わたしとキムくん #9 Stand By Your Man
朝、目が覚めた。
そうか…わたし、ここで寝ちゃったのか。
隣には、キムくんが寝ている。
…
…
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昨日、手を繋いでホテルへ帰りついた後……
Disney Plusで配信中の韓ドラ「愛だと言って」を観たいとわたしが言って、1話をみた。
でも、たぶんわたしは10分もたたないうちにすやすやと眠りについてしまったのである。
そこからは一切記憶がなくて、爆睡。
まずは腹ごしらえに、近くにある人気のパン屋さんへ行くことにした。
大正5年創業のレトロなパン屋さん。
平日の朝なのにもう10人くらい人が並んでいた。
キムくんと、ふたつずつパンを買ってホテルに戻ってロビーで食べる。素朴で優しい味。
腹ごしらえをした後は、温泉へ。
駅前の、温度が熱いことで有名な温泉へ、キムくんを連れて行きました。
わたしが温泉から上がってロビーへ行くと、キムくんが顔を真っ赤にして待っていた。
わたしはアイスを食べて少し休憩していると、キムくんが言った。
前のエピソードで少し触れたように、わたしが通っていた大学は外国からの留学生が半分くらい占めている。
キムくんがわたしに対して「なぜ日本語を話せない自分にこんなに優しくするのだろう?」という疑問への答えが、キャンパスを一緒に歩くことで見つかるかもしれない。
ということで、大学に向かって出発!
わたしも、自分で運転して大学に行くのは初めてだ。大人になってしまったんだなぁ…と、ちょっと感傷的な気分になった。
夏らしいノリノリの音楽をかけながら、大学構内に到着。
わたしたち、大学生に見えるかな?とか言い合いながら、キャンパスを歩いて、食堂へ向かう。
食堂は学生がたくさんいて、日本語じゃない言語もあちこちから飛び交っていた。この環境が大好きだった。
わたしが通っていた頃とほぼメニューが変わっていなくて、いつも食べていたグリーンカレーと副菜を選んだ。キムくんは、ハンバーグを食べてた。1人600円くらいだったから、やっぱり学食ってすごい!
食事を終えて、教室棟をのぞいてみることにした。
ちょうど授業が終わったタイミングだったみたいで、学生たちがゾロゾロと出てきた。学生とすれ違った時に韓国語が聞こえて、キムくんと目配せをする。
あぁ、やっぱりここにキムくんを連れてきて良かったな、と思った。
✳︎
一通りキャンパス内を散策し終えると、急に雨が降り出してきた。
山の上にあるこの大学は、天気が変わりやすいのだ。
結構激しい雨だったので、売店で傘を買うことに。
わたしが安くて小さい傘を買おうとしていたら、キムくんが700円くらいする大きな傘を手にとった。
あ……相合い傘ですか…!そ、そうか、そうですよね……
なんかちょっと恥ずかしい…!
だけど顔には出さないように、ふ〜ん。と余裕そうな表情をしてみせるわたし。
そして、外に出ると、結構な土砂降り!!!!!
キムくんが傘を開いて、ふたりで傘に入る……
すると、キムくんがガッシリとわたしの肩を抱いた。
これは、あれだ。
あれあれ。なんだっけ?
雨、相合傘、年下の男……
あれだ、まさに、
パンヌナ。
パンヌナを観たことないけど、この赤い傘をさして2人で歩くシーンはドラマでパロディされていたり、SNSでもよく見かけるので知っている。
これ、パンヌナじゃんか……
と、心の中で思いながら、100メートルほどの駐車場へ向かう。
韓国って、肩を抱くのが相合い傘のスタイルなのかな?わからないけど。キムくんといると、一つひとつのことに驚きや発見があって面白い。
✳︎
大学を後にして、温泉熱で作られた「地獄蒸しプリン」を食べることに。
学生の時はお金がなかったし、交通手段も不便だったからわたしはあまりこの土地をあちこち動き回ることをせずに大学生活を過ごしてしまった。だから、このプリンを食べるのも初めてなんだよね、とか、そんな他愛もない昔の話をした。
雨が止んだので、温泉の街を散策。
道の至るところから、蒸気が立ち上り、温泉のいい香りがする……
足湯でまったりしたり、そうこうしていると、晩ご飯の時間に。(食べてばっかり!)
日本在住の韓国の方が経営されている、サムギョプサルのお店へ。
オーナーが韓国の方なだけあって、キムチの味も本場の味に近いらしく、キムくんも美味しいと言っていました。
ご飯をたらふく食べて、旅行はおしまい。
わたしはまた次の日から仕事なので、その間はキムくんは他の地域を観光する。
帰国日をわたしの仕事のお休みと合わせてくれたので、帰国前に2人で福岡市内を観光して、空港で見送ることに。
そんな今後の予定を話していると、キムくんが携帯をみて言った。
続く……
▼Carla Bruni “Stand By Your Man”
▼こちらのOSTもとても綺麗で好きな曲調です^^♡
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