対人対応は、贅沢品になっていく
革命家と暇人でごった返すTwitterで、「対面対応はAIにとって代わられるか」という議論が跋扈していた。
発端はAIに対面対応なんてできるはずが無い、という話から始まったようで、その根拠は、
「窓口にはAIはおろか自己の状況の説明すらおぼつかない人が多数来る。それをAIで処理するのは無理」
「みどりの窓口は今日も並んでいる。機械操作ができないのにAIに代わるのは無理」
というような意見を見かけた。
面白い話なので、自分なりの未来予測を書いてみたい。ちなみに、
現在対人がおこなっている対応の大部分が、AIを初めとするシステムが代わりに対応することになる。
人の対応はそれだけで価値を持つ、贅沢なものになる。
というのが自分の予測だ。
多くのものは、既にシステムに置き換わっている
AIをシステムのひとつだと考えると、Amazonなどの例を出すまでも無く、チケット予約やショッピングのほとんどが、既にシステムに置き換わっている。受付に並んで映画のチケットを買うなんて、もう10年以上やっていない(単館上映などは除く)。
じゃあ不便になったかというと、多くの人には逆に便利になっていると思う。
なぜシステムに代わるのか
なぜシステムに代わるのか、いろいろな理由があると思うが、ひとつは人間の対応は定型的な業務をするにはコストが高すぎるからだ。
人間は、関係のないものとものをつなぎ合わせて発想する能力や、ゼロから何かを作り出す能力はとても優れている。
でも、24時間ぶっつづけで働けるわけでもないし、10人同時に対応もできない、体調も悪くなれば退職もする。それならば、ある程度の規模になったあとはシステムに任せた方が良い。
でも、クレームや説明できない人の対応は無理では?
無理だと思う。
現在のAIは、人間のような発想力を持ち合わせていない。
ただ、googleの検索エンジンがどんどん賢くなっていったように、文言から文言を類推して適切な回答を提示する能力は、今後も発達していく。
また、Akinatorのように聞き返していくことで問題点を絞り込んでいくような仕組みが、今後は発展するかもしれない。
あくまで今はまだ発展途上、というだけの話だ。
システムを使えない人は利用できなくなるかも?
先ほどの映画館の予約の話に戻るが、現在は大きな映画館では座席予約はネットでおこなわれ、良い席から無くなっていく。
ネットが使える僕らは意識していないが、ネット予約が前提となったことで、ネットが使えない人は良い席が購入できる機会を失ってしまった。
コンサートなどのチケットの多くもそうだろう。
このように、サービスに対しての説明窓口について何かを言う前に、そもそも門前払いを食らうサービスも増えていくと思う。
対人対応は、贅沢品になっていく
同時に、対人対応を受けるためにはオプション契約が必要なサービスも増えて行くだろう。
例えば、弥生会計の青色申告というソフトウェアは、電話サポートがオプションになっている。Webにあるヘルプで解決できる人は8,000円、解決できない人は12,000円と明確に区分けされている。
また、mineoやOCNなどの格安携帯電話(MVNO)についても、本来は大手三社のように日本全国に対面窓口が無い代わりに回線を安く提供できる、という趣旨だったはずだ。
対人対応者は濃厚なクレームを受け続けることになるんじゃないの?
これについては、そういう事例も出てくるかも知れない。といわざるを得ない。特に公務員やインフラの方など、対応から逃れることができない業種についてはかなり大変なところが出てくるだろう。
願わくば、様々な問い合わせを切り分け、適切な回答を返せる人がきちんと評価されるようになって欲しい。それだけで価値なのだから。
徐々に、着実に対人対応は無くなる
現在、顧客の満足度を下げずに、対人業務を減らす仕事をしている者として、世の中の総量の幸福度を減らさないまま、様々な対人業務が減っていけばいいなと思っている。
投げ銭いただいたので、本を読み終わるまでサポート募集は休止します。