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金融教育っていつから?今から知っておきたい金融教育について

自己紹介:松田 剛典株式会社みらぴか 代表取締役/一般社団法人キャリアラボ 代表理事株式会社ベネッセコーポレーションで高校生の進路選択の部署に配属。その後、既卒者・第二新卒者を対象にした人材紹介会社に転職。キャリア支援の仕事を始めて約20年目。このコラムは今の若者の進路選択の現状についてさまざまな視点からコラムを書いています。保護者向けオンライン相談サービス「みらぴか」

松田剛典:プロフィール

そもそも金融教育って何?

みらぴかの松田剛典(まつだたかのり)です。

今日は金融教育について少し書いていこうと思います。といってもほとんどの方が「え?そもそも金融教育って?」と思われるかもしれません。わかりやすく言うとお金の正しい知識と考えてもらうといいかもしれません。

これまで日本ではお金の話は比較的話しにくい風土がありました。しかし、本来生活にとって切り離せないお金について学ぶことが社会に出てからだとグローバルな時代においてはさまざまなトラブルにも巻き込まれるリスクがあります。

逆に早い段階からお金の仕組みを知ることは、社会の理解を深め、自分に合った収入のスタイルを見つける手段にもなります。

では、今の日本のお金の教育はどうなっているのでしょうか?
今回はそんな「お金」の話について解説しています。

そもそも金融教育とは?

日本銀行による全面支援のもと、お金に関する学習支援を行っている「金融広報中央委員会」によると、金融教育は以下のように定義されています。

金融教育は、お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である。

金融広報中央委員会より(https://www.shiruporuto.jp/)

「金融」って聞くと、何やら難しい印象を持ってしまうかもしれませんが、社会の仕組みを知り、よりよい暮らしや社会をつくるために、お金・金融に関する正しい知識と、それに基づく判断力を養いましょうという教育です。

お金に関する知識は生きていくうえで必要なものであり、だからこそ小・中学生や高校生の早い段階から身に付けておく必要があるんですね。

世界と比べて遅れている!?日本の金融教育

今回のコラムで「金融教育」という言葉、初めて知ったという方も少なくないと思います。それもそのはず。日本における金融教育は世界と比べて遅れているという指摘があります。金融広報中央委員会の調査によると、「金融教育を受けたことがある」と認識している人は、日本では7%に対して、アメリカでは20%と、大きく引き離されています。

実際には数字で見るとリテラシーの調査において全体的な正答率の差はアメリカに比べても僅かに低くなっている程度です。

しかし、金融知識に自信がある人の割合では、日本が12%に対してアメリカが71%となっており、日本の多くの人は自らの金融知識に自信がないことを示しています。

ちょっと悲しい結果ですが、自分がどうだったのか?と問われると社会に出て体験として学んでいくことはありましたが、知識としては社会に出るまではあまりありませんでした。

日本では古くから、「お金のことを言うのははしたない」という風潮があります。我が家も子どもの頃は家の中でお金の話をするのはタブーのような雰囲気がありました。みなさんのご家庭はいかがだったでしょうか?

現代社会においては、子どもがお金を触る機会も情報も増えた

共働き家庭が増え多様化が進む現代社会において、子どもがお金を扱う機会は増えています。たとえば習い事へ通うために交通費を渡したり、保護者が不在の間に食べるおやつや昼食代としてお金を渡したりすることってありますよね。

それどころかインターネットを使うと世の中のあらゆる情報に触れることが可能です。だからこそ、渡したお金がどのように世の中へ出て回っていくのか、どのように扱うべきかについて、怖いものとして避けるのではなく、早い時期からしっかり学ぶ必要が出てきたのです。

2022年に高校の家庭科で資産形成の教育が義務化

そうした中で、金融広報中央委員会によって「金融教育元年」と位置づけられた2005年から、学校教育において金融教育の内容が取り入れられてきました。高校では2022年度から、家庭科の授業で新たに「資産形成」の授業が必修化されています。

高校で金融教育が義務化された背景には、民法改正に伴って2022年4月から成年年齢が引き上げられたことがあります。18歳からは自らの判断で法律上の契約を行えるようになり、自分の名義でクレジットカードを作ったり、自分でローン等を組んで契約をするようになります。早熟な消費者は詐欺などの金融トラブルに巻き込まれやすいことから、高校の段階で自立した消費者としての自覚や社会・環境の変化、リスク管理などの大切さを学ぶことが大切と判断されたのです。

実際、高校生向けに「18歳とは?」というような講演を依頼されることも増えました。最近は奨学金を利用する方も増えていますし、お金のメリットとデメリットを知ることは非常に大切です。そのため、資産形成の授業では、家計管理やライフプランニングについてのほか、債券や株式、投資信託といった資産形成、借金などの金融トラブルについて学びます。

金融教育のメリットは?

子どものうちから金融教育を行うことで、家計管理の能力や金銭感覚、自立心が育ちます。ここでは、金融教育のメリットについてご紹介します。
 
お金の適切な管理ができるようになる
金融教育によって、使えるお金は限られているということを知り、その限られたお金の中から、必要なものとそうでないものをどのようにやりくりするかを適切に考えられるようになります。将来の家計管理にも役立ちますね。また、お金が足りないから欲しくても我慢する、欲しいものを買うために貯金するといった感覚も養えます。
 
金銭感覚が身に付き豊かな人生につながる
正しい金銭感覚を身につけるためです。子どものうちから適切な金銭感覚を身に付けることによって、計画的にお金を使い、管理できる能力が身につき、将来、豊かな人生をおくることにもつながります。
 
自立心や積極性が育つ
将来どのような生き方がしたいか、そのためにどれだけのお金が必要で、何をしなければいけないかを具体的に把握できるようになります。自分がやりたいことの実現や充実した人生に向けて、自ら積極的に考え、工夫や努力を重ねる態度が身につくのです。

家庭でできる金融教育

 「金融教育なんて、うちの子にはまだ難しいし・・・」と考える保護者もいるかもしれませんが、身近なところからでも世の中やお金の仕組みを学ぶきっかけになります。ここでは、家庭でもできる金融教育をご紹介します。
 
お小遣いの管理
お小遣いの管理は、家計管理やお金そのものの価値について教えられる身近な金融教育です。お小遣いを「月いくら」という形で渡しているのであれば、来月分がもらえるまでの期間で計画的に使うことを教え、お小遣い帳を付けさせて管理の方法を教えましょう。ものの値段を注意深く見るようになるので、金銭感覚も身につきます。
 
一緒に買い物に行って、ものの値段を調べる
お子さんと一緒に買い物に行く機会があれば、そこで売っているものの値段を一緒に調べてみましょう。スーパーであれば季節によって安いものがあり、ホームセンターであればお店によって値段もかなり違いますよね。ものの値段を知ることで、正しい金銭感覚が身につきます。また、お店の種類や売っているものによって値段には幅があることが分かれば、値段だけではない基準と色々な選択があることを学び、判断基準を持つことができます。

いま、一緒にキャリア支援をお母さんは子どもに1週間分のお買い物予算をわたし、買い物プランを立ててもらう、なんて方もいます。最初は大変だったそうですが今は夕飯のメニューを子どもが助けてくれるようになったと話されていました。(お母さんのビールが予算減されるのよ・・・とも嘆いていましたが。)
 
保護者の仕事について教える
保護者がどのような仕事をしているかを子どもに伝えることも、立派な金融教育です。その仕事が社会や経済にどのような役割を果たしているのか、どんな会社と取引をしていて、お金がどのように流れていくのかなど、身近な人から仕事の内容を伝えることで、社会や経済の仕組みを学ぶきっかけになるのです。

資産形成については保護者も一緒に学ぶ
「老後は2,000万円が必要」と一時期話題になりましたが、人生100年時代と言われる現代、投資や資産運用などについては大人も真剣に考えなければなりません。高校で資産形成が必修化されましたが、保護者のなかには「資産形成はあまり詳しくない」という人も多いかもしれませんが、ぜひこの機会に資産形成について子どもと一緒に学んでみましょう。親子で一緒に学ぶことによって、子どものモチベーションが上がり、学びがさらに深まります。

まとめ|子どものうちから家庭でも金融教育を進めよう

金融教育は、世の中のお金や社会の仕組みを理解し、生活とのつながりのなかで適切な判断ができるようになるために必要なものです。高校の教育課程で「資産形成」の授業が必修化したことからも分かるように、「人生100年時代」と言われる現代をより豊かに生きるためには、大人・子どもに関係なく、金融に関する正しい知識を身に付ける必要があります。

投資や資産運用などは、大人でも「なんか難しそう」と身構えてしまうような内容もありますが、子どものうちから金融教育を進め、お金に関する正しい知識と理解を大人も子どもと一緒に深めていきましょう。

・・・と言いつつ、実はこどもの金融教育を通して一番勉強になるのは保護者かもしれません。個人的にはこどもといっしょにお金の話を考えていくことは自身の苦手意識をなくし、家庭でのお金の使い方が上手になる一石二鳥な勉強だと思っています。

今回の記事がみなさんの参考になりましたら幸いです。
(文章 水無瀬あずさ&松田剛典)

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著者プロフィール 松田剛典

一般社団法人キャリアラボ 代表理事 https://kokoswitch.com
株式会社みらぴか 代表取締役 https://mirapika.jp 
ツイッター:https://twitter.com/goten_m

株式会社ベネッセコーポレーションで高校生の進路選択の部署に配属。全国の高校の進路相談会の運営や入試判定業務などに携わる。人材紹介会社の大阪責任者をを経て独立。キャリア支援の仕事を始めて約20年目。複数の大学でキャリアデザイン講座の講師をしながら、北海度から九州まで全国の高校大学を訪問する実践型キャリア支援家。年間3000件前後の面談と、5000件前後のキャリア講座を運営。
2023年保護者向けオンライン相談サービス「みらぴか」をリリース
著書:「はじめての課題解決型プロジェクト」ミネルヴァ書房

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