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学校に行きたくない理由なんてわからないのかもしれない

我が家は転勤族。
四月に引っ越した。
つまり、小学生の子供にとっては、新たな街、新たな学校。

前に住んでた場所で小学生になった息子は、いわゆる「行き渋り」がひどく、不登校一歩前だった。
厳密には、出席日数的には既に「不登校」だったかもしれない。
かもしれないのだが、まあ、それはいい。
息子は学校に友達もいたし、勉強で困ってはいなかった。
なんなら、引っ越しの際の見送りに、同じクラスの子が10人くらい来てくれるほど、それなりに愛されていた。
アメリカではクラス唯一のアジア人、日本では「あの帰国子女」だった私としては、
馴染めてないわけでもないのに何故!と思ったりもした。

まあ、私の目に馴染めているようで、思いの外馴染めていなかった可能性はある。
実は前の居住地は離島で、離島にしては恐らくかなり大きな学校だったが、実情としては地元の子がほとんどで、なんならお母さんたちも皆互いに知り合いなんじゃないかというぐらい、地元の知り合いで構成された学校だった。
そこで、どうしても浮いて感じていたのかもしれない、とは思う。
でも、それと同時に、それだけじゃあないよなあ、私の子だから仕方ねぇよなあ、とも思う。

息子の母親は「帰国子女」で、日本の学校ではずっと浮いてるような気がしていたし、不登校もした。
アメリカでモンテソーリ系の保育園に通っていたからか、日本の自由の少ない学校が何一つ面白くなくて、小学校も中学校も鬱の水溜まりに片足を突っ込んだまますいすいやってたし、
母親になってからも、周りの保育や幼児教育的環境になんとも言えない違和感がして、どうにか違う道はないかと、
ホームスクリーングを検討したり、森の幼稚園に通わせたりした。
一緒にする遊びも、理系の、ボールの道筋を作る系の遊びとか、もしかしたら他のお宅の遊びとズレていたかもしれない。
保育園自体は何も悪いとは思わないが、これだけ待機児童の多い社会下において、家で見れる人間が保育園に預けることにも疑問があったし、(休息とかで一時預けるのは別とする)
そもそも仕事を持たない状態から保育園に預けれるような状況の市町に住んでいなかったので、
正直たまに保育園に預けられるぐらいの環境がベストなのにと思いながら、ストレスを溜めながら家で子供を見た。
それが正しかったかはわからない。
息子は家でストレスを溜める母と二人、嫌だったこともあるだろう。
ただ、保育園に預けることに現実性が全く見えなかった。
結果、集団行動率は少ない状態からのスタートだったと思う。

その上で、コロナ禍で家の行き来が少ない時期だったし、他のご家庭との関わりが薄い時期だったし、正直、息子はかなりズレた母と長時間過ごすことによって、ズレた子に育てたかもしれない、と自分でも思っていた。
集団行動が嫌いなのは主人譲りだが、主人は必要とあらば集団の端っこで上手にのらりくらりやる。
息子が徹底して集団行動に嫌悪感を抱くのは、日本よりも自由な教育を受けた母譲りか、集団に表向きは合わせても根本的に集団からそっぽ向いて行動してしまう時がある母譲りか、そもそも息子に集団行動を強要しなかった母譲りか。
いずれにせよ、もう少し集団行動が出来る子に育てなかったことを心底後悔した。
後悔した、とかいう反面、でもそんな息子も好きだなあ、と思う。

今の学校において、息子はめんどくさいといいながら、毎日学校には行っている。
前よりは少しばかり楽しそうだ。
正直、学校の口うるささはこちらの方が段違いに高そうなので、口うるささだけが問題ではないように思う。
しかも、クラスの騒がしさもこちらの方が明らかにひどいので、以前の学校で行ったり行かなかったりしたくせに、
今の学校で行けている理由はあまり判然としない。
住んでいる場所としては前のところの方が好きだというので、余計はっきりしない。

まあ、私からしたら多少どうでもいいのだ。
ただ、半年前の私は、どうにかこうにか息子が学校に行きたくない理由を知ろう、と、
どうにかして学校に行けない理由を解決できるならしようと躍起になっていた。
学校へ行かないことをよしとしなかった夫に苦しみながら、私はひたすらに神経をすり減らしていた。
でも結局未だにわからない。
でも結局未だにわからなくていいのかもしれない。
正直これからももしかしたら不登校になるかもしれない。
そうなったら、金を稼ぐのに働きに出た方がいいのに、私は生活レベルを低くしたままホームスクリーングを徹底してやるしかない。
我が家の不登校問題が解決したのかはまだわからないのだが、
何故学校に行けないのかわからなくてもいいのかもしれない、と半年前の自分に言ってやりたい。
よくよく考えてみれば、私自身が学校に行けなかった理由がわかったのなんて、不登校をした20年以上後だった。

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