精算と振り返り

初指名をほぼ強制的に切り上げた私がまずした事は、コンビニでおにぎりとお茶を買う事でした。

延長を含めて、6時間のデート。その間、口にしたのはコーヒーのみ、という状態に、お腹は空っぽ、喉はカラカラ。

(お行儀悪いかもしれないけれども!)

商品を買ってお店を出るなり、すぐペットボトルを開け、ぐびぐび。おにぎりを頬張りながら事務所へ向かいました。


「お疲れ様ぁ」

研修を担当してくれたお姉さんが笑顔で迎えてくれ、やはり同じ席へ通され「コーヒーでいい?」と聞いて来ました。

私「あー、今日はコーヒー遠慮します。飲みかけのお茶もあるので…」

お姉さん「そお?じゃあ、まず精算しちゃおうか。ちょっと待っててね」

と、隣の部屋に消えて行きました。

(あー、おにぎり一個じゃ足りなかったな。もう一つ買ってあるけど、ここで食べるのは流石に不味いよね…)

なんて考えていると、iPadと紙を持ったお姉さんが戻って来ました。


精算の流れは、まず、お客さんから頂いたお金を全てお店の方へ渡し、デート内容(時間、場所、簡単なお客さん情報)と自分の名前(本名と源氏名)と住所、そして、iPadで算出された数値を専用の紙へ記入します。それらに不備がない事をお店の方が確認して、その場で(現金で)報酬を頂きます、

少しうる覚えですが、初指名で手にした現金は12000円弱だった気がします。


(一緒に買い物して、痛い惚気話聞いただけで、この金額。。。私はこのお金に見合う時間を提供出来たのだろうか…?)

おそらく、おかしな顔をしていたのだろう。

お姉さんは、私の顔を覗き込み「どうかした? 金額は間違えてないと思うけど…」と声をかけて来ました。

私「あ。金額は問題ないです」
お姉さん「そお?・・・じゃあ、指名でなにかあった?」
私「えっと、、、」

(指名の最後に、お客さんに失礼発言してしまったなんて、言えるわけないし…)

私「初指名は、、、めっちゃ緊張でした」



私の発言に、一度キョトンとしたお姉さんは、フッと柔らかく微笑みました。

お姉さん「その割には、しっかり延長取れてたじゃない。初回から延長って凄いわよ?」


(うーん。でも、あのお客さんはな…)

私「まぐれですよ。延長は」
お姉さん「まぐれなの?リピートは難しそう?」
※ リピート…再度指名を頂く事。

(私からお断りのような発言してしまったし…)

私「あー、リピートはないかと」
お姉さん「ふーん…」

もしかして、この時、お姉さんは私のやらかしに気付いていたかもしれないが、特に追求する事はなく「取り敢えず、初指名、無事に終えたんだから上出来よ」とニッコリ笑いました。

その笑顔に油断したのか、私のお腹が鳴ってしまい、指名中にお昼ご飯がなかった話をすると、お姉さんは「それは酷い!お昼跨ぐ時は大体(昼食)頂けるものなのに」と怒ってくれたのは少し嬉しかった記憶が。

(そうか。大半のお客さんは、ご飯時にちゃんと食事出来るんだな…)と思いつつも
(でも、一部のお客さんは、お客さん負担でご飯代をしぶられるかもしれないから、今度からは軽食と飲み物は必ず持参しておこう)
と、心に決めた、初回振り返りとなりました。