俳句、今日から作るなら(1)

俳句結社「森の座」(師系・中村草田男「萬緑」の後継誌)の同人、家登みろくです。こちらは2019年12月に行った、本当に「初めて」吟行をして、「初めて」俳句を作る某秘密結社会員(笑)向けに作った吟行句会のしおりです。

1)本日の流れ


・挨拶
・吟行@皇居周辺
・句会@飯田橋の貸しオフィス
 
【手順】
  1)投句…各自、自分の句を推敲し、時間までにひとり3句を短冊に書いて提出。
  2)選句…投句された句の中から、自分の句を除いて、好きな句・いいと思う句を選び、投票。
  3)披講…投票結果を発表。作者は自分の句が読まれたら名乗る。
  4)講評…各自感想や選出の理由を述べる、質問も可。

・打ち上げ@例の居酒屋…講評中に言い足りなかったことや、質問や反省点などをワイガヤ、次回の相談も。


2)俳句を作るコツ

・季語はとりあえず入れよう(季語をテーマに詠むと◎)
季語があると、読み手が背景やメッセージを推測しやすい。
 例:旅に病んで夢は枯野をかけめぐる 芭蕉
 枯野…冬の季語。広々としているが花がなく、閑散として寂しい。人生の冬。

・名詞(モノ)で語ろう
 ものに思いを託して、語らせる。動詞はなくてもわかることが多いので、動詞を減らす。例えば、沈まない夕日はないので「沈む」は不要!
 例:落城のごとくに仕掛花火かな 片山由美子

・「切れ字を含む型」を使ってみよう
※切れ字とは…「や」「かな」「けり」(詠嘆)。切れを生む。
※切れとは… 意味が切れるところ。場面転換や、強い言いきりなどの働きがある。改行や、句点(。)の意味だととらえてもOK。切れ字や、用言・助動詞の終止形、体言止めでも生まれる。

・「や」「かな」「けり」を使ったスタンダードな形(変形や例外もあり)
〇〇〇〇や〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇や〇〇〇〇〇 (上五・中七に「や」を加える)
例:たんぽぽや日はいつまでも大空に 汀女

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇かな (上から続けて最後に名詞+かな)
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇けり (上から続けて最後に動詞・形容詞+けり)

例:満月をとつてくれろと泣く子かな 一茶
例:いくたびも雪の深さをたづねけり 子規(※病床での句と言われている)

・作り手と読み手の責任は半々、作って終わりじゃない
 メッセージや意味のすべてを17音で語ろうとせず、読み手に任せる。作者は読み手の解釈によって、新たな発見を得ることができる。

例:明るい意味の季語+暗いもの・こと
=読み手A「暗い内容を明るい季語で吹き飛ばす、自虐的でおもしろい句」
=読み手B「Aは美しい、一方Bときたら…という批判的な句」
=読み手C「AとBが対照的で、この世の思い通りにならない様子を訴えている句」

Tips

・字余りにするなら上五を字余りにする。中七・下五は崩さずに。
・映える、彩る、静寂、漆黒などは初心者使いがちワード。避けよう。
・切れ字を一句内で二つ使うのは基本的にはタブー。
・過去や未来のことではなく、いまここの場面を詠む。

Level up!「景色がきれいだな~」以上の気持ちを読みこむ。

例:冬の水一枝(いっし)の影も欺かず 草田男
冬の水が枝の一本一本までもくっきりと映し出しているということだが、
それを「欺かず」と表現したのには、そのときの作者の心が表れている。
自分も嘘偽りなく生きたい、世の中から嘘や出まかせがなくなればいいのに…など。
表現の工夫とは、変わった表現を選ぶことではなく、景色を見ている自分の心を真に表す表現を見つけること。


3) 今日使えそうな季語一覧


気になったらググって、似た意味の季語を探したり、例句を見てみたりみましょう。季語はオフィシャルではないので、「季節を感じさせる語」であればOKです(今日は)。

参考になるサイト「季語と歳時記ーきごさい歳時記

【時候】冬/玄冬/冬帝/冬将軍/十二月/師走/極月/冬至/年の暮/歳暮/歳末/年末/年の瀬/年の果/年暮る/年の内/行く年/年逝く/年送る/年惜しむ/冬の日/冬の朝/冬暁/短日/暮早し/冬の暮/寒暮/冬の夜/寒夜/霜夜/冷たし/底冷え/寒し/寒さ/寒気/凍る/氷る/凍む/冴ゆ/寒波/厳寒/しばれる/冬深し/真冬
【天候】冬の日/冬日/冬日向/冬日影/冬晴れ/冬日和/冬の空/冬青空/冬天/寒空/凍(いて)空(ぞら)/凍(いて)雲(ぐも)/冬の雲/冬の月/冬の星/隙間風/時雨/冬の雨/霜/冬の虹
【地理】冬の山/枯山/雪山/山眠る/冬野/枯野/冬田/枯園/冬景色/冬の水/冬の川/冬の海/霜柱/初氷/氷
【生活】ボーナス/年用意/年忘る/忘年会/冬服/布団/重ね着/着膨れ/セーター/コート/冬帽子/耳あて/マフラー/手袋/マスク/熱燗/湯豆腐/焼き芋/たい焼き/鍋焼きうどん/寄せ鍋/闇鍋/おでん/冬ごもり/雪囲ひ/雪吊/冬の灯/障子/暖房/ストーブ/こたつ/焚火/冬耕/大根干す/ラグビー/風邪/湯冷め/咳/くしゃみ/鼻水/息白し/ひび/あかぎれ/しもやけ/かじかむ/日向ぼこ
【行事】酉の市/クリスマス/聖夜/サンタクロース/蕪村忌
【動物】熊/冬眠/狐/狸/冬の鳥/冬雲雀/寒鴉/水鳥/鴨/都鳥/白鳥/鱈/鰤/河豚/牡蠣/冬の蝶/冬の蜂/冬の蠅/冬の虫
【植物】冬の梅/寒梅/帰り花/寒桜/冬(ふゆ)薔薇(そうび)/寒牡丹/寒椿/さざんか/ポインセチア/蜜柑/冬紅葉/木の葉/枯れ葉/落葉/冬木/冬木立/寒林/枯木/柊の花/冬苺/寒菊/水仙/葉牡丹/千両/万両/枯蓮/冬菜/白菜/葱/大根/人参/冬草/枯芒/枯芝/つわぶきの花/冬菫/竜の玉

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