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朝 ごと

朝のひかりが反射する
上り電車待ちのホームで
すでに上昇しきった気温が
遠くの入道雲たちを
踊らせる


短く伸びる影と
ゆらゆらとゆらめく
かげろうに
しばし ぼぅっとしながら
風の歌を口ずさむ


当たり前の朝だが
どうも電車が
遅れているらしい


わずかばかりの予感は
やがて滑り込んできた
車体に打ち消されて


全ては予定調和か
いつの間にか
軌道修正される
時の流れ


そして何事も
なかったかのように
朝の挨拶を繰り返す


ごぼん ごがん
がごん ががん


僕が 連れていかれるのは
60分後の世界
全ては視界の右から左へと
流れ朽ちていく

(2014年7月29日初出:再掲載にあたり一部改訂)

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