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字幕担当者が語る!奇跡のファンタジーロマンス「トッケビ」

※この文章には、ドラマの結末に関するネタバレが含まれています。

何かを見て、誰かに会って、訳も分からず涙を流したことがありますか?
もしかしたらそれは、あなたが忘れた前世の記憶かも…。

こんにちは。「トッケビ」の字幕監修とまるわかり字幕を担当した白井と申します。
冒頭から怪しい文章で失礼しました。いきなり前世なんて言われたら驚きますよね。私は前世や運命というものはあまり信じていない方ですが、「トッケビ」を見たあとは、運命や前世が少し違って感じられるようになるんです。「トッケビ」はそんなドラマです。
私の韓国ドラマ歴も早15年となり、面白かった作品を挙げろと言われたら迷ってしまうほどたくさんあるのですが、それでも心に刻まれたドラマを挙げるなら、「トッケビ」は間違いなく5本の指に入ります。
今日は、そんな「トッケビ」の魅力を私なりにお伝えできればと思います。

これぞ、まさにファンタジーの醍醐味!

第一の魅力は、何と言っても「トッケビ」という物語そのものです。
主人公は、神によってトッケビとなり不滅の人生を生きることになった高麗の英雄キム・シンと、トッケビの花嫁となる運命を背負って生まれた高校生ウンタク。
そこに前世の記憶を失った死神と常に誰かを待ち続ける女社長サニーが加わり、現在と過去、現世と前世を行き来しながら、トッケビとウンタク、死神とサニーの数奇な運命が描かれていきます。
ファンタジーの世界にどっぷりつかりながら主人公たちと共に泣き笑いする時間は、現実では決して味わえないもの。
「トッケビ」は、そんなファンタジーの醍醐味を味わわせてくれます。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~  1話

伝説のランウェイからおちゃめシーンまで
映像美&名場面の宝庫

二つ目は映像の素晴らしさです。
「トッケビ」といえば、何と言ってもトッケビと死神のランウェイシーンです。コートを着た男性2人が歩いてくるだけなのに、どうしてこんなにカッコいいのか…。まさにこの世のものとは思えません。個人的にドラマ史に残る名場面だと思ってます。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~  2話

それ以外にも、最初にトッケビとウンタクがすれ違う雨のシーン(1話)、トッケビが恋に落ちるシーン(4話)など額縁に収めたくなるような映像美があちこちに登場します。この映像なくして「トッケビ」はあり得なかったと言っても過言ではありません。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~  4話

映像美とはちょっと違いますが、トッケビや死神のおちゃめなシーンも見どころの1つです。ドクファの写真をトッケビが捨てるシーン(3話)、コンビニで酔っ払ったトッケビが歯ブラシを「ここからここまで買ってやろうか」というシーン(4話)、サニーに名前を聞かれた死神が待ってましたとばかりに答えるシーン(6話)などが随所にちりばめられていますので、ぜひお気に入りのシーンを見つけてください。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~  6話

登場人物に寄り添う珠玉の音楽

三つ目は音楽です。
ドラマに音楽は欠かせませんが、独特の世界観を持つ「トッケビ」では特に重要な役割を果たしています。
例えばCrush の「Beautiful」はトッケビとウンタクのテーマ曲とも言える曲で、静かなピアノの旋律とCrushの少し哀愁を帯びた声が調和し、2人の運命に優しく寄り添います。先ほども挙げたトッケビとウンタクが最初にすれ違う雨のシーンでも流れています。
また、エンディングに流れるチャニョル(EXO)とPunchの「Stay With Me」はまさに「トッケビ」の代名詞とも言える曲です。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~  1話

私が一番好きなのは、ソユ(SISTAR)の「I Miss You」です。死神とサニーのテーマ曲で、2人の関係が切なくなるにつれ登場回数が多くなります。ギターの音色とソユのささやくような歌声がシーンを一層盛り上げるんですが、実は歌詞もドラマの内容にぴったりなんです。

見ているだけで
しきりに涙が流れてくるのはなぜか分からないけど
巡り巡って私のもとに来ていたの?
避けられないあの人
I love you love you love you
運命だと感じた 私
And I miss you miss you
私の運命の人

「I Miss You」 ソユ(SISTAR)

ぜひドラマで出てきたらこの歌詞を思い出してください。

翻訳者泣かせのウンスク節

最後はセリフです。
キム・ウンスク作家の作品はウイットの利いたセリフが多く、「トッケビ」では軽妙な掛け合いから切ない愛の告白まで、とにかくウンスク節が全開!

トッケビの「分かるようで分からぬ」やウンタクの「何が言いたいか分かる?」のように登場人物ごとに口癖があったり独特な言い回しがあったりして、翻訳者泣かせでもありました。何とかセリフの持ち味を生かせないかと悪戦苦闘しましたが、字数のために諦めたところは、「まるわかり字幕」のほうでリベンジすることができました。

例えば、サニーがウンタクと初めて会った時に言うセリフ「じゃあ 私たち今日から“1日”よ」もその1つです。
「今日から“1日”」男女が「今日からつきあう」という時に使うもので、そのままだと分かりにくく字数も厳しいので通常字幕では諦めざるを得ませんでした。
意味だけならそれでも問題もないのですが、実はこのセリフ、後半にもう一度出てくるんです。そこも通常字幕ではドラマの流れには合わせて別の訳を入れましたが、「今日から“1日”」にしていたら、もっと多くのものを伝えられたはず。
ぜひ、まるわかり字幕で見てみてください。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~ 2話

もう一つ、ウンスク節に悩まされた最大のセリフが、最終話のトッケビとウンタクの結婚式での誓いの言葉です。難しい単語は何一つなく、本当にシンプル。字数的には何の問題もないのですが、そのまま訳すと「ん?」となってしまうんです。
「まるわかり字幕」では韓国語に忠実に訳し、通常字幕では悩みに悩んで少し変えました。
ぜひぜひご覧になってみてください。

トッケビ ~君がくれた愛しい日々~ 16話

ハッピーエンドのような
ハッピーエンドでないドラマ

トッケビの口癖「いるようでいない」に掛けてみました。
奇想天外な設定は後半失速することも多いのですが、「トッケビ」はラストも秀逸です。
最終話にこんな展開が待っていたのか!と衝撃を受け、最後はしっかり余韻を残してくれます。一見ハッピーエンドに見えますが、よくよく考えればやっぱり悲劇ではないか、という意見が聞かれました。
でも、重要なのはハッピーエンドかどうかではなく、運命を受け入れて一生懸命生きていくことなんですよね。なーんて、「トッケビ」に影響されて運命なんて使っちゃいました。100年早かったです。失礼しました。
 
長々と「トッケビ」の魅力を書いてきましたが、百聞は一見にしかずですので、お時間がありましたが、ぜひ「みるアジア」で見てみてください。
もしかしたら、思いも寄らない世界が待っているかもしれません。

トッケビ~君がくれた愛しい日々~はこちらから!
1話~3話の冒頭5分はどなたでもご覧いただけます!▼

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