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字幕担当者が語る!何周も見たくなるブロマンス・ファンタジー「鎮魂」

※中盤までのストーリーや伏線について触れている記述があるのでご注意ください

「1万年もの間 私は君を探してきた」

それは、性格も見た目の系統も違うけど、不思議と惹かれ合い、互いに対し強い絆を感じる2人の男をめぐる物語。
今回は、先日みるアジアでまるわかり字幕が全話公開されたばかりの中国発ブロマンス・ファンタジー!ドラマ「鎮魂」をご紹介します。

こんにちは。「鎮魂」のまるわかり字幕を共訳にて担当させていただきました、洋洋です。
まるわかり字幕は、字幕翻訳のルールに基づく通常字幕とは異なり、原語をできるだけ直訳に近い形で訳したものです。通常字幕では省略された部分が訳出されることで、登場人物の感情や性格、そして登場人物同士の関係性がより分かりやすくなるので、作品を余すところなく楽しんでいただけると思います。
今日は、まるわかり字幕翻訳者としての視点も織り交ぜながら、「鎮魂」の魅力についてご紹介したいと思います!

時空を駆ける壮大なブロマンス

ドラマは壮大なナレーションから始まります。
第1話の冒頭では、何万年も前の出来事が語られ、この物語が「異なる種族が1つの惑星で共存しているというSFファンタジー」だということが分かります。
私たち人類に最も近く、地上で暮らす「海星人」、資源の乏しい地下を住まいとし多様な異能を持つ「地星人」、そして植動物に似たような性質を持つ「亜獣族人」。彼らが住む海星は、各族の間で結ばれた不可侵条約によって平和が保たれているらしい――。

鎮魂 1話

主人公の趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は、種族間の争い事や犯罪といった「怪事件」の捜査を担当する特別調査所の敏腕所長で、ワイルドで少しやんちゃな雰囲気のイケメン。そんな彼がとある事件をきっかけに、もう1人の主人公である沈巍(シェン・ウェイ)と出会います。大学教授である沈巍は趙とは対照的で、冷静沈着な堅物といった雰囲気のイケメンです。
タイプの違うイケメン2人が協力し合い、数々の怪事件を解決に導きながら、本筋のストーリーが展開されていく、これぞブロマンスという、ある意味王道な展開が見えてきます。

鎮魂 1話

そんな2人とその周りで起きている数々の出来事は全て、長い歴史や因縁が絡んでいる模様。正反対な性格にも思える2人がなぜ互いに惹かれ合うのか。物語が進むにつれ、沈巍と趙雲瀾の深い関係性が分かってくるのですが、2人の関係性を壮大な世界観が引き立て、時空を超えた絆の物語に感動せずにはいられません…。

2人の関係性が込められた深いセリフ

趙雲瀾には言えない秘密を隠し持ちつつも、誰よりも彼のことを気にかけている沈巍。さまざまな疑惑が浮かび上がっても、直感に従って沈巍を信頼する趙雲瀾。
2人とも誰よりも相手のことを気にかけており、その絆を示すセリフが随所にちりばめられています
翻訳者は映像と台本を繰り返し確認しながら作業をしますが、本当に毎話が神回だと言っても過言ではないくらい、原語でもぐっとくるセリフが多いのです。
中でも、個人的に印象に残ったものを紹介します。

まずは第2話のこちら。

出会ってまもない頃に趙雲瀾が沈巍に対して発した言葉です。
「古なじみにでも会ったような気分になる」(通常字幕では「懐かしい気がする」)の部分ですが、中国語字幕では「一见如故」
(初対面のはずなのに)前から知ってるように打ち解け合える、あるいは旧友に再会したようだ、というような意味の四字熟語です。

鎮魂 2話

そして沈教授は「本当に会ったことがあるのかも」と冗談のような返事をしていますが、このあとの展開を考えると何とも深いですね。

(ちなみに、みるアジアでは日本語と中国語を同時に表示することが可能です!)


続いては、胃痛で倒れる趙雲瀾を沈巍が甲斐甲斐しく看病する、第8話の場面です。
まだ8話なのに、もはや夫婦のようにイチャイチャしています。(笑)

鎮魂 8話

中盤までの沈教授は基本的にツンデレ。
口では小言を言いながらも、行動を見れば誰よりも趙雲瀾を気にかけているんですよね。

鎮魂 8話

一方、趙雲瀾はどこまでも気持ちを素直に口にする男(普通に嫌味も言うけど)なので、こんな2人の会話だからこそ、何だか更にドキドキします。

鎮魂 8話

ちなみにこのあとのエピソードでも、何度も趙雲瀾を看病し、寝顔を見守る聖母のような優しい表情の沈教授が見られます。ぜひ本編を見てご確認ください。

更に、第27話のこちらの場面も私のお気に入りです。

「まだ信じても?」
「実は何度も あんたを怪しんできたが」
「最後には信頼した」
「なぜだろうな」

通常字幕

「まだ信じても?」
「正直に言うよ 俺は何度もあんたを疑った」
「でも いつもあんたを信じるほうを選んできた」
「自分でも理由が分からない」

まるわかり字幕
鎮魂 27話

自分に対して明らかに重大な隠し事をしている沈巍に対して、趙雲瀾がつぶやいた言葉です。先ほどの「古なじみ」発言もそうですが、2人の縁を直感的に感じ取っているのでしょうか。
普段の趙なら怒りそうな展開なのに「まだ信じても?」と、少しすがっているかのような聞き方にぐっときます。
こんなことを言われてしまった沈巍の心中やいかに、ですね。

感動的なサイドストーリー

そして主人公の2人だけでなく、特調所こと特別調査所の個性的な所員たちのキャラクターも大きな見どころです。
彼ら所員1人1人の過去を描いたサイドストーリーもドラマの中で明らかになっていきます。

中にはワケありの地星人や亜獣族人もいます。
多様なバックグラウンドや才能を持っている人が多いのですが、友情、恋、兄弟愛など、普遍的なテーマがしっかり語られるのです。これがメインストーリーに負けないくらい作り込まれたものばかりで、それぞれの持つ葛藤と決意が伝わります。
見終わった頃には全員のことを好きになっているはずです。

異能キャラがたくさん登場するSFファンタジーというと、少し現実離れしているように感じて違和感を持つ方もいるかもしれません。しかし、しっかりとしたストーリーと、俳優たちのすばらしい演技によって、気づけばあなたも「鎮魂」沼にハマること間違いなしです。

鎮魂 20話

何度も見たくなる!伏線回収が楽しい作品

最後に少し上級者的な楽しみ方となりますが、特にまるわかり字幕でぜひ楽しんでほしいのが、各話の伏線回収です。

既に通常字幕をご覧になった方も、今度は見方を変えて「この人は、あの人だったのか!」「この〇〇(劇中アイテム)って、そういう伏線だったのね!」と、伏線回収の快感に浸るのはいかがでしょうか?
「鎮魂」は登場人物の立ち位置やセリフなど、実に多くの伏線が張りめぐらされています。ちょっとしたギャグや小道具、一見モブキャラに見える各事件の関係者も、ストーリーが進むにつれて重要な役割や意味を持つことに気づくでしょう。
例えば、第1話で趙所長が手にしていた、アレ。あるいは、あのセリフとか。

鎮魂 1話
鎮魂 1話

と、語り出すと本当にキリがないのですが、とにかく何度見ても新たな発見と共感がある、スルメのように面白い作品なので、この作品の魅力が1人でも多くの方に伝わればうれしいです。
実際、記事執筆にあたりエピソードを復習しようと思ったのですが、翻訳作業で何度もくり返し視聴したのに、気づいたらまた夢中になって見ている自分がいました。恐ろしい…。

さあ、そこのあなたも!「みるアジア」で「鎮魂」沼にどっぷりハマってみませんか?

鎮魂はこちらから!まるわかり字幕全話公開中です!
1話~3話の冒頭5分はどなたでもご覧いただけます!▼

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