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眼鏡店でリモート検査を受けてみた

「リモート〇〇」。

近頃はそんな言葉が、当たり前のように聞かれるようになりました。
その波は、眼鏡業界にも。そう、「リモート検査」です。度数決定のための検査を、リモートで行なうというお店が出てきているんです。

そんななか、私が以前からお世話になっている眼鏡店である「ニコンメガネ」さんが、丸の内から表参道へ移転リニューアルされ、リモート検査を導入するとの知らせが。というわけで、早速体験してみることにしました。

最新の検査機器が、リモートを可能に

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お店が位置するのは、表参道駅B3出口から徒歩3分ぐらいに位置するLUCE南青山の2階。以前の店舗よりも広々とした店内は、テラスに面していて外光がたっぷりと入ってきます。それゆえカラーレンズの色合いも見やすく、店の外に出れば調光レンズの色の変化も外光で確認することができます。

ちなみに、そもそも同店はリモート検査用にリニューアルしたわけではありません。新店舗の見どころは、最新の視力検査装置である「WAC700」と「VISION-R 800」を導入している点。これらの最新技術が結果的にリモートを可能にしたので、時代に合わせその体制を整えていったのだそうです。

まず「WAC700」は、いわゆるオートレフ。眼鏡ユーザーなら、顎を台に乗せて気球を覗く検査の機器といえばわかるかもしれません。

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こちらは国内の店舗ではニコンメガネにしかないというエシロール社の最新機器。角膜形状や波面収差の測定可能で、角膜の不正乱視などがわかるとのこと。

詳しい内容は割愛しますが、最初に顎の高さを合わせてもらえば、あとは自動で左右それぞれの目の位置を感知して測定するので、ここでもスタッフと対面する時間がだいぶ短縮されています。

そして「VISION-R 800」は、フォロプター(写真左上)。

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度数の自覚検査(指標がどこまで見えるかなどを答えていく検査)の際に覗くものですね。こちらは、なんと0.01D刻みでの度数測定が可能に。その超精密な度数をそのままレンズの設計に反映させることができるので、より自分に合った見え方が実現できるというわけです。

※通常眼鏡やコンタクトの度数は、0.25D刻みでの製作が主流。たとえばS-.7.62という度数の場合でも、S-7.50、もしくはS-7.75でしか製作できない。「VISION-R 800」なら、0.01単位で度数を測定することが可能に。

度数の測定は完全個室で部屋に一人きり

そして、この「VISION-R 800」にはもう一つ特徴があり、レンズ交換の必要がない新開発の光学モジュールを搭載。その仕組みについては割愛しますが、つまりは従来のフォロプターや仮枠測定のように検査時にお客さんの眼前でスタッフがレンズを交換する必要がないから、離れた位置でも検査ができるというわけなんです(とてもざっくりな説明ですが・・・)。

というわけで、早速検査を体験。

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検査を受ける部屋はガラス張りの完全個室。音は静かだけど、ガラス張りなので閉塞感はありません。スタッフは、隣のオペレーター室で機械を操作(写真左)。声はスピーカー越しに聞こえてきます。

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このスピーカーが良い感じで、音が拡散せずにまっすぐ聴こえてきました。それゆえ、離れていても隣で話しかけられているかのように聞き取りやすかったです。

自分の手元にはモニターがあり、ZOOMの画面のように隣のコントロール室で検査をしてくれるスタッフの方の顔も確認できますが、ガラス越しにも姿を確認することができます。スタッフ側からも、お客さんの検査時の姿勢が崩れていないかなど、ガラス越しに適宜確認できるとのこと。それゆえ、離れていても安心感があります。

ただしリモートといっても、最初にフォロプターを自分の目の高さに合わせてもらうのは自動とはいかず、スタッフの手が必要です(所要時間1~2分程度)。また、調節力の検査で使用する手元の指標も、手作業での設定が必要となります(所要時間は1分未満)。

設定が済んだら、いよいよ検査。私の場合ニコンメガネで何度か検査していることもあり、前回作った眼鏡のデータと、先ほどのオートレフのデータを元に検査が開始。とにかく、ニコンメガネさんの検査は丁寧なのが魅力。しかも今回は0.01D単位で検査ができるわけですからね。45分ほどかけて、しっかり検査してもらいました。

初めてのリモート検査。その感想は・・・

今回初めてリモート検査を体験したわけですが、結論からいうと、何も不便を感じませんでした。リモートによる違和感なども初めてながらほとんど感じず、逆に個室に一人ということで検査に集中できた気がします。

リモートといっても店内でガラスの壁を隔てているだけなので、限りなくこれまでの接客に近い感覚で受けられるリモート検査とだと言えそうです。

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検査室のモニターを使い、リモートの状態でレンズの説明なども受けられます。とにかく対面時間を減らす工夫がされているので、時間をかけた丁寧な接客はそのままに、客側もスタッフ側も安心できるというわけです。

ただし、リモートと言ってもお店に行く必要はあるわけで。即日受け取りではないですから、検査と受け取りで2往復は必要となります。自宅がかなり遠方であれば、その移動のほうをリスクに感じる場合もあるでしょう。

他店でも様々な取り組みが

6月末にはオンデーズが、各店舗と本社のコントロールセンターをつないでのリモート検査を。そして、7月末にはメガネスーパーがポータブル検査キットを活用した自宅でのリモート視力検査のサービスを発表しました。お客さんもお店で働く方も安心できる新しい取り組みには、ぜひ期待したいところです。

これからユーザーの選択肢はますます増えていくでしょう。一方で、リモートであることに囚われ過ぎるのも良くないのかなとも思います。すでに信頼できる行きつけのお店があるのなら、そこで作ったほうが仕上がりに安心感があるし、リモートの技術が確立されていても、取り扱い商品が自分の感覚に合わなかったり、技術に納得できないようであれば本末転倒です。

今回は、私が以前から信頼しているお店であるニコンメガネさんがリモート検査を開始したということで、安心して快適に検査を受けることができたわけで、単にリモートをお勧めするわけではありません。

ただ、もし眼鏡店での長時間の対面を恐れて見えにくさを我慢してしまっている方がいれば、ひとつの選択肢としてぜひリモート検査の存在を知ってもらえたらと思います。


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