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読書メモ|良い戦略、悪い戦略 |リチャード P.ルメルト


 「なにか次のでかいことを待ってるんだ」(略)いまの業界でで成功するためには何が必要か、障害物は何かを考え、自らの強みを活かせる次の機会の窓を注意深く探り、窓が開いた時にすばやく抜け目なく行動する態勢を整えていた。(略)機会の窓は毎年開くものではないし、手立てを講じればこじ開けられるものでもない。

第1章 良い戦略は驚きである

 しかしこの戦略プランの最大の問題点は、部屋の中の象、誰もが気づいていながら口に出さない脅威を無視していることだった(略)ハーベスターの象は余剰人員を大量に抱えた非効率な組織だった。この問題はいくら設備投資をしても、シェアを拡大しても、解決しない。(略)重大な問題を無視し、分析しようともしなかったら、戦略をたてることなどできない。重大な問題と無関係の目標や予算は戦略とは呼べない。
 まず会社にとって最も有望な機会は何かを見つけることだ。たとえば制作工程のボトルネックを解消するとか、作業上の障害物を取り除くとか。あるいは、サービスの買い手は誰なのか、競争相手は誰でどんな強みを持っているのか、どんな新しいサービスが可能か、開拓可能な見込み客は誰か、そういったことを調べるんだ。自分の業界にどんな変化が起きているか調査することはどんなときにも役にたつ。(略)ほとんどの企業では業績予想に基づいて3年あるいは5年単位の継続的な予算を組むことをプランニングと称している。これでは予算編成とセットで戦略ができあがるという誤解を与えかねない。
 

第3章 悪い戦略の4つの特徴

 悪い戦略がはびこるのは、分析や論理や選択を一切行わずに、いわば地に足のついていない状態で戦略をこしらえ上げようとするからである。その背後には面倒な作業はやらずに済ませたい、調査や分析などしなくても戦略は立てられるという安易な願望がある。悪い戦略とは、よい戦略を練り上げるためのハードワークを自ら避けた結果なのである。考えるのは大変だし、えらぶのは難しいからだ。
 戦略を転換し資金や人材やエネルギーや注意をどこか1ヶ所に集中しようとすれば、必ず不利益を被るひとがでてくる。したがってこのひとたちは戦略の転換に頑固に反対する
 企業でも政治でも、同じ行動パターンが長く続けられているほど、深く根を下ろし既得権と化す。
 

第4章  悪い戦略がはびこるのはなぜか

 大規模な組織の多くは、内部に問題を抱えていることが多い。つまり外部との競争よりも、時代遅れの業務慣行、官僚主義、既得権益、縦割り組織、旧態依然の経営手法などの方が深刻な問題となっている。(略)こうした問題が存在しないというときには、新分野の開拓や競争優位の確率といったことが課題になるだろう。
 権限委譲ですべてが解決するわけではない。行動の主体がそのコストを引き受けない場合、あるいは利益を手にできない場合には、権限委譲はうまく機能しない。コストと利益の分離は中央と現場の間でも起こりうるし、現世代と将来世代の間でも起こりうる。(略)意思決定者が愚かな時、特定の利益団体に加担しているとき、重大な判断を誤ったときには、中央統制型は悲惨な結果を招く。

第5章 良い戦略の基本構造

 限られているものを集中投下したときの見返りは大きい。(略)たとえば広告には閾値効果があると考えられる。ほんの少しだけ広告を出してもほとんど効果はなく、閾値を超えて初めて反応が現れるのが普通である

第6章 テコ入れ効果

「じゃあ月面のことはほんとうはわかってないんだな」「月面はこうだと条件を指定しない限り技術者は何もできない。仮にこれと全く違っていても、長時間滞在するわけではないのだし問題ないわ」つまりこうだ。真実はその時点では誰も知りようがなかった。だから技術者がプロジェクトを先に進められるような近い目標を戦略的に選んだのだ。これは賢明なやり方だった。あらゆる可能性を網羅した詳細分析など行なっていたら、探査機の設計のみならず、月面着陸計画そのものが危うくなっていただろう。

第7章 近い目標

 システム設計の大半は、実のところサブシステムの相互作用、トレードオフを見極めることにある。ある部分を最適化しようとすれば、直ちに別の部分はどうするのかという問題が必ず起きるからだ。(略)システムのあらゆる部分を見直し、無駄な重複をなくし、最適の組み合わせをみつけなければならない。(略)私が大学の工学部で教わったことは何一つこの種の問題には役立たなかった。大学で教わったのはまず数理モデルを構築し、そこからコストを削減するとかエラーを最小限に抑えるという方法である。(略)あらゆるサブシステムの基本を頭に叩き込み、相互作用を理解したうえで、つねにすべてのものを念頭において最も効率的な組み合わせをみつけるのは控えめにいってもひどく難しい

第9章 設計

2週間で読了しませんでした。また、予約待ちの列の最後尾に並び直したので、続きが読めたら続けます。
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」という本も読みたいなと思っています。

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