何者かになれると思ってた
朝、7時20分。
子どもたちを前と後ろの席に詰め込み、ペダルを思いっきり踏み込んで坂を登る。
青空に紅く色づいた葉が綺麗で、
前に乗る息子に「綺麗だね〜、寒いけど、まだ秋だね〜」なんて、話しかける。
「ね〜!」と嬉しそうな息子。
後ろの席でご機嫌な娘。
この子たちともっと一緒にいたいな〜なんて考えながら、今日も私はこの後、保育園に託すのであった。
駅につけば、7時30分すぎでも結構な人。
パパもママもパパじゃなくても、ママじゃなくても。
みんな働いている。
私ももちろんその中の一人で。
その他大勢で。
学生の頃、きっと何者かになれると信じていた。
結婚にもあまり興味がなかったし、子どもも欲しくなかったし。
たくさん仕事をして、海外なんかにも行って…。
なんて思っていたのに。
あっという間にその他大勢。
それが悲しいわけではなく、むしろ今は子どもたちに囲まれて嬉しい日々なのだけれど。
キャリアを捨てきれず、子育ても仕事も中途半端な気がする自分に、苛立つのだろうと思う。
「踏み出すなら、いま、だ!」
「たとえ、何者にもなれなくても」
あの子たちの母として、
私として最善を探すために。
心が叫んでいる気がする。
そんな事を考えた、朝の青空。
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