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【ROOM COURSE ー 多元的な環境のためのデザイン】第1回オリエンテーション「環境をめぐるデザインの問題について」

ミラツクでは2020年より、異分野との交わりから時代性を掴むコミュニティの場として、メンバーシッププログラム「ROOM」をスタートしました。

ROOM COURSEは、連続セッションの形を取って一つのテーマを深掘りしていくアクティビティです。2023年は複数のテーマ(環境、デザイン、教育、を予定)について深めていきます。

2023年5月に開始する「ROOM COURSE ー 多元的な環境のためのデザイン」は、「環境」をテーマにした全5回の連続セッションです。オリエンテーションの初回に加えて、第2回〜第5回では人類学・農学・循環経済・芸術といった複数の領域、分野の方々を毎回一人お招きします。

5月18日(木)の第1回は本コースの企画・運営者であるミラツクの奥田より、「環境をめぐるデザインの問題について」と題して、コース全体の概要と背景をプレゼンテーションさせていただきました。

|本編|

|登壇者|

NPO法人ミラツク研究員 奥田宥聡(Hiroto Okuda)
1998年生まれ
合同会社Poietica 共同代表
京都工芸繊維大学博士前期課程デザイン学専攻
Actant Forest マテリアルデザイン

|オリエンテーション概要|

■テーマの「多元的な環境ためのデザイン」について
 〇多元的(Pluriverse)はコロンビア出身の人類学者アルトゥーロ・エスコバルの書籍『Designs for the Pluriverse』から大きく影響を受けているコンセプトです。
 〇場所に根差した文化、 生態学に関係する状況や文化の構築を多元的(Pluriverse)といいます。
 〇エスコバルが批判するのは、グローバルサウスにおいて、ノースのやり方を一方的に当てはめ、地域を開発することがその地域や自然環境にある豊かな関係性や知識を破壊することになることです。
 〇そのため、ノースの技術決定論的なアプローチではなく、その土地の在来種や地形に根ざした生態学的な関係性を重視したデザインが求められています。

■コース構成について
 極端にいえば、私たち人類は絶滅に向かって加速し続けています。しかし、エスコバルが提唱する3つの処方箋が私たちに今後のヒントをくれています。本コースはその3つの処方箋を学べるように各回ゲストをお招きして構成しています。

<エスコバルの考えるいくつかの処方箋>
処方箋1:共同体性の再/構築
処方箋2:自然環境と接続したオルタナティブな経済
処方箋3:批評的デザイン

〇テーマの深堀り:
第2回:「多元的な世界とは」

日時:2023年5月31日(水)19:00-21:00 
ゲスト:神崎隼人さん 大阪大学人間科学研究科 特任研究員

〇処方箋1:共同体性の構築
第3回:「自然環境と共につくるコモンズ」

日時:2023年6月13日(火)18:00-20:00
ゲスト:齋藤暖生さん 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林 樹芸研究所長/森林圏生態社会学研究室講師

〇処方箋2:自然環境と接続したオルタナティブな経済
第4回:「循環する環境と経済」
日時:2023年7月6日(木)18:00-20:00
ゲスト:那須 清和さん Circular economy hub 編集長

〇処方箋3:批評的デザイン
第5回:「二元論を超えた関わり合い」

2023年7月13日(木)19:00-21:00
ゲスト:齋藤帆奈さん 東京大学大学院情報学環・学際情報学府所属/ 現代美術作家

|参加者ディスカッション|

グループワーク後のディスカッションの様子

多元的デザインについてグローバルサウスの事例があったが、日本にも古来より茅葺屋根や石積みのノウハウがある。そうした事例を見つめ直すことで現代のテクノロジーデザインの関わりにおけるデザインのヒントになると感じた。

エスコバルの理論は開発人類学の大きい話なので、それを自分たちの実践にどう繋げられるかを今後考えていきたい。

例えばカーボンクレジットはうまくコミュニティ回してるようで、実際電力は結構消費してしまっているという話がある。そこをプルリバース的に考えるとどういうトランジションができるんだろう。まだまだ続きの議論ができそう。

技術中心から人間中心デザインが謳われイノベーションが起きてきた現代。しかしそれだけでは、弊害があることに気づき始め、アクションをおこしている方もいます。環境に合わせたデザイン、すなわち環境中心のデザイン、それがこの先、人間も社会も環境も豊かになる手段になっていくのではないでしょうか。第1回のオリエンテーションは短時間でしたが、実務者の参加者同士の議論が濃密な回となりました。

|ご案内|

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文責:ミラツク 非常勤研究員 鈴木諒子


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