見出し画像

ROOM’s CIRCLE テーマ:教育|ゲスト:徳永智子さん

ミラツクのメンバーシップ「ROOM」で展開する「ROOM’s Circle」。

コミュニティ内外から素敵なゲストをお招きし、緩やかにお話を伺うオンラインの場です。人にフォーカスし、ゲストの魅力を通じて、ネットワークや繋がりを創造しています。

本日は2022年 3月 3日(木)にお招きした徳永智子さんの会をご紹介します。

|本編|

|ゲスト|筑波大学, 人間系, 助教 徳永智子

慶應義塾大学、群馬県立女子大学を経て、2019年より現職。専門は教育社会学・教育人類学。
日本とアメリカで移民の若者の居場所づくりやエンパワメントを目指した参加型アクションリサーチ(PAR)に取り組む。
複数の文化や言語のはざまを生きる子ども・若者の強みが発揮される教育・社会のあり方を模索している。

|お話を伺ってみて|

アジア系女性の居場所形成や、日本に暮らす外国にルーツを持った若者たちの当事者研究(YPAR - Youth Participatory Action Research)の実践と研究を精力的に続けられている徳永先生。

彼らを一つのカテゴリーに括ることで必要な支援がなされない危険性、支援者ー被支援者間での力関係均衡化の意義、マジョリティが持つ特権とその特権を認知しすることで生まれる可能性、社会的に立場が弱いマイノリティの方々が社会参画するだけでなく意思決定に関わる重要性、子ども・若者(当事者)の欠損に目を向けた支援ではなく彼らの資質・能力・知識に着目しそれを引き出すストレングスアプローチがもたらす影響などをお話しいただきました。

後半のディスカッションの時間にCIRCLEメンバーからYPARの活動についてこんな質問が飛び出しました(動画約26:40〜)。

YPARに携わり続けることにはならないであろう(=一課外活動としてYPARに取り組む)若者にとって、このプロジェクトに参画する意味はどのようなものがあるのでしょうか。

それに対して、研究者である徳永先生が若者と一緒に研究を進めるうえで気をつけていたことと、実際にプロジェクトに参加した若者たちの気づきの2点をご共有いただきました。

【気をつけていたこと】
・YPARの活動は結構な負荷になるので、どのように負担感を減らすか、学びと働くを両立させていくべきではないか、という議論は今まさに起きている
・移民の若者たちの多くは国内にいる家族や故郷にいる親族を経済的に支えるために朝から晩まで仕事をしていることも多いので、彼らの状況を常に考え、生活に伴走する
・参加の自由度(どれくらい参与するか、いつ辞めるか)は、その個人に決定権を渡す
【若者たちの気づき】
・友達の話を共感を持って聞けるようになった
・インタビューのスキルが身についた
・今まで自分が社会に対して持てる役割は無いと思っていたが、発信の可能性を感じた

また、筆者が印象的だったのは、ストレングスアプローチの可能性です。

被支援者の生活の補完のため継続的な支援を行うことは言わずもがな重要である一方で、「支援をされるべき人」と括ってしまうことで彼らの声や力を奪ってしまっているのではないか、という懸念を個人的にずっと持っていました。ストレングスアプローチと両用することで、自らの可能性を伴走者と共に見出し、アイデンティティを確立していくことができる。それが自分の揺らぎない地盤となり、新たな挑戦や選択をする時の自信になるのではないかと感じました。

他にもセッション中は、「特権」についてのディスカッションも起こりました。多くが生まれながらにして持っている特権を非難するのではなく、「じゃあどうしよう?」「この力をどう使えるのだろうか?」と皆で建設的に考えられた時間となりました。

ますます多様性を増し、各個人のアイデンティティのインターセクショナリティが顕在化している現代社会に生きるわたしたちが知っておきたい内容となっています。全編はぜひ動画からご覧ください!

|ご案内|

▶︎NPO法人ミラツクが運営するメンバーシップ「ROOM」はこちら
http://room.emerging-future.org/
▶︎NPO法人ミラツクが運営するメンバーシップ「ROOM」の背景と近況
https://note.com/miratuku/n/nd430ea674a7f


文責:北嶋友香

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?