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読書メモ|無理ゲー社会

少し前に読んだ、「スピリチュアルズ」はとても面白かったのだけど、これは辛かったな

”しかし、最近では決まったチームを持たずに時間があると近くのフットサルコートに行き、人数が足りなかったり、競技者が抜けたコートに入ってプレイするのだという。私にこのことを教えてくれた若者は「いちばん嫌われるのはともだちとつるんでやってくることで、そういう奴らにはパスを回さない」と言った。”

”階級社会では、自分が成功できない理由が社会制度の責任にできる。だが、メリトクラシーでは、すべてのひとに公平に機会が開かれているのだから、「自分が本当に劣等であるという理由で、自分の地位が低いのだと認めなくてはならない」のだ”

”アメリカの保育園で行われたとても興味深い実験がある。子どもたちは、いつも世話をしてくれる(よく知っている)保育士と、はじめての(見知らぬ)保育士の映像を見せられた。どちらの保育士が好きかと訊ねると、当然のことながら、子どもたちはよく知っている保育士が好きだと答えた。
次に保育士が、珍しいモノに名前のラベルを貼るテストに挑み、正解か不正解かが示された。このとき、見知らぬ保育士はつねに正しいラベルを貼り、よく知っている保育士はすべて間違えた。
その後、子どもたちは、知らないモノを見せられ、どちらの保育士にその名前を教えてもらいたいか訊かれた。
3歳の子どもは、テストの様子を見ても、やはりよく知っている保育士を好んだ。ところが4歳児は、よく知っている保育士に答えを訊くのをすぐにやめて、見知らぬ保育士を頼るようになった。”

”私たちは、相手にどの程度の利用価値があるかを(無意識に)見積もっている。どれほど親切でも、なんの権力ももたず、たいした能力もない相手はほとんど役にたたないのだ。”
”わたしたちは有能な者に魅力を感じ、無能な者を避けるよう進化の過程で「設計」されてる。”


①日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない
②日本人のおよそ3分の1以上が小学校3−4年生以下の数的思考力しかない
③パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない
④65歳以下の日本の労働人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない

”1990年代にアメリカで行われた社会実験では、裕福な地区への引っ越しをともなう経済援助を受けたグループでは、13歳以下だった子供が20代半ばに達した時の収入が(何の援助も受けなかった対照群の子どもより)約3分の1以上高くなり、8歳児が受けた利益は生涯収入で30万ドル(約3000万円)と見積もられた。”

"
ところが奇妙なことに、。1970年頃を境にして、アメリカでは経済成長は続いているのに資源の消費量が減りはじめた。のちに他の先進諸国や、中国のような振興国でも同じことが起きていることがわかったのだ。こうした現象は脱物質化と呼ばれ・・・あらゆるところで資源の消費量が減っている・・・資本主義とテクノロジーの進歩が「脱物質化」を引き起こし、いまや「セカンド・エンライトメント」とも呼ぶべき希望に満ちた世界が到来した。”

”非正規の不安定な仕事で収入が少なく、満足に貯蓄もできない。定年になっても微々たる年金しか受給できそうもない。それにもかかわらず親の介護をしなければならず。結婚もしなければ子供もいない自分たちには「孤独死」が待っているだけだ。こうして合理的な結論として「苦しまずに自殺する権利」を求めるのだろう。”

”シングルマザーの貧困率がOECDの中で下から3番目・・・母子家庭の81.8%が就業しており、、これは女性が働くのが当たり前のデンマークやスウェーデンより高く、先進国で最高だ(アメリカやドイツは70%弱、イギリスは50%)・・・母子家庭になるのは離婚したからで、貧困に陥るのは別れた夫(父親)が養育費を払わないからだ。責任は男にあるが、なぜか日本では、最近まで養育費の不払いはほとんど問題にならず、母子家庭の生活保護不正受給だけがバッシングされている。・・・子どもができてから離婚すると父親は責任を問われることが(ほとんど)なく、母親だけが社会の最底辺に突き落とされる「自己責任」にされてしまう。”

#これをわかりやすくいうと、わたしたちは上方比較(自分より優れた人と比べる)を損(罰)、下方比較(劣った人と比べる)を得(報酬)と感じているらしい。”

”より多くの貨幣を獲得しようとする「資本主義経済」から、より多くの評判を獲得しようとする「評判経済」へと変わることになる。評判の分布は、富の分布よりはるかにロングテール構造になりやすく、その上貨幣と違って再分配が困難だ。・・・社会が「エリート層」と「無用者階級」に分断される”



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