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大自然から学ぶ警告色

先日、twitterで厚生労働省が出しているとある警告のためのデザインが話題になりました。
ご本人が元ツイートを削除していますし、内容についてはふれません。

しかし、そこで議題に上がっていた厚生労働省の画像がデザインを考える良い題材だったので、警告色について考えてみようと思います。

厚生労働省の画像はこちらです。

チラシ_元デザイン

有毒植物であるスイセンについて注意喚起をしています。
ここで使われている警告色は紫、黄色、赤ですが、主なベースは紫と黄色に見えます。

おそらくデザイン専用ソフト(Illustratorなど)で制作していないと思われるので、デザインに突っ込むのは野暮ですが、ラインがズレていてとても見にくいですね。
この手のチラシはそれぞれのラインを揃えたり、文字サイズで強弱をつけると良いです。

ただ、こういった現場はデザイナー不在であり、警告までの告知に時間が少ないことも多いのではないかと推測しています。お疲れさまです。

警告色とは何なのか

まず、警告色について考えてみましょう。
ウィキペディアを見ると以下のように書かれています。

警告色(けいこくしょく、英: Warning colouration)は、生物がもつ派手な体色のことをいう。警戒色、危険色とも言う。主に有毒の生物に見られる色彩であり、捕食者など自分に害を及ぼす他の生物に対する警告の役目を担う。動物、植物を問わず、更には人間の社会生活にまで広く応用されている。
引用元 Wikipedia 警告色

平たくいうと害を及ぼすことを伝えるための色です。
自然界では鮮やかな色をした動植物が危険であるのはよく知られていますね。

人間の社会においては先ほど紹介した有毒植物の紹介や、道路や自然の危険箇所など様々な「危険」を伝えるために色を利用します。

まずはリデザインしてみよう

厚生労働省_リメイク

まずは厚生労働省のスイセン警告画像をリデザインしてみました。とてもシンプルで整えただけですが、運用のしやすさを重視したデザインにしました。
(厚生労働省公式ではないので、厚生労働省の文字は抜いております)

今回、自分の中で用件とした内容は以下です。

・ノンデザイナーでも扱えるデザイン
・PowerPointなどデザインソフト以外でも再現可能
・文字や写真を差し替えて使用することが可能

厚生労働省のスイセン警告画像ですが、分かる限りだと厚生労働省のtwitterで使用されていました。
またスイセン以外にも有毒植物を紹介しているのを見かけましたので、写真&該当植物の概要については差し替え可能な形にしています。

どの現場にもデザイナーがいればいいですし、時間と予算が潤沢で常に外部デザイナーに依頼できればいいのですが、そうは問屋が卸さない状況が往々にしてあります。
なので、運用性を重視して整える程度に留めています。

しかし、各ラインが揃っているのと、カラーバランスが整理されているので幾分見えやすくなったのではないかと思います。

使用された警告色は正しいのか

twitterの議論では紫色と黄色の配色は今回のポスターには相応しくないのではないか、という議論がありました。
さて、この配色は自然界ではどの動植物がまとっているのでしょうか。

チラシ_ヒョウモンダコ

Wikipediaの写真が水色斑点なので、各調べて欲しいのですが紫×黄は猛毒をもつことで有名なヒョウモンダコの配色です。
私も厚生労働省の警告画像を見たときに、真っ先に思い浮かんだのがヒョウモンダコでした。
紫と黄は反対色であり、カラーバランスによってはまがまがしく見えますが、警告色として自然界では存在している配色になります。

他の警告色を探してみる

さて、ヒョウモンダコ以外にも警告色をまとった動植物から警告色を探してみましょう。
次は日本の固有種であるヤマカガシです。

チラシ_ヤマカガシ

赤×黒も目に入りやすく、そして赤という警告色の王道が危なさを伝えてくれています。
ここで考えたいのは、ユニバーサルデザインについてです。
今回の主題ではないのでさらっとしかふれませんが、赤と黒はコントラストが近く、一部の色弱の方には見えにくいとされています。
(詳しくは各々調べてくださいね)

有毒植物という万人に伝えなくてはならない場面では使いにくい配色ですね。

警告色も場面によっては爽やかにみえる

チラシ_ヤドクガエル

ヤドクガエルという毒をもつカエルは青×黄。
ポスターに入れてみると禍々しさがでますね。しかし青の色が持つ爽やかさが前面に出てしまい、夏場や水辺では警告の意味をなさなくなる可能性を感じました。
青は暗くにすると紺色となりオフィシャルなイメージをもたれ、明るくすると上記のように爽やかになってしまいます。
警告色ではあるのですが、出す場面を考える必要がありそうです。

警告色の王道である黒×黄

チラシ_ハチ

警告色と聞いて、黒×黄をイメージする人も多いのではないでしょうか。
なぜなら人間社会でも数多く使われているものだからです。
線路の踏切、道路の看板、災害関係のお知らせ...様々な場面で目にする配色です。

実際のポスターにするとたしかに見慣れた配色で、すっと目につきます。

ここからは想像ですが、なぜ厚生労働省が黒×黄の警告色を使わなかったのか考えてみました。
厚生労働省(厳密にはスイセンの画像を投稿していた厚生労働省食品安全情報)のtwitterを確認すると、有毒植物以外にも様々なお知らせが出ています。
夏場ですので食中毒のお知らせから、赤ちゃんに蜂蜜を与えないなどの警告など様々です。
もしかしたら、災害がおきた時に災害関係のお知らせも出るかもしれません。災害関係の警告では黒×黄は多く見られる傾向にあります。

有毒植物も人命に関わりますが、災害は一刻1秒を争うことも多く、災害が起きれば情報伝達では最優先事項になると予想されます。
そういった中で、黒×黄の警告色は災害関係にとっておくといった判断をされてもおかしくありません。

何のためのデザイン、どこに出すデザイン

デザインは作って終わりではありません。
今回の場合だと有毒植物の告知を過不足なくだして、認知してもらうまでが達成すべき内容です。

警告色と言っても答えはなく、自然界を見ただけでも様々な配色が存在します。
この警告色で出したら過不足伝わるか、他のお知らせとのバランスはどうかなど様々なポイントを意識してデザインをしていきたいですね。

読んでいただきありがとうございました。 サポートは制作のお共に使わせていただきます! twitter→https://twitter.com/miroc007