秋の訪れ
湿気がない!最高じゃない?
今日は素晴らしい秋晴れだった。
地下鉄を出るとそこには晴れやかな青空と、可愛らしいうろこ雲が広がっていて、なんだか泣けた。
なんたって、今年の8月は悪夢みたいな気候だった。毎日のように朝昼は酷暑に、夜はゲリラ豪雨と激しい雷に襲われ、とても外出できたものではなかった。
だからといって、9月になったら改善が期待できるかと言うと、正直近年はそんなこともない。
ここ数年の9月上旬なんて、残暑というか夏そのものみたいな気候だった。今年もどうせ秋など来ない、11月頃にいきなり寒くなるに違いないとすっかり諦めていた。
極めつけは、8月末の台風10号。
日本大満喫コースとでも言わんばかりの最悪の陸路で日本中を荒らされた。南海トラフ巨大地震のリスク変わらずだし、もう世界終わるのか?と思った矢先。
ごく当たり前のように今日、秋がやってきた。
爽やかな肌ざわりの空気。
りんりんと小気味の良い虫たちの鳴き声。
どれも愛おしく懐かしい。
そういえば、秋の訪れっていつもこんな感じだったな、ほんの10年くらい前までは。
毎年、ある日を境にふっと毒が抜けたように湿気がなく、冷えてさらっとした空気を感じられるようになる。
そよ風が吹くとちょっぴり稲の香りが混じっていて、なんだか胸が暖かくなる。
そんな瞬間から、その年の秋が始まるのだ。
秋って、特有の気品が感じられて素敵だ。
秋の曲は叙情的なものが圧倒的に多いが、日本の秋を体感したら誰もが納得することだろう。
澄んだ空気に澄んだ景色。静かな空間に優しく鳴りわたる虫たちの声。散歩するだけで四方から洗練された秋が私を包み込んでくれる。
こんな豊かな環境で毎日を過ごしていたら、感性も研ぎ澄まされるというものである。
夏はとにかく大味で派手なものが楽しい季節だが、秋は落ち着き、安らぎを優先し、自ずと感受性が高まっていく状態を楽しむことが何よりの幸せだ。
とかなんとか、足りない言葉で語ってるけども。
この気候もいつまで続くことだろう。
今年の情緒不安定な気候を鑑みると、お天道様のほんの気まぐれである可能性は高い。
考えるとまた気持ちが落ち込みそうになる。
でもやっぱり、日本の四季大好き人間としては、まだ希望は捨てず楽しんでいきたいところだ。
梅雨を取り返すみたいに土砂降りだった8月。でもそのおかげで、幸か不幸か今年はいつも以上に秋の虫が嬉しそうにしている気がする。鳴き声もいつも以上にいきいきしていて、秋の訪れを祝福しているみたいだ。
これが仮初の秋だったとしても、それはそれで謳歌しなくてはもったいない。正真正銘の秋だったら、そりゃもう精一杯歓迎しなくては。いっぱい景色と空気を味わい、美味しいものをもりもり食べたい。
不安定な世の中だからこそ、日常を当たり前と思わず感謝し、満喫していきたいところだ。
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