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【潜在性二分脊椎の記録①】妊娠出産と病気の発覚。

※このマガジンではその時々の気持ちを大切に、正直な気持ちを書き綴っており、もしかすると気分を害する方もいらっしゃるかもしれません。寛大な心を持って読んでいただけますと幸いです。

突然の妊娠発覚。


その妊娠は奇跡に近かった。

海外で出会い、ちょうどコロナ渦が始まったころに結婚した私たち夫婦。
その後コロナ渦真っ只中で夫が別の赴任地に行くことになり、離れ離れに。
そのまま月日は流れ、2022年にやっとお互いの国を往来できるようになった矢先に、妊娠が発覚。

幸いにも、予定していた私の赴任期間は終わっており、後は夫の帰任に合わせて本帰国するといった状況で夫の任期も1年を切っていたため、まさに渡りに船といったタイミング。
私自身、高齢出産に足を踏み入れる年齢で、帰国したら妊活をしようと思っており、まさかの自然妊娠に正直なところ驚きを隠せなかったのでした。

そんな奇跡のタイミングでの妊娠。
とはいえ先述した通り、高齢出産の年齢であった私。
年齢が上がるほど各種障害が出る可能性も高まるということは事実。
個人的にもやはり懸念を持っていたので、嬉しさ9割、不安1割といった気持ちで産婦人科の門を叩いたのでした。

妊婦検診と出生前診断。


教育熱心でかつ少子高齢化が進むシンガポール。
生涯にもつ子供の数が少ないからなのかは定かではないが、当地では35歳を超える妊婦には産婦人科医が出生前診断を強く推奨する方針のようで、私もご多分に漏れず診断を受けることを勧められたのでした。

出生前診断にはいくつか種類があって、通常の超音波検査でのNT測定の他に、母体血清マーカー検査(クアトロテスト)とNIPT等があり、当地ではNIPTを選択する人が多いようだったので、私もそれを選択。
採血をされてから診断結果報告まで、複雑な気持ちで過ごすこと1週間強。

結果として、NIPTの診断結果は全て陰性で、おおむね問題ない様子。
(もちろん、100%ではないことは承知の上です。)
採血から結果報告の間に1回目の胎児ドッグがあり、その際に担当者がNTの測定を熱心に行っていた気がしており、一抹の不安もあり、結果を聞いた際は心底安堵したのを覚えています。

その後の経過も順調で、毎回の検診、2回の胎児ドッグも問題なし。
母体も糖尿病検査も引っかからず、やや太り気味ではありましたが、少し貧血で鉄の点滴を打った程度で、順調そのもの。
計画無痛分娩だったので分娩日まで、出産への不安はあれど、元気な子が産まれてくると信じて、日々を過ごしていたのでした。

出産と小さな異変。


いよいよ出産の日。
初産婦は当日未明に病院に入院。
早い段階で先生が破水させたのもあり、入院から約20時間ほどで出産。
恥ずかしながら私がいきむのが下手なのと、娘が途中で寝て出てこようとしなかったのもあり、最終的には吸引分娩での出産。
麻酔も効いており、いきみやすいように最後は麻酔を弱めたため少し痛かったものの、かなり楽な方だったかと思います。

娘は出産時に口鼻に水が詰まっており、すぐ泣かず、時が止まったような感覚になりましたが、羊水を吸引してようやく産声を上げてくれ、ちゃんと元気に産まれてくれたんだと、安堵したのを覚えています。

その後、私はいきんだ時に力を入れすぎたのか、麻酔の副作用なのか、震えが止まらず。
娘が産まれた幸せな気持ちとほっとした気持ちと、震えが止まらない怖さが入り混じった気持ちで号泣。
震えと号泣で出産から1時間強、ベットから動くことはできませんでした。

娘の体重測定や処置をする際に、夫と医療関係者が少し何かを話していたのですが、私は震えでそれどころではなかったため、後ほど夫に尋ねたところ、どうやら背中に小さな穴のようなものがあり、念のため検査するとのこと。
その頃はまだ二分脊椎という病気があることも知らなかったので、そんな大事にはなるとは思っておらず、ただただ無事に産まれてよかったという気持ちを噛みしめながら過ごしたのでした。

翌日、小児科の先生の診察があり、診察結果を聞くことに。
概ね問題はないが、黄疸の値がやや高く入院が少し長引くかもということ。
そして背中の穴に関しては、"骨髄性髄膜瘤"の可能性があると。
(※日本語の病名と異なるのは、英語から日本語への翻訳の問題かと。)
ひとまず退院前に超音波検査で確認して、もしその可能性が高そうであれば、6w以降に脳と背中のMRIを撮って確認する必要があるとのこと。
ただ、患部が皮膚に覆われており、現在身体の異常も見られないことから、そこまで深刻なものではないとの所見でした。

予想外の病名と不安。


全く予想していなかった病名。
出産後、定期的に授乳の時間があり、会陰の傷や後陣痛の痛みで眠れないのもあり、ぼんやりした頭で病名を検索し記事を読み漁る私。

上記の病名で検索すると、最初に出てきたのが開放性二分脊椎である”脊髄髄膜溜”
背中に大きなコブができた赤ちゃんの画像とともに、水頭症足の麻痺排便・排尿障害等の文字が。
なかなかヘビーな内容に、頭の中が真っ白になったのを覚えています。

その後も検索を続けると、どうやらうちの子は患部が皮膚で覆われているので、”潜在性二分脊椎"の方なのかなと。
障害の内容は足と排便・排尿障害であるのは同様であるが、障害が残るかはかなり振れ幅がある感じ。
何も障害がなく暮らしている人もいれば、歩行が困難であったり、導尿等が必要な人もいるとのこと。
障害が発現すると不可逆のことが多いので、必要に応じて予防手術を受けるか、経過観察で障害が発現し始めたら早い段階で手術をするか。
どちらにせよ、少なくとも成長期までは経過確認が必要とのこと。

ポジティブに考えれば、何もない可能性もあるってことでそれは大変に喜ばしいことだけど、ネガティブに考えれば、少なくとも成長期の間は障害が出るかもしれないと不安を抱え続ける必要があるということ。

幼い時期から成長期の多感な時期までは少なくとも、手術や経過観察で何度も病院に通って、障害が出るかもしれないという不安と戦う必要がある。
それも、よりによって自分ではなく、自分の産んだ娘が、と思うと、どうして健康に産んでやれなかったのか、と複雑な気持ちになったのでした。

退院までに超音波検査をし、やはり病気の可能性が高まったため、鎮静剤に耐えうる6w以降に同じ病院でMRIを撮ることに。
また、黄疸の値が退院までに下がらず、1日延泊してもなお基準値以上だったため、娘より私が先に退院することになり、娘を家に連れて帰ることもできないまま、不安ともに病院を後にしたのでした。

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