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コロナテック②"中国自動車業界の救世主"中国のスタートアップまとめ

はじめに


こんにちは、Marketing TeamのMireiです。Plug and Playのシリコンバレー本社では、先日Opportunities for Chinese Mobility Technology Under COVID-19 (新型コロナウイルス感染症のもとでの中国のモビリティ技術の機会) という記事を公開しました。こちらの記事には新型コロナウイルス感染症が中国自動車業界に与えた影響と自動車業界が直面した課題の解決に取り組む中国のスタートアップが紹介されています。今回はこちらの記事の翻訳に解説を加えながらお届けしていきます。

前回の記事では「コロナテック①遠隔患者モニタリングに取り組むスタートアップまとめ」と題して、イスラエルとシンガポールのスタートアップ3社を紹介しましたが、今回は中国の自動車産業がテーマということで、中国のスタートアップ8社を2つのカテゴリーに分けて紹介していきます。

新型コロナウイルス感染症が及ぼした影響

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まずは新型コロナウイルス感染症の拡大が中国の自動車業界に及ぼした影響を見ていきましょう。新型コロナウイルス感染症の突然の拡大は、中国の自動車産業を一時停止させ、研究開発や店舗販売の現場に大きな変化をもたらしました。確かに、現在の中国の自動車生産業のスピードは圧倒的に減速してしまっています。しかし、私たちは、中国自動車業界の未来は決して暗くないと思っています。そして中国自動車産業にとって今最も大切なことは、外部の緊急事態に対処するよりも、企業の内部変革を加速し、製品の競争優位性を強化することです。

ここで、新型コロナウイルス感染症が私たちにもたらした影響をポジティブに捉えてみましょう。外出自粛になっても従業員が家で普段通りに働けるのは、テクノロジーの進歩によるものです。最近では、eコマースショップ、オンラインストリーミング、バーチャルミーティング、オンライン学習コースがいたるところで見られるようになってきました。新型コロナウイルス感染症の拡大は、様々な業界において新たな戦略構築の必要性を明らかにした一方で、バーチャル技術の一般化を加速させました。この状況は、新型コロナウイルス感染症拡大によってバーチャル技術革命が起こったとも表せます。

中国の自動車業界におけるバーチャル革命

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自動車の小売業界に注目してみましょう。様々な製造工場やディーラーは、工場見学や店舗販売が制限される中、VRツアーやライブストリーミングマーケティングなどのオンライン小売ソリューションを採用しています。新型コロナウイルス感染症の拡大は、自動車業界のオンラインチャネルとオフラインチャネルの統合を加速し、デジタルマーケティング機能を強化する新しい小売モデルを構築する機会となったとも捉えられるのです。

具体的に、中国のスタートアップは、大きく分けて2つのカテゴリーのコロナテック事業を展開しています。①車内での健康状態モニタリングと②オンライン販売です。まずは車内での健康モニタリング技術を開発する企業を3社見ていきましょう。

1社目は乗車中の人の健康状態を把握できるセンサーを開発したRe-Fresh

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Re-Freshは、自社開発のチップと知覚技術を用いた、非侵襲的なモニタリング製品の開発に注力しています。現在のプロダクトには、車載健康モニタリングシステム、汗センサー、ガスセンサーなどがあります。
Re-Freshの多次元センサリングシステムは、車に乗っている人全員の健康状態をセンサーで読み取り、監視することを可能にします。このような技術を駆使すると、健康危機の検出の他にも、飲酒運転などの違法行為への警告もできます。

2社目は乗車中の人の心拍数から感情まで読み取れるウェアラブルセンサーを開発したWenxin Tech

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Wenxin Techは、ビッグデータを活用したネットワーク解析サービスの提供と、医療用ウェアラブルセンサーの開発を行っているウェアラブルヘルステック企業です。Wenxin Techはウェアラブル非侵襲性心臓検出デバイスの研究開発の専門家です。Wenxin Techは自動車を健康監視プラットフォームに変えました。Wenxinの技術で、車両はドライバーと乗客の両方の心拍数を含む生理学的パラメーター、感情や疲労の具合をリアルタイムで監視および検出できます

3社目は車内での毒ガス検出センサチップ開発を行うIDM Technology

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IDM Technologyは、スマートガスセンサを開発する企業です。現在のプロダクトには気流センサ、センサモジュールなどがあります。IDMは、毒性のある空気をリアルタイムで検出するためのモニタリングモジュールと共に、様々なガスセンサチップを開発してきました。
IDM Technologyは、「スマートガスセンサー」「低電圧センサー」「車載モジュール」を用いて、ホルムアルデヒド、エタノール、一酸化炭素、メタン、アンモニア、アセトン、二酸化窒素などの有害ガスを自動検出する技術を持っています。

次に、"オンライン販売"を促進する技術開発を行うスタートアップ5社を見ていきましょう!


1社目はバーチャルモーターショーを可能にするプロジェクション技術を開発するVX Entertainment

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VX Entertainmentは、ホログラフィックプロジェクションを含む最先端の映像技術を統合したクリエイティブなコンテンツを開発しています。プロジェクションマッピング、MR、AR、VR、モーションキャプチャー、その他多くの技術を駆使して、独占的で没入感のあるインタラクティブな体験を提供しています。VX Entertainmentは、ホログラフィック・プロジェクション技術を自動車業界にも応用し、車両の細かな構造をバーチャルで表示することを可能にしました。VX Entertainmentのホログラフィックプロジェクション技術は、バーチャルで行われるモーターショーでの360度展示ブースなどで活躍します

2社目は販売店と製造工場のコミュニケーションをデジタル化する车巡IMS

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车巡IMSは、オフラインとオンラインを統合した自動車販売店向けのスマートリテール管理プラットフォームを構築します。アナログで行われてきた販売店と製造工場とのコミュニケーションプロセスをデジタル化し、サービスの効率化に貢献する新しいリテールエコシステムの構築を目指します。

3社目はAR技術で新たな顧客体験を創るActionTech

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ActionTechは、AR、VR、ホログラフィックプロジェクションなどのマルチメディア仮想統合ソリューションを提供しています。ActionTechは、販売前と販売後を含む車両購入プロセス全体の顧客体験を向上させるために、拡張現実技術を統合したスマートマーケティングシステムを提案します。拡張ディスプレイ(AR)技術と様々なデジタル情報を組み合わせることで、顧客ごとにカスタマイズされたデザインを提案したり、車両のバーチャルツアーなどが可能になりました。

4社目はプロジェクターが仮想空間を創る、ArchiFiction

一隅千象

ArchiFictionは、限られた物理的空間に仮想世界を実装し、無限の可能性を無限の空間に解き放つことで空間の概念を再定義する裸眼没入型のMR製品を提供するテクノロジー企業です。
ArchiFictionは、知覚モジュールとリアルタイムレンダリングモジュールからなるプロジェクターベースのプラットフォーム製品「n'Space」を開発しました。この製品はプロジェクターベースであるため、顧客にウェアラブルデバイスを装着してもらわなくても、没入感のある仮想環境を提供できます。お客様のご要望に応じてカスタマイズされたソリューションを提供しています。

5社目は家でのメンテナンスを可能にしたCarota

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Carotaは、クラウドとエンドユーザー向けに最先端のOTAソリューションを提供しています。CarotaのOTA技術により、車載システムやオンラインソフトウェアを遠隔でアップグレードすることができるようになります。車の所有者は、この技術により車のメンテナンスのために、外出する必要がなくなります。顧客のソフトウェアをオンラインでアップグレードすることによって、遠隔でもバグ修正が可能になり、顧客経験は飛躍的に向上するでしょう。

さいごに

今回は、コロナテックシリーズ第2弾「コロナテック②中国自動車業界の救世主となった中国スタートアップまとめ」と題して、中国の自動車関連スタートアップを8社紹介していきましたが、いかがでしたか?

この記事でこれまで紹介したコロナテックスタートアップの総数は11になりました!

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前回の記事の冒頭でもお伝えしたように、コロナテックスタートアップは全世界で50社も存在すると言われています。上のカオスマップもまだまだ空白が多いですね!

今後もコロナテックについて、Plug and Play Japan Magazineで記事を書いていきますので、フォローをお願いします!


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