやその家族に関しても多くは同じ理解のようです。
病いに傷つき、治療と副作用でボロボロになった心と身体にさらに鞭打ち、可能性を求めて積極的治療を選択する人も多い。

”がん”はそれほど恐れられているということなのだろうか?
がんと診断されることは”死”を意味していると捉えるからだろうか?
わからないものへの恐怖、勝てないものに対する恐怖なのだろうか?

一方で、”がんサバイバー”と呼ばれる克服者もたくさんおられる。
ラッキーだった事もあると思う。
でもその一言で片付けられないほどの葛藤の結果であり、執念というほどの頑張りの結果である事も多い。

国立がん研究センターの報告では、人生を通してがんの告知を受ける人は人口の半分で、がんで死亡する人は男性が4人に1人、女性が6人に1人ぐらいの割合だ。(2022年6月の報告による)
日本人の死亡原因の1位はがんで、2位が心疾患そして3位が老衰。(2020年の統計による)
この数字をどう解釈するかは、お任せしたい。

がんに関する背景を少しかじってから、この本をぜひ読んでみてください。

今日の1冊

とっても簡単に”今日の1冊”を紹介すると

京都大学の学生だった著者が、大学1回生の冬に長引く風邪症状の診察をきっかけに胚細胞腫というがんの告知を受け闘病生活を送ることになった。
その闘病生活をユーモアを交えて、頭の良さや思慮深さも垣間見える切り口で書いたブログを発信するようになった。
メディアで取り上げられた時「がんになって良かった」というセリフだけが一人歩きしてしまい、多くの批判コメントにさらされることになるが、彼の生き様を垣間を見て、生きることに対する思いや闘病生活、大学と療養生活の両立、仲間への感謝や家族への思い、そして生きるために諦めざる終えなかったことへの思いなどをSNSで発信し続けたものをベースに編集された1冊。

20代を迎える前に死を身近に感じるのはどんなもんなんだろう。
それを見守る両親の気持ちを思うとなんとも言えない気持ちになる。
もし今の私が同じ体験をしていたら、彼と同じくらい心を強く保つことができるのかな?

彼が紡ぐ言葉を一つ一つ噛み締めながら、とにかく一度読んでみてほしい。
そして、今日をしっかり生きてほしい。

My Action

あんなに生きたいと望んだ著者の”今日”という日を、無為に過ごしてしまわないように・・・私は今日を一生懸命生きてみた。

そしてお伝えしたいことがあります。
”検診を受けてください”

怖くて受けたくない気持ち、怖くて再検査に行けない気持ち・・よ〜くよ〜くわかります。
だけど、がんの末期は本当に壮絶な戦いになることが多いです。
少しでも早く、少しでも小さい間に・・・・。

それでも気づかず進行するのもあります。
そんな時、人は大切な誰かと少しでも長く過ごすために、厳しい道を選択をする事になったりします。

あの時・・・って後悔することのないように、まずは現状チェックをして生活の見直しをしてみてくださいね。

少しずつ、がんに関するお話を増やしていこうと思っています。
何かの時にお役に立てるように。
知ることで、余計に苦しまなくていいこともあるからね。
確かにその逆もあるんだけど・・・。

だけど、自分の現状は必ず確認してくださいね。
それがスタートラインです。
あなたの生き様が死に様になるのです。
だから、胸を張って生きてください!!

今日はこの辺で・・。
素敵な1日になりますように!!
Have a Nice Day!!

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