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虹の色はいくつ?―3色の虹って!?

言語ネタでわたしが好きなのは虹の色の話。昔々、言語学の授業で紹介された『日本語と外国語』(鈴木孝夫著、岩波新書) に載っていました。
日本だと虹の色はいくつ?と訊かれたら、ほとんどの人が7色と答えると思います。色の名前がすらすら出てこなくても、とりあえず色の数はラッキー7。でも、世界に目を向けると答えはさまざま。本書はアメリカでは6色、ショナ語では3色という記述を紹介していました。これは色が見えてないということではなく、連続しているプリズムをどこで区切り、どう名づけるかが文化によって違うから。ということは、それぞれの言語が持っている色の名前に左右されるわけです。それ以来、いつかショナ語を話す人に本当かどうか質問したいなと思っていました。

そして、本当にそんな日がやってきました!いくつめかのオンライン英会話スクールでショナ語を話すジンバブエの先生に出会ったのです。初回は自己紹介や他の話で時間切れになり、その先生との2回目のレッスンでしっかり質問することができました。そのときに書いたブログ記事をこちらに再録します。母語の大切さについて考えさせられるお話でした。


消えゆくショナ語

ジンバブエの先生との2回目のレッスンで、忘れないうちにと、まず虹の話を聞いてみました。やはり色の名前を表す単語が極端に少ないので、一般的に虹の色だとされている7色をショナ語で言い表すことができないそうです。

それに、たとえば「赤」に対応する言葉はあるけれど、それを使う人は減ってきているというのです。レッスンの日、先生は赤いシャツを着ておられたのですが、それを指さしながら、「たとえばこれを買いに行くとね、ショナ語ではなく、英語で "red shirt"がほしいって言うんだよ」と教えてくださいました。

色に限らず語彙数が少ないため、ショナ語だけで長いスピーチをすることは難しいと言ってはりました。だから、不足部分を英語で補うということが日常的に行われているそうです。
また、英語を話せることがステイタスになっており、逆に、ショナ語を話していると、英語が話せないとみなされて「田舎者」だと認識されるとか。。。

学校でも英語が使われているため、ショナ語が話せない生徒が増え、先生の姪っ子さんともショナ語で会話ができず、もっぱら英語で話しているそうです。そんなの悲しいですね、と言うと、こんなふうに母語をないがしろにして、伝統的文化を守ろうとしない国はアフリカでは珍しい存在だと、ちょっと憤りを露わに言ってはりました。

ショナ語は死にかけている("dying")という先生の言葉がショックで、ショナ語を救うため、わたしが学んで後世に伝えます・・と言いたかったけど、そんな自信はないのでやめておきました。(^^;) 
(みれどのABC:2017/12/19)


余談ですが、このページのトップ画像はバリ島ウブドのお宿で、ニュピ(サカ暦の元日)の朝に撮ったものです(2012年3月)。

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