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第5回台湾カステラの行末

上京してから早9ヶ月、
20代一人暮らしが次々と酒、タバコ、ギャンブルに狂い、ギラギラとした夜の中で踊り狂うその頃、
私は
"ホットケーキミックス・炊飯器で作る簡単台湾カステラ"
に取り憑かれていた。

ある時見かけたホットケーキミックスによる台湾カステラがあまりにも簡単手順で、作ってみるかと動いたのが始まりだった。

第1回
お菓子作りを甘くみすぎていた。
ホットケーキミックス90gを
まあ誤差かと150gで作り、
卵白と卵黄も大して分けずに炊飯器一つで作った。
大きな卵味強めのホットケーキができた。

第2回
あれは台湾カステラではない。
第1回を反省し、分量をレシピ通りにする作戦に出た。
だがメレンゲを諦めるのが早かった。
あまり泡立たぬうちに、疲れたので早々に炊飯器にぶち込んだ。
プルプルの卵のかたまりができた。

第3回
3度目の正直、テレワーク中の休憩1時間で勝負に出た。
メレンゲも時間をかければ泡立つはずだと、懸命に手を動かした。
30分混ぜ続けた。
休憩時間の終わりとともに、
またも不完全なメレンゲは炊飯器の中で炊かれていた。昼食はとれなかった。
プルプルの卵のかたまりができた。
※尚、この時まで砂糖ではなく液体のパルスイートを使用

第4回
メレンゲが泡立つまでやめれま10を決行。
手動を諦め、100均で150円のハンドミキサーを購入。
さらに初めて砂糖を入れた。
完全にレシピ通り。
2時間混ぜ続けた。
メレンゲが泡立つことはなかった。
ハンドミキサーは小指ほどの大きさの泡立て器が回るドレッシング用のものだった。
きめ細かいプルプルの卵ケーキができた。
甘かった。

第5回
実家にはハンドミキサーがある。
材料もばっちりだ。
いつものようにホットケーキミックスとサラダ油を混ぜ合わせ、牛乳を入れ、卵黄と混ぜる。
別のボウルで卵白をハンドミキサーで泡立て、砂糖と混ぜる。
完璧だ!!!卵白もツノが立ち、ふわふわのメレンゲができた。

泡立つメレンゲと混ぜ合わせていく

フワシュワ台湾カステラとの対面も秒読みである。いつも絶望して省略していたが今回は炊飯器にキッチンペーパーで油を塗って、このふわふわメレンゲミックスを流し込む。
炊飯器のボタンを押した。

40分が経った頃、母が異変に気付いた。
「炊飯器が!保温してない!連続保温なのに!」
炊き上がった音もなく、先ほどオレンジに光っていたボタンは消灯していた。
どうしたというのか。
開ける。
べちょべちょ。
閉める。
もう一度ボタンを押す。

急いで机に説明書を広げ、母とそれを取り囲む。
「圧力IH炊飯ジャー」
「可変W圧力炊き、高温炊き上げによりご飯粒を炊きしめる」
「土鍋コーティング」
彼がお米に特化した誇り高き炊飯ジャーであることを察した。
米じゃないものは受け付けない…と……

かくして、炊飯器の拒絶により台湾カステラは生焼け失敗に終わり、圧力IH炊飯ジャー"炊きたて"には夕飯の用意をすべくすぐに白米が放り込まれた。

いつか本物の台湾カステラが食べてみたい。
2023年の目標は台湾カステラを食べることだ。

これまでで1番ぽい

【材料】
ホットケーキミックス…90g
サラダ油…50ml
牛乳…60ml
卵黄…4個分
卵白…4個分
砂糖…70g
→家事ヤロウで紹介されていたレシピを参照

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