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【イベントレポート】TechTalk新年会!〜C向けサービスのバックエンドエンジニアたちが語る夜〜

1月19日、株式会社エウレカ、株式会社エブリー、株式会社ミラティブ3社のバックエンドエンジニアが集い、各社の直近のリアルを語り合うトークイベントを開催しました。2021年の振り返りと2022年の抱負から見えてくる、三者三様の課題や挑戦。 イベント当日は、体制変更や技術的負債の解消などをテーマに具体的なエピソードが語られました。本レポートでは、メインパネルディスカッションの内容を一部抜粋してお伝えします。


―登壇者プロフィール―
【パネリスト】
株式会社エウレカ 山下 権人 Head of Back-end Team
2013年エウレカ入社。受託事業と恋活・婚活マッチングサービス「Pairs」のグロースアプリ開発に従事した後、全社システムのインフラおよび運用を担当。その後は海外版Pairs・Pairsエンゲージの開発責任者を歴任し、現在はバックエンドエンジニアチームのマネージャーをしながら開発を支えている。

株式会社エブリー 内原 章 開発本部システム開発部部長
1996年パソコン通信業務としてキャリアを開始し、その後インターネット系業務に携わるようになる。2004年ヤフー株式会社に入社。ジオシティーズの開発と運用に従事後、全社向けプラットフォームサービスの開発を行う。2010年頓智ドットに入社しセカイカメラのバックエンドを担当し、2013年CTOに就任。その後2017年エブリーに入社し、DELISH KITCHENのバックエンド開発を経て、2021年9月より開発本部システム開発部部長に就任。

株式会社ミラティブ 牧野 龍彦 バックエンドエンジニアグループ マネージャー
東京大学大学院修了後、2013年に株式会社ディー・エヌ・エーに入社。サーバー・クライアントエンジニアとしてゲーム開発に従事。2年目には内製大型タイトルのリードエンジニアやプロジェクトマネージャーを経験。2019年8月にミラティブに入社し、ただ一人のエンジニアとして新規事業立ち上げに携わる。現在は、バックエンドチームのマネージャー兼リードエンジニア。

【モデレーター】
株式会社ミラティブ 横手 良太 CTO
早稲田大学大学院修了。機械学習の分野で博士号取得後、助手として研究活動、論文執筆を行う。2014年に株式会社DONUTSに入社し、スマートフォンゲーム開発に従事。2017年より技術部部長。2018年7月ミラティブ参画し、ミラティブのアバター機能「エモモ」の開発をリード。2021年4月にCTOに就任。


昨年の各社開発部門の動き


ミラティブ・横手(以降、横手)「今回は『パネルディスカッションという名の新年会』と称し、各社バックエンドエンジニアマネージャーが昨年の振り返りと今年の抱負を話していきます。はじめのテーマは各社開発部門の動きです。エウレカの山下さん、お願いします」

エウレカ・山下(以降、山下)「プロダクトに関しては、有料会員向けのプリペイドカード決済の導入や、マッチング前に趣味などの関連項目を通じて会員同士が会話できる『コミュニティチャット』という機能追加に伴い、API開発を行いました。
システム的なところでは、ORM(Object-Relational Mapping)のアップデートをしました。これまで技術的な障壁があってなかなか進まなかったところを、バックエンドチームで協力して改修した形です。また、Goのアプリケーションに関しては、単体テストに加えてE2Eテストを整備してカバレッジを上げた、という感じです」

エブリー・内原(以降、内原)昨年はCTOが変わり、チーム全体で新体制を整えました。それに伴い、私はDELISH KITCHENのバックエンドチームのマネージャーとシステム開発部の部長を兼任することになりました。
DELISH KITCHENについては、『とにかく作る』、攻めの姿勢で5年間走り続けてきたのですが、だんだんと足元が疎かになりつつあって……。データ分析ひとつ取っても、アドホックに今あるデータで頑張る、というような状況だったんです。そこで、昨年からは事業に貢献するシステム基盤を作るためにSRE(Site Reliability Engineering)チームが設けられました。
そういった一連の動きを振り返れば、とにかく作るフェーズから足元を固めるフェーズに入った一年という印象でしたね」

ミラティブ・牧野(以下、牧野)「ミラティブも昨年CTOが横手に変わりまして、変化としては今まで以上に採用広報に力を入れるようになりました。エンジニアチームでは、テックブログを分担して年間30本書いたり、採用イベントを10本やったりと、メンバーが発信する機会を増やしました。
バックエンドチームとしては、前々から取り組んでいたPerlからGoへの移行を本格的に進められたところが大きかったです。言語移行に加えてアーキテクチャ移行もやっていったのですが、同時にやるのはなかなか難しくて。まず、Perlの中でMVCからClean Architectureに移行し、そこからGoへ……と、ステップに分けて対応していきました」

山下「私たちも数年前PHPからGo移行したのですが、ミラティブの今回の移行のようにデータベース設計そのものを変える形でやったので、とても大変でしたね」

内原「ちなみにミラティブとエウレカはなぜGoに移行したんですか?」

横手「ミラティブの場合、新しい言語を試すよりかっちりしたものを作るほうがサービスにとって良いという考えが前提にあります。新しいものって負債になりやすいので。あと、自分たちでライブ配信のミドルウェアを書いていたり、インフラ系のツールもGoで書いていたりするので、そことの一貫性を考えての判断でした。あとは採用面ですかね」

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山下「エウレカでも採用に効くだろう、というのが理由のひとつでした。あとは言語の成長性やGoogleへの信頼性などを総合的に見て、最終的に決断した形です」

内原「エブリーも皆さんと同じGoですが、覚えることが少ないけれどちゃんと使えるといった点では、珍しい言語ですよね。一方でコードが冗長になりがちといった特徴もあるので、人を選ぶ言語かもしれません」

昨年やってよかったこと

横手「次に、昨年やってよかったことを教えてください」

牧野チャレンジしたことは、全部よかったかな。テックブログや採用イベントはもちろん、Go移行も採用に効いていました。バックエンドエンジニアは昨年4名を採用しましたが、全員Goが書けることが応募の理由になっていたようなので、効果的だったなと思います」

内原「立ち上げたSREチームで、インフラ構造のコード化に取り組み始められたことがよかったことですね。まだ道半ばですが、見える化が進み、誰が何をしたかが明確になってきました」

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山下「私たちも昨年は技術的負債に取り組むメンバーを個別に分けて、タスク管理しながら協力して進められました。あとはDatadogのAPMでGoのプロファイリングを見るようにして、CPUの使用率を軽減するような施策を打てたことで、サーバー費用のコストを削減できたのもよかったです。加えて、ログの整理やビルドの高速化などを通じ、全体的な開発効率を上げられた印象があります」

横手「ちなみに、そういった施策は『必要があるからやる』のか『理想から逆算する』のか、皆さんはどっちが多いですか?」

山下「理想から逆算するのがエウレカのスタンダードですが、昨年は技術ドリブンでやるのもいいね、という風向きも増えてきた印象です。特にフロントエンジニアチームでは、とりあえずやってみよう、という機運が高まっています」

牧野「ミラティブは今ある問題からスタートするほうが多い印象です。生々しい課題から出発して、最終的にあるべき姿にたどり着きます」

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内原「エブリーでは、すでに問題が起きているところを後回しにしてきたツケが回ってきているような状況だったので、昨年は『必要があるからやる』ことが多かったですね

逆にやめたこと、できなかったこと


横手「逆に昨年あえてやめたことや、できなかったことはありますか?

山下リモートワークにおけるコミュニケーションの活性化施策は、なかなか難しかったです。はじめはいつでも話せるようにつなぎっぱなしで仕事をしてみたのですが、結局うまく機能しなくてやめました。現在は無理にコミュニケーションを促すのではなく、オンライン上で一緒にランチを食べたり、ゲームを楽しんだりといった時間を設けて、心的距離を近づける工夫をしています。

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あとは、アップデートに対して慎重になりすぎるのをやめました。特にGoについては、マイナーバージョンも含めどんどん最新版にして、技術的負債を減らす方針に切り替えましたね。これは、新しく入社したメンバーに指摘されて見直したところです」

内原「現在進行系ですが、EC2のインスタンスを管理することをやめようとしています。現状は、メンテナンスをはじめ、何かしようとしたら動かないといった問題が山積しているので……。ECS配下であればEC2インスタンスをさほど意識する必要はないのですが、とは言えずっと稼働させておかなければならないとか、AMIをアップデートし続けなければいけないとか、いろいろと出てくる問題を根本的に解決したいな、と」

牧野Go移行がまだ完遂できていないですね。アーキテクチャがMVCのままのところも多いので、今年引き続き頑張りたいな、と。あと、ミドルウェアの刷新なども優先順位が後回しになってしまい、リソース的になかなかできていないところです」


今年の抱負と課題

横手「最後に、今年の抱負と課題をそれぞれ教えてください」

内原「今年は自身がDELISH KITCHENのバックエンドチームマネージャー兼任を外れ、本格的にシステム開発部の部長になります。社内の声を聞きつつ改善案を出し、より良い社内システムをリードしていくチームを作りたいです

牧野「Go移行を引き続きやりつつ、ミドルウェアの刷新もしていきたいです。加えて、プレスリリースを通じて打ち出したライブゲーミングに対する本格的なアプローチも、今年から始まるところですね。技術的にはゲームをまるっと作る必要がありますし、ゲーム会社さんとのOpen ID ConnectやOAuthを使ったAPI連携などもやるので、やるべきことは山積みでして。そして最大の課題はリソースが足りないことなので、採用も引き続き頑張っていきます」

山下「抽象的な言い方になってしまいますが、システムの安定化を達成したいです。今はまだロードマップを組んでいる段階ですが、マイクロサービス化、コードのスリム化、Kubernetes使用……そういったところに今年は取り組んでいきたいですね。
あと、バックエンドチームはプロジェクトの中でもテックリードを担うことが多いので、メンバーのビジネススキルやプロジェクトマネジメントスキルも磨いていきたいです。その上で採用活動にも力を入れていきたいな、と思っています」


バックエンドエンジニアの視点から見た2021年と2022年。三社の直近を語り合うことで、それぞれの新たな挑戦と、技術的負債の解消という両面が垣間見えました。今回のイベントレポートからより詳しい話が聞きたい、共に働きたいと感じた方は、それぞれ下記のお問い合わせよりお気軽にご連絡ください。


株式会社エブリー

株式会社エウレカ

株式会社ミラティブ


※発表内容と登壇者情報は、発表当時のものです。

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